第5話 あたしの先輩のオフェンスはたまにめっちゃ強い

「耳が冷たい」


 部活終わりの先輩にくっついて駅までの道を歩いていたら、冬の夜風にあたしの耳は氷のように冷たくなった。

 すれ違う人の耳あてを見て、あたしは先輩に冗談を言う。


「手で温めてくれませんか?」


 いつものガードを予想していたあたしの耳に、先輩の手の温もりが突然触れた。


「はひょう!?」


 驚いて思わずその手を払うと、先輩も驚いた顔をする。


「温めろって言ったじゃないか」


 先輩のオフェンスはたまにめっちゃ強い。

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