第11話大英雄×閃光姫=一騎討ち

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11・大英雄×閃光姫=一騎討ち

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プーロの国【マンダ】


ーーーそして、騒ぎのある見張り台と反対側の見張り台からも、ざわつきが生じた。


「お、おい…あっちでなんか戦闘が起きてないか?」


「こんな国誰が襲うんだか。富も名誉も貰えないと言うのに。」


プーロの国マンダは人こそ100万人を超えはするが、文明レベルや産業、工業、建築業は、オークやゴブリンよりも遅れていた。

そのため、木の柵で国を囲い、見張り台は真ん中の木を柱として細い木などで骨組みを作る。

その後足場として木を置くだけと言う、いつ壊れてもおかしくはない作りだった。


「お前達は早くここから降りて私の後ろに隠れていろ」


空の方から聞こえる雄々しい声。

見張りをしていたもの達は声の聞こえるほうを向く。


「ば、バードマン…?何故バードマンがこんな所に?」


「話せば長くなる。事が終われば話そう。早く降りろ。」


兵士たちは言われた通りに降りる。

この国の王マンダ王は何をしているのかという疑問が浮かぶだろう。

簡単な話だ。夕方なのに寝ているのだ。深い眠りだ。当分起きそうにない。


そのバードマンはたった1人で騒ぎのある方へと向かった。


バードマンが来た場所とは反対の方向は、混乱と怒号、絶望が渦巻いていた。


「私の子はどこ!!?」

「おい!なんだお前!!」

「敵は一体なんなんだ!?」

「王に伝えよ!!!」


この時マリィはある諸事情でこのことを知らなかった。


「皆さんお時間がないので挨拶なしで殺してしまってごめんなさーい!私、カグラ・マサムネっていいまーす!あっカグラちゃんでいいよ?」


エルフ十将が1人【カグラ・マサムネ】着物姿で黒髪と白髪が半分に分かれた髪を持つ姫様カットの女エルフ。多数の強力で物理的な能力を保有するそのエルフはまさに、物理最強の生ける伝説。


「衛生兵!!衛生兵はいないのかァ!?」

「くそっ、魔導兵でもない俺達は、エルフになんて…」


「慌てるな。お前達は生きている。それだけで十分だ。」


バードマンの王国国王【ゼクス・エルシオン】虹色が輝いている羽根を4つ持ち、見た目は鷹に似てはいるが、まるで鎧のような顔を持つ。

鍛え上げられた体、そして未来予知を有するその能力達はエルフにとっての脅威であり、エルフ以外の種族にとっての希望。


その2人が今対局する。

並々ならぬ悪気と殺気。

それは周囲にいる人間全ての腰を抜かさせた。


「バードマン?早いねぇ!もう見つかっちゃった!」


「ふっお前は遅いな。それがあの噂に聞くカグラ・マサムネか?」


「あぁ?」


カグラは、皮肉を皮肉で返されたことに激昂した。


「あっもしかして、てめぇは…」


そして気づく。相手の羽が輝いている虹色であり、その特徴的な、人が鎧を身に纏うかのような顔つきをした顔。


「ドラセウス様とやりあって共倒れしたっつー奴かぁ?」


「だいぶ口調が荒いな?キャラ崩壊していていつもの返しは演技なのだとバレてしまうぞ?」


カグラはハッとする。そして焦るように口調を元に戻そうとするが、怒りのあまり、いつもの口調に戻ってはいるが若干戻ってはいなかった。


「っ…まぁ?言葉で捲し立てたって、私はどーも思わないしー?」


「でもあんたは殺す。ドラセウス様に傷をつけた、アンタは許さない」


カグラはジャンプをして空中に飛ぶ。そして、空気を蹴り突進するが、

カグラが空気を蹴る瞬間、ゼクスは、持っていた剣を構えながら横へステップする。

このタイミングは、カグラが方向を全く変えることのできないタイミングであった。


カグラは、神速の抜刀に賭ける。柄と鞘に手を添え、抜刀の機会を伺う。


相対する2人が剣で語らう前、ゼクスの剣は確実にカグラの首を捉え、切断していた。

確実なる即死。

だがゼクスは不審に思う。何故かカグラとの記憶が消えない。


「ふっふふ…くっはははっ!!」


盛大に笑うカグラ。

確実に首を断ち、絶命させたはずなのにカグラの首は切断されているどころか傷一つ付いていなかった。


「なんだ?何をしたのだ?」


動揺するゼクスは、カグラが自分にとって恐ろしい相手であると悟った。


「ふーっ笑っちゃうねー!確かに私の能力がなかったら、普通に死んでた。

ドラセウス様と私では、相性的に悪いだけで、実質私と同じ強さのドラセウス様が貴方と同等の強さを持つのも理解できる。」


「だからーご褒美に種明かししてあげるね?私の能力全最大攻撃無力化私が死んでしまうような攻撃を自分以外が加えた場合にその攻撃行動は完了された状態で、私へのダメージは無くなる。

つまり、どんだけ強い攻撃を与えても私は死なないのー」


しかしゼクスは腑に落ちないというような顔を見せる。

カグラを睨み何か隠しているのではないかと、相手を見探る。


「それだけでは説明がつかない。俺の能力未来予知でお前の未来を見た。お前は確実に死んでいたはずだ。」


「私の能力は1つじゃないの。予知系の能力はー、私には無意味かな。理由は能力にあるけどそこまで教える義理ないしー。あっ、王様から呼び出されてるから行くね!次あったらぜってー殺す」


そういうとカグラはエルフの国がある方向へと飛び立って行った。


「プーロ族よ。お前達は俺が守った。話がある。」


プーロ族の長が人混みの中から出てくる。

慌てた様子で、着替えもせずに出てきていた。


「な、なんでございましょう。私達にできることであればなんでも!!」


「実はあるエルフ2人と人狼族がエルフ以外の全種族の同盟を考え行動している。」


マンダの人々はざわつき始める。

エルフがエルフと戦うためにエルフ以外の全ての種族と同盟を組む。

あほらしい話で、どう考えようとも過去の歴史から見ても、エルフの巧妙な罠にしか思えない。


「エルフ…ですか。」


「巧妙な罠かもしれないと疑ったのだろう。無理もない。しかし肝心なのはここからだ。ファイター族の戦士長のことは知っているか?」


「はい。お噂は兼ね兼ね聞いております。確か、相手の心を見通してしまう能力を持つとか。」


「その通りだ。あれはエルフの術だろうと見破るものだ。だがそのエルフ共はファイター族の戦士長に認められた。そしてファイター族との同盟を結んだ。」


「なんと…!」


ファイター族の戦士長は相手の心を読む。

即ち相手の行動原理まで全て把握することが出来る。

つまり、戦闘において相手が出す手数のうち、右ストレートを出すか左ストレートを出すか、それを脳をかえさず攻撃できるようにならない限り、相手の攻撃の手を読みながら戦闘を行っていくことが出来る、とても強い能力なのである。

それ故に、有名なのだ。


「だからこそ我らも少しばかり協力しようという算段なのだ。」


「ですが…何故今全ての種族との同盟を…??」


「エルフがエルフ以外の全ての種族を絶滅させるために動くという作戦を実行しているのだ。」


先程の襲撃はオーク族を含め、まずは邪魔になりそうな者達から排除しようという魂胆なのだろう。

オークは足が遅く、力は強いが知性はさほどない。

それ故に繁殖力は高く、大人になるまでの成長は早い。

プーロ族はほかの人間族に比べ、魔力も力もないが、弱者なりの生き方、即ち生きる知恵を持っている。

それを強者に教えてしまえば、エルフの作戦がご破算になる可能性が出てくるのだ。

だからこそ最速で移動でき、多くを殺すことの出来るカグラが選ばれたのだろう。


「それで、この国が襲われたのですね…」


「その通りだ。それで同盟の件プーロ族はどうする?」


「ファイター族にバードマン族がいる以上、私達は弱き種族ですから、お力になれるかはわかりませんが、多少なりともご助力したいと思います。」


ゼクスは頷く。


「よし。では直ぐに遠征の準備をせよ。国に居る全ての人間達と共にファイター族まで向かうのだ。」


プーロ族は、ファイター族の村まで歩き始め、それをゼクスは護衛していく。


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オタク×転生=エルフ @amamesan

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