第8話 対決


「あの、輝橋かがやばしくん……」


 教室にいた生徒たちから解放された生鐘が廊下を歩いている最中、一人の女子生徒が声をかけて来た。

 またか、と輝橋生鐘は心の中で僅かに嫌気を出しながら、けして顔には出さず、にこやかな表情で対応する。


「はい、なんでしょうか?」


 自分の主である弦木タケルと別行動になると解った途端、生鐘は即座に相手に諭されず不快な思いをさせないように自分の周りいた生徒たちを引き剥がした。

 時折あった部活動の勧誘も、護衛の任があるという事で全て断っている。

 しかし、いざタケルの元に行こうとしても、新たに続々と生鐘に言い寄って来る生徒が後を絶えない。

 ようやく、引き離したと思えば、離れることを見計らったように別の生徒がやって来る。

 朝の一件では目立ち過ぎたか、と生鐘は何度目かの反省をした。

 だが、やってしまったことへの後悔は無い。

 あのまま不逞な行為を見過ごすことは主であるタケルにはできなかっただろうし、自分自身も止めることができたのは良かったと思う。

 どちらかと言えば、その後。

 なお正確に言えばその直後起こった事の方が彼女的には重問題である。

 そして起因は別にしても、この状況は彼女にとっても不本意でしかないのだ。

 このまま時間が延々と過ぎるのは、待ってもらっているタケルに申し訳ない。

 最悪、一緒に下校できないことは血涙するほどの非常に残念至極であるのだが、代わりの人間に迎えに来てもらい、タケルだけを屋敷まで送迎してもらうことも考える。

 しかし、できるだけ避けたい。

 タケルには色々訊ねたいこともあるので、可能ならば一緒に下校したかった。


「えっと……」


 そうやって生鐘が心中苦悩していると、自分に声をかけた女子生徒の様子がおかしい事に気づく。

 怯えているような、どうやって説明していいのか迷っているような、そんな顔だ。


「どうか致しましたか?」


 悪い予感は既にしていたが、生鐘は彼女を急かさないように優しく問い掛ける。


「あの、その」

「大丈夫、落ち着いてください。慌てず、ゆっくりで良いので僕にどのような要件があるか話してもらえないでしょうか?」

「は、はい────実は」


 三度の問い掛けにようやく彼女は要件を切り出せた。


「確か弦木くんは輝橋くんの御主人様ですよね?」

「はい、そうですよ」

「その弦木くんが、武器を持った先輩ぽい人たちに連れて行かれたとこを見たので」


 駆け出したい気持ちを抑えた。

 生鐘は拳を握り、動きだそうとする体に必死で堪えながら、女子生徒の話を聞く。


「私、どうしようと思ったのだけど先生よりもまずは護衛である輝橋くんに話したほうがいいなかって」

「僕にとっては最良の判断です、ありがとうございました。それで、タケルさま達はどちらに行かれたのは解りますか?」

「その、詳しくは解らないけど、校門から見て左に行ったような」

「左様ですか。では、後は此方で対応させていただきます。些事ということもありますので、貴女はこのことは気にせず、安心してこのまま帰ってください」

「あっ、はい!」


 些事という言葉で少しは彼女も安心したのだろう。

 この国は法的に武器の所持が認められるので、武器を持っているから危険とは限らない。

 その事に気づいた女子生徒は暗い顔を少しばかり晴らした。


「では、私は参りますのでこれで。この件は改めて御礼をしますので」


 そう言い残して、生鐘は駆け足でその場から離れる。

 急に走りだした生鐘に残された女子生徒は少し驚いたが、当然のことかと納得した。

 もっとも、次の光景を見たならば、彼女の驚きは記憶の奥深く刻まれたことだろう。

 流石に駆け足の生鐘には誰も声かけない。

 彼女はそのまま、階を一つ降りると、廊下に設置された開かれた窓を見つけた。

 そのまま生鐘は開かれた窓へ身を投げ出して、外まで飛び降りる。

 動きが鮮やかかつ素早かったため、目撃し者も見間違いかと疑うまでに留まる。

 本当なら、先程の女子生徒から話しを聞いた時点で窓から飛び降りたかったが、按ずる必要はないと言った手前、そんな真似はできなかった。

 生鐘が飛び降りた場所は三階。一般人ではなく、武人でもそんな真似をする人間はそういないが、彼女は怖じ気ことなく飛び降りて、地面に着地する。

 失態だ。と、生鐘は自分を責めた。

 自身で発した言葉通り些事である可能性もあるのだが、朝の一件を考えると、自分を倒した輩の仲間が仇討しにきた可能性もあるのだ。

 決定した訳ではないが、タケルにもしものことがあれば自分が何のために剣を学んだのか解らなくなる。

 

 弦木タケル。輝橋生鐘という少女にとって、その存在は何よりも掛け替えのなかった。

 

 幼い頃に出逢い、色々な時間を過ごして、様々な事を教えてくれた人。

 彼を想うといつも胸が熱くなる。

 その気持ちは、会えなくなった長い時間を得ても変わらない。

 焦る気持ちを堪えながら、生鐘は新たな目撃者を捜すために、女子生徒がタケル達を見かけた校門前へ走りだした。


 †


 護衛者ガーディアンである生鐘の代わりに、主の弦木タケルが葛馬くずま一彦かずひこと勝負をする。

 そのタケルの提案は、彼を此処へと連れてきた人間からすれば無謀の一言だった。

 葛馬一彦。

 所属する部活はない者の、自分達が知る同年代の中で間違いなく強者に部類にする位置づけだった。彼の有名な家の護衛もし、その実力は達人の域までに近づく程の本物。

 仮に自分達が束になって襲い掛かっても、文字通り蹴散らされるだけだ。

 一彦は堅物であるがその前に人格者である為、その人柄にも好感は持っている。

 だが、彼等が真に彼に付き従うのはその強さに尊敬と畏怖の念を置いているからだ。

 そんな一彦がタケルの提案を聞くと、彼はしばらく沈黙した後で了解する。

 彼を知る周りの人間は驚く。まさかそんな提案を受けるとは思いもしなかったのだ。

 確かに彼を倒せば、自分達の目的は確実に近づくが、それでも護衛に守られるような弱者との試合を葛馬一彦が望むとは考えにくい。

 調子に乗った御曹司にお灸でも据えるのか?


「おい。誰か弦木の武器を準備しろ」


 そうやって困惑する彼等に一彦は指示を飛ばした。

 自ずと一人が、無手であるタケルに自分の刀を差し出す。


「刀で良いか?」

「ああ、むしろそれがいいです」


 一彦の問い掛けに答えながら、タケルは借りた刀を鞘から抜き刀身を眺める。

 彼は透明な不殺外装が刀身を覆っていることを確認すると、手に馴染ませるように何度も柄を握り直す。


「うん……いけるな。俺は準備いいですけど先輩は?」

「俺も何時でもいけるぞ」

「なら、早速始めましょう」

「ああ……」


 そのままタケルと一彦は同時に動く。二人共、修練場の中央に辿りつくと立ち止って、数メートル距離を取りながら互い向かいあった。

 二人の男の視線が、目の前の相手を見据える。

 妙な静けさが流れた。

 向かい合わせの二人を眺めていた一人が息を飲む。別の者は手汗を握り戦いを待つ。

 しかし、しばらく経ってもまだ試合は始まらない。

 自分達の誰かが気を利かして合図でもすればいいのか?

 見守っていた彼等がそう相談しかけた時──気づけば一彦の槍が動いていた。

 

 大気が震えた瞬間、金属が音を鳴らしながら火花を散らす。

 

 一彦が持つのは十文字槍。

 槍術は主に直槍が中心であるが、一彦は安土桃山時代のとある僧兵が編み出した十文字槍を使用する宝蔵院ほうぞういん流槍術を扱う。

 十文字槍は鎌槍と呼ばれる穂先に枝刃が存在する武器の一種であり、名の通り十文字を描くようにして穂先の両側に直立した刃がある。

 突けば槍、打てば鳶口、引けば鎌といった様に、刺突に特化した通常の槍、直槍とは異なって刺突には不向きだが、受けもでき、打ち込むように懸け倒したりできる利がある。

 扱いは一般的な素槍とも呼ばれる直槍よりも困難だが、一彦を見れば如何に十文字槍を使いこなしているか解るだろう。

 まるで大砲のような刺突。鎌槍は突きに不向きと言ったが、これだけの槍で並の者あれば対峙した瞬間に大きな風穴を穿たれていた。

 無論、殺し合いではないので、一彦が持つ十文字槍にも安全の為に不殺外装が取り付けてあるが、生半端な覚悟で彼の前に立てば、大怪我では済まない事態になるだろう。

 更に一彦が持つ十文字槍は担い手の長身であるが、槍事態も三メートル近くはある長槍。

 一度突けば、引き戻す作業が必要なのが槍ではあるが、達人の域に迫る一彦の槍捌きは経験を積んだ武人の目でも何をしているのか解らぬ程の猛威である。

 機関銃の如き鉄の嵐の連撃。

 試合の眺めている人間は武人あるため、その凄味もより理解できた。

 直接対峙しなくても、冷や汗が絶えず、目にしているものは絶句し、驚愕を隠せない。

 

 もっとも、彼らが言葉を失っている理由は、一彦だけではなかった。


 疾風のように奔る刀身が槍の牙を凌ぐ。

 弾く。

 受け止める。

 在ろうことか圧し返す。


「はぁ、はぁ──」


 戦いが始まってまだ一分も経っていないのにも関わらず、タケルは息を乱している。

 だが、嗤うものなど、ここにはいない。

 武を心得ぬ者が居たのならば、その様子を情けないと揶揄したかもしれないが、ここにいる人間はそんなことはしない。

 いや、できなかった。

 一彦の槍はまさしく触れても吹き飛ばされる豪槍。

 一撃一撃が重く、攻撃にも間を感じさせない。既に百超す槍撃を行っていた。

 

 タケルはそれら全てをやり過ごしている。


 腕ごと弾き飛ばされそうな刺突を、タケルの持った刀で絡め取り、流水の如く捌く。

 時折仕込まれたフェイトには反応せず、本物の攻撃だけ対応する無駄なき行動。

 何よりもその刀捌きは、とても流麗で美しかった。

 事実上防戦一方ではあるだが、自分達では最初の一撃で倒れていた槍を彼は何度も防いでみせるのだ。讃えることはあっても、馬鹿にすることなどできるはずもない。

 彼等は知らぬことだが、幼い頃にタケルは剣の道を諦めた。

 だが、この剣技を見ていったい誰が信じるだろうか?

 幼い頃に在った経験を生かしたモノ、などとはとても説明できない卓越した剣。

 何者だ? 護衛も必要なほど非力な人間ではなかったのか?

 彼等に考えられるような思考が残っていればそのような疑問が芽生えていただろうが、目の前で繰り広げられている攻防は余計な事を巡らせないほどの圧倒的で、その場を支配していた。

 より簡単に言ってしまえば、眺めている彼等は皆、その武術に見惚れていたのである。

 そして、繰出す攻撃全てを防がれている一彦は、心の中で目の前の相手を賞賛した。


 なんと…………素晴らしい。


 鎌槍である十文字槍は刺突よりも相手を崩す事に長けている。

 刺突の引き際、あるいは避けられた刺突を横撃など、嵐のような刺突の合間に一彦は幾度も違った技で相手の動きを阻害しようと試みた。

 結果は語るまでもなく失敗に終わっている。

 自分が磨き、研鑽した技の数々が全て防がれた。

 驚愕の念はない。だが、納得している。

 タケルは幼い頃に武の道を諦めた人間なのを一彦は知らぬが、演技とは思えない息切れを起こしているので体力がないことは見ても理解できる。

 しかし、その前に、一彦はタケルを最初に見た瞬間、彼の実力をある程度把握した。

 彼は伝手で多く武人と交流し、相手の実力を推し量る観察眼はかなり養われている。

 その優れた観察眼を持ってしても、一彦はタケルの実力を正確には理解できなかった。


 より正確にいうのであれば──推し量れない実力を見たのだ。


 驚愕したというのならば、まさしくその瞬間であろう。

 まぎれもない強者だと理解した一彦は、彼こそが自分が倒すべき相手、くだんの輝橋生鐘だと思ったのだが、護衛している主であると知るとまたも驚愕する。

 これほどの相手に、従者ならばともかく、護衛者ガーディアンという存在は必要なのか?

 そんな疑問を抱きながら本題の話を進めると、一彦が輝橋生鐘と相対する条件に主であるタケルは自分との試合を提案してきた。

 正直に言ってしまえば、一彦はその時、失意と歓喜といった全く別のモノを同時に味わったのだ。

 未だ相対していない輝橋生鐘の真の実力は解っていない。

 それでも彼は勝つ気でいた。

 だが、目の前の弦木タケルという男にはどうしても勝機を見いだせない途方の無さを感じさせる。この瞬間、自身の目的が潰えるかもしれないと肌で感じ取ってしまった。

 しかし、同時に、このような相手と戦える機会は滅多にない。

 この国は民間が武器を所持するのを認めているものの、無暗な戦いは禁じられている。

 止む負えない場合を除き、公式の場以外での暴力沙汰は基本的に御法度なのだ。

 例え、自分がタケルとの戦いを望んでも、相手が了承もせずに行えば犯罪だ。

 それでも、抑えきれない衝動ならば無理強いをするだろうが、今の自分にも立場があるので、獣ように本能で襲いかかる真似はできない。

 だが、相手もそれを認めるのならば、抑えてもしかない。

 測り知れぬ相手。未知。己の槍が何処までも届くのか試してみたい。

 本来の目的は抱きつつも、力を求める男の本能が解放されてしまった。

 ならば、心ゆくまでに自身の槍を振るうのみ。

 全力で挑めば、あるいは未知なる敵を前にしてでも届くかもしれない。

 一彦は自分と相手の実力の差を感じながらも、まだ勝利を完全に放棄してなかった。


「攻めて来ぬのか?」


 槍の嵐を唐突にぴたりと止め、一彦が問いかける。

 当然ながら、間合いは槍に歩(ぶ)があった。

 だが、完全に槍を凌いでいるタケルが攻める切れないわけでないだろう。

 実際、呼吸は乱しつつも、余裕はあると一彦は判断した。


「生憎、体力に自信がなくてね。精々、先輩に当てるのは一太刀か」

「…………」


 苦笑いで答えるタケルに一彦は黙したままだ。相手が息を乱すことで解る。

 体力ないことは本当なのだろう。

 ならば持久戦でならば勝てると、そんなことを一彦は思わない。

 実際に持久戦に持ち込んだのならば、何時、如何なる時に攻撃が飛び込むか解らぬ。

 その一撃を防げる保証は何処にもない。

 一太刀とタケルは言った。

 それは自分の体力の無さに一太刀が限度ではなく、一彦相手には一太刀で十分だ。そのような意味で言ったのではないだろうか?

 仮にそうだとしても、一彦は憤慨はしない。

 認めよう。相手にとって、自分は一太刀で足ると判断された。


「ならば、こちらも後、一撃で終わりにしよう」


 そう言った一彦は大きく息を吐いた後、先端を移動させ穂先の反対側、石突に片手を添える形に構えを変える。


「なっ!」


 その構えを知っている者が思わず声を上げた。


「ま、まずい! それは駄目だ、葛馬さんッ! 流石にそれは死人が出ちまう!」


 必死の制止の言葉に一彦は耳を傾けない。

 彼の意志は真っ直ぐに目の前の相手だけに集中していた。

 彼が持つ中での最高の技。加減が出来ぬその奥義はまさしく必殺。

 如何に不殺外装があるからといって軽減できる限度が存在する。

 今から一彦が繰り出そうとしている技を並の人間に放ては、間違いなく相手を殺してしまうだろう。

 武器の所持を認められているこの国での殺傷は、基本的に民間人は正当防衛のみ。

 意図的した一方的な殺害は当然と言うべきか、犯罪だ。

 この戦いで仮に死人が出た場合、それは事故という処理で扱いさせる。

 時代や歩んだ歴史、世界が違えば間違いなく重罪。

 一彦自身もこれで相手が死ねば、それは量を測れなかった未熟による罪過だろう理解している。もっとも、相手が並の人間でないことは等に知っているので、その心配は僅かだ。

 何より、ここで自分の最高の技を出さなければ悔いが残るだろうと理解していた。

 我が槍は未知の相手に届くか、否か。

 それだけに今の一彦の存在は集約される。

 周囲の空気が一彦を中心に豹変した。

 彼から渦巻く闘気は空間自体が圧迫しているような錯覚を引き起こす程、凄まじく重圧的。声を上げていた者たちも、皆が息を飲んで絶句した。

 対峙するタケルは気迫に満ち溢れる相手を前に、思わず口端を釣り上げる。


「ああ、そうか。ならば、さっきの言葉通り──」


 タケルはそう言いながら先程からの構えを変えた。


「──、一太刀だ」


 絶句していた周囲が更に驚愕した。

 集中していた一彦も思わず目を見開く。

 タケルは腰を落とし、両手に持った刀を脇の辺りまで引いた。

 槍は、刺突に優れた武器だ。

 その槍を前にしてタケルはまるで自身も、刺突で迎え撃つような構えを取ったのだ。


「ありえねぇ。槍相手に、突きで勝負する気か!?」


 傍観者たちは、気が狂ったのか疑うようにタケルを見た。

 無謀と言う悪手か。あるいは傲慢と言う矜持か。

 なんにせよ、そのような姿を前にして一彦はもう抑えきれない。

 呼吸を乱しながらも、泰然と笑みを浮かべるタケルの姿は、百戦錬磨の王者如き風格だ。

 絶対の自信。常識を脱した境地にこの男は立っている。

 では、挑戦者である自分は、その頂きに手を伸ばそう。


「面白い──ならば、見よ、我が必殺の槍をッ!」


 槍が迸った。大気が渦巻きながら絶叫する。


 最初に動いたのは一彦。

 その時点で勝敗は決したように見えて、タケルの剣が槍よりも速くとも、間合いの時点で優劣が既に決していた。タケルの位置からでは一彦に剣は届かない。

 対する一彦の槍は疾風如き猛威を情け容赦なくタケルに穿つ。


 宝蔵院流槍術 奥義 螺旋槍らせんそう!!


 回転を加えた刺突は、本来ならぶれる槍を真っ直ぐに突き放ち、吹き荒れる螺旋の嵐の如く高速に回転力によって威力を増大させる。弾く事、防ぐ事は通常の刺突に比べられることなどできない。立ち向かう事はすなわち吹き荒れる嵐に挑む事と同意であり、微かにでも増えれば散り散りに吹き飛ぶ程の脅威だ。

 一彦が放つ螺旋槍の其れは何十にも重ねられた装甲車を粉砕してしまうほど苛烈。それを人体に向けて放ったのであれば、想像するのも恐ろしいほどの暴力なのだ。

 まさに奥義。必殺の名にふさわしい一撃。

 その一彦が放った渾身の一撃をタケルは正面から迎える。

 

 刀が風を切り裂き、駆ける。

 

 刹那の時間の後──それらは激突した。

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