No.12 ゾンビ

私には昔から人の意識を殺すことが出来る。しかし、私がどうこうするというよりかは、私が嫌いになった人が自動的にそうなる、と言った方が正しいであろう。

意識的に死ぬということは、「哲学的ゾンビになる」ということとほぼ同意義である。

そして、そんなゾンビが私の手によって誕生した時には庭に一つお墓が現れた。別段、作っている訳では無く、勝手にフッと現れるのだ。

例えば、私の嫌いだった田中くんは授業中に、鼻をほじって飛ばす癖がありそれが私の机に乗った瞬間にドン引きして嫌いになった。そして家から帰ると小さな盛土と名札がポツンと庭の隅にたっているのだ。

見た目はほぼ変わらないけど中身が、つまり意識が死んだと思うとスゥーと憎悪が抜けていった。

そんなこんなで私の家の庭にはもう11個もお墓がある、改めて振り返るとなんでもないようなことで人を殺したこともあったと後悔することもある。ふられたからとか、クチャラーだからとか、キモいからだとか、

そんなことを考えていると自分が本当に嫌いになった。


お墓が12個になった。

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