第19話 その程度のガードで除けられるあたしだと?

 志半ばで倒れた恵方巻きを供養していると先輩が言った。


「豆は撒かないのか?」

「この部室のどこにオニが?」


 小首を傾げるあたしに先輩の目が眼鏡の奥で死ぬ。えー、ここにオニいるのー?


「……節分といえば柊に鰯の頭を飾って魔除けにする風習があったな」

「まあ、なんですかその奇習」


 やだキモいと身をよじるあたしに、先輩が柊鰯の写真を映したスマホをかざす。


「なんですかその奇習」


 その程度のガードで除けられるあたしだと?

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