第6話初戦×同盟=休憩
読み方
() ←主人公などの心の声
「」←セリフ
" " ←主人公目線の表現
"" "" ←効果音
←表現
' ' ←誰かの考え
6・初戦×同盟=休憩
ーーーーーーーーーーーーーー
マリィ達が砦の中にいる時、砂漠に現れた1つの集団。茶色のローブを見にまとい、50人ほどの人物が移動している。
""カチャ カチャ""
鉄と鉄がぶつかり合う音を立て砦の方へと向かっていく。
「くっくっくっ、呑気に祈りを捧げていやがる。」
「奇襲いたしますか?」
「まずは様子見だ。暗殺隊を中へ入れろ。罠はないだろうが念の為な。殺せるなら殺しておけ」
日陰の影から出てくる20人ほどのエルフ。
先頭に立つエルフは答える。
「了。」
ーーーーーーーーーーーーーー
一方砦の中にいる、マリィ達は作戦会議を素早く済まそうとしていた。
「暗殺隊ってどんな奴らなの?」
「影を移動していろんなところから現れるやつです。ただ影がないとそこへ出れません。」
少し悩むマリィ。アトロは任せたと言うような顔をし、顔を伏せている。
「...なら人狼族とシスビィは天井にへばりついてくれ、可能か?」
"人狼族そしてシスビィは、当然と言うような顔を浮かべ、質問に答える。"
「俺達は強靭な肉体を手に入れてる。壁にへばりつくくらい容易い。」
「私も問題ありません!」
暗殺隊が、刻一刻と迫ってくる。
その気配はマリィ達も薄々と感じていた。
だが、気を張らなければ絶対に気づけない程の小さな小さな気である。
まるで、この世界からたったひとつある野球ボールを見つけろという程に小さい気である。
「よし、じゃあ私は囮になるけど、まあ何かあったら助けて欲しい。戦闘経験ないからね。あと合図したらこの砦の外に出るようにね」
全員が頷く。
「よし、じゃあ作戦開始だ!」
マリィの号令の元始まった囮作戦。
敵の作戦は、暗殺隊で殺せるなら殺す。殺せぬのなら超遠距離からの弓矢による要撃、その後大魔術による砦の破壊。それでも敵が全滅していない場合、激突隊による各個撃破である。
《太陽分身》で作り上げた人狼族達に近づくエルフ暗殺隊。一人、また一人と燃えて消えてゆく。
暗殺隊は完全ではないが気配を消しているが故に、叫び声を上げても仲間に気付かれない。
1人、また1人と灰になっていく。そしてエルフ暗殺隊の1人が本体であるマリィへと近づく。
無論マリィは《ゴッドアイ》の能力で全て見通している。
相手は毒を付着させた剣を構え、振るう。
と同時ににマリィは振り向き、太陽神の能力である《太陽実体投影》太陽の力を使い、ものを創造し実体化させる能力を使い太陽の剣を錬成する。
そして、その剣で相手の毒剣を横薙ぎ払い。
"剣を弾かれ、スキができた相手をすかさず追撃するが、毒剣を太陽の剣で溶かされ戦意を失ったエルフは影に潜んで消えていく。"
マリィは《ゴッドアイ》の能力で何かが飛んでくるのを視認した。
「追撃くるよ!砦の入口付近で待機!」
その号令とともに、とてつもない速さで、とてつもない大きさの矢が100本ほど飛んでくる。
大きさにして凡そ太さ1m長さ6メートル。
"そんな大きなものをよく弓で打てるものだ。
《ゴッドアイ》で視認してはいたが、やはりエルフ1人、1人が打っている。20メートルはありそうなエルフの巨人を視認した。"
話を聞くだけではわからなったエルフの驚異をマリィは今まさに体感したのであった。
(これが...エルフ軍...)
ーーーーーーー
砦襲撃エルフ部隊司令部
「ちっ、まだあの変なエルフが残っていやがる。追撃をしろ。大魔術で砦を完膚無きまでに破壊したのち、激突隊は出てきたうじ共を掃討しろ!思い上がりをぶった抱いてやれ」
「承知」
エルフの指揮官はただ命令された事のみを遂行していた。その場にいるにも関わらず、自分で判断した指揮をせずに。
ーーーーーーー
「みんな!砦の外に出て!戦闘になるよエルフと」
「既に戦闘中だ気は抜いてない。マリィ殿より戦闘経験は上だからな」
「こちらも問題ありませんよ。どうせ激突隊でしょうし」
外へ出ていくマリィ達を待ち受けているものは居なかった。
しかし、突然それは起こった。
(あれ、《ゴッドアイ》が使えない...?ホルティスどうなってる?)
(エルフだな。ジャミングだろう。能力による監視を無効とするジャミングだ)
(だから見えないのか...くそ。)
「激突隊来ますよ!」
「えっ...」
それは来た。ぞろぞろ歩いてくる訳では無い。飛んできた。その足で、物理法則を超えた速さでそいつらは40人ほど飛んできた。そう、これが激突隊、エルフ激突隊。時速20万キロで一直線で敵目掛けて飛んでくる。当たれば即死不可避、相手は頑丈なので1度の激突程度では死ぬ事は無い。
""ドンッ"" ""ドンッ""と砂漠では絶対にならない鈍い音をたてながら追突してくる。
必死に避ける人狼族とシスビィ、そしてマリィは、まだ光より遅いから見えてはいるが、普通の人ならまず見ることは出来ない。
1度でも戦闘経験をしたことあるものならば分かること。
死ぬ寸前は10分の1のスピードでものが見える。
剣さばきを見すぎると剣さばきが遅く見える。
それと同様に、彼らは激突隊を見ることが出来た。
人狼族、60人、対する敵は40人ほど。
シスビィは激突してきたエルフ達を、迷いなく剣で殺していく。
エルフの基本武器は直剣と鉄弓である。
全ての激突隊を倒したマリィ達は、即座に先程来た方向とは逆の方向へと進行する。
ーーーーーーー
「...っ!くそ!クソ!!なんなのだ奴等は!!!次会ったのならば今度こそ...!!...はっ、王にご報告しなければ...。」
エルフの指揮官はそう言うと転移魔法を使い、エルフ王国へと向かった。
ーーーーーーー
砂漠を抜け、反対側の森に着くマリィ達、森で食材を調達し終え、森外の平野で焚き火をする用意をしていた。人狼族は完全に警戒をとき、人間の姿に戻っていた。
「お疲れ様、みんなそれにシスビィ」
「いえ、こちらこそありがとうございます!」
「お疲れ様、だがマリィ殿、貴殿の指揮の腕はまだまだ全然だな。」
夕日が沈み、地平線に太陽が落ちていく。
「仕方ないじゃん、あれ初戦闘なんだから」
焚き火の""パチッ パチッ""と言う音、60人程の人狼族はマリィ達の後ろで宴を開いている。
「ふふっ、気になってたんですけど、マリィさんとアトロさん...?でしたっけ?」
「そうだ」
「は、いつ頃お知り合いになられたんですか??」
アトロはハッとした顔をし、マリィを見る。
「そう言えば今日だな」
「確かに今日だね」
アトロと顔を合わせ、マリィも答える。
「えっ!仲良い感じなのにですか??」
「そうだ。そう考えると濃厚な一日だな。祝える気にはなれないが。」
「確かに...ジークさん...」
悲しげな顔を浮かべるマリィ。命を救ってくれた恩人が、半日と経たずに別れてしまったのだ。
「ジークさんって私を救ってくださった方ですよね。エルフの作戦に私もエルフながらまんまと乗せられたんですね。」
「でもさっきの戦闘でシスビィがその作戦に関与してないことがわかったよ」
「え?どうしてですか?」
「アトロももう気付いてるよね」
「勿論だ。エルフがもしシスビィを作戦に加えているのであれば、お前に魔法適性は絶対にあるはずだ。だがお前は根っからの魔法適性はなく、肉体系だ。それに、あの襲撃はマリィが居なければ確実に俺達は死んでいただろうな。勿論お前もだ。しかも同胞のエルフをあんなに苦しみなく殺せるのなら疑いはない」
マリィは頷きシスビィを見る。
「そういうことだ」
「なんか、ありがとうございます。私が答えられる情報であれば、なんでも答えますよ」
"そこに火矢がシスビィ目掛けて1本飛んでくる。
それを隣にいたマリィが、シスビィに刺さるか刺さらないかの所で片手で矢の棒の所を握って止める。
この時は既に《ゴッドアイ》の能力は使えていた"
「ひっ!」
"シスビィは驚いて前にのめり掛ける。
シスビィ達の前には焚き火の火がある。咄嗟にアトロは手で、火につかないようにした。"
(夜なのに火が熱くないな。太陽の力使えないはずなのに。)
(耐熱を獲得し、それを火属性完全無効耐性に最終臨界させたのだろう。)
(マジか、さすが神格の力だな。)
"火矢には、紙が巻きついていた。矢文だ。"
内容
『橙色の髪をしたエルフよ。お前を我が軍の戦士長にしてやろう。我の軍門に下れ』
マリィ、アトロ、シスビィは手紙の内容をみる。
「うわ、何だこのふざけた手紙」
「どうするんだ?」
「もちろん決まってるビリビリに破いて投げ返してやる!」
そう言うとマリィはビリビリに破き、シスビィの持つ弓を借り打ち返す。《ゴッドアイ》で方向は分かっているので、あとは当てないように打つだけだ。
「これからもよろしくなアトロ!それにシスビィ!」
2人は顔を合わせ頷く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます