第3話 それにしてもあたしの先輩はガードが固い
「な、なんですか先輩」
部室で本を読む先輩のメガネな横顔を、スマホを眺めるフリをしながら小一時間動画盗撮していると、突然先輩が立ち上がった。
「気付かないフリはもう止めたんだ」
ドキリとしたあたしの顔に、先輩の手が伸びる。
「米粒が付いている」
頬の米粒をピッと取って先輩は読書に戻る。羞恥や落胆や安堵で心がお祭り状態のあたしに、先輩は淡々と言った。
「あと、動画は消せ」
それにしてもあたしの先輩はガードが固い。
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