第5話太陽×神=ホルティス
読み方
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" " ←主人公目線の表現
"" "" ←効果音
←表現
' ' ←誰かの考え
5・太陽×神=ホルティス
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その砦は要塞と言うより神殿であろう。
入口には扉はなく、ただ1本の大きな道があるのみ。
不思議なことに、砂漠の砂はその砦内に入って来てはなかった。
"奥へと進むと天井がくり抜かれ、空が見える。
その下には大きな水晶のような丸い球体。そしてその手前のところには階段が3段ほどあるが、とても人用とは思えない程の段の高さだ。"
シスビィはそこに、多少の数しかない木の実のお供え物を置き、祈りを捧げていた。
人狼族とマリィもきちんと祈りを捧げていた、その時だった。
マリィのみ、その場から消えたのだった。
「えっ...?ここは?おーい、みんないるー?」
辺りは真っ暗で何も見えなかった。どこを見ても何も無い。歩いているという感覚もなければ、地面に足をついている感覚もない。だが、落ちているという感覚もない。
「居らぬ。我以外にこの空間に入ることが出来るのは、我が許可したもの以外は入れぬ。」
"低くドスの効いた声。辺りに響くその声の主は、今まさに光という形で目の前に現れる。"
「ま、眩しい...」
「我は太陽神ホルティス。貴様エルフであるな?」
"そこには光り輝く火の鳥。いや、事改めよう。太陽の神鳥が目の前に現れたのだ。"
「え、あ、はい。まぁそうです。」
「名をなんというか?」
「あ、一応今はマリィって名乗ってます。」
「マリィ...か、転生者なのは知ってはいる。」
「神様...だからですか...?」
「まぁ、そうだな。神の固有能力で《ワールドアイ》を上回る《ゴッドアイ》と言うのがある。世界を障害無く隅々まで見渡すことが出来るのだ。」
「他には何かあるんですか?」
「ん?我ら神族の固有能力を知りたいと?」
「まぁ、はい。」
「良かろう。
《超成長域》特殊能力を獲得する時の条件が軽くなり、早い段階で最終臨界域にまで引き上げることが出来る固有能力だ。
《加護する者》信仰をするものや眷属などを自身の与えた力で守り助けることの出来る能力。実を言うとな、我はもう五十億歳だ。
寿命をとっくに過ぎておる。まぁ、我が消えても向こうにある太陽は健在だがな。」
「そ、そうなんですか。でも寿命を過ぎてもなぜ生きていられてるんですか?封印されたから...?」
「信仰するものが1人だけいたからだ。それに奴らの封印は卑怯だ。我を強制的に眠らせて他のもので封印させよった。昼であれば、効かなかったがな。」
そう言うと悲しそうな顔をうかべる太陽神。表情では無い。悲しいというような空気を漂わせていた。
「そうなんですか。えっと、信仰してくれた人って誰ですか?もしかしてシスビィですか?」
「その通りだ。彼奴はエルフでありながら、正義感に満ち溢れ、信仰を絶やすことなく我に供物を捧げてきてくれていた。あのエルフには感謝している。そして加護を少しばかり与えてはいるのだが、もうそれも出来なくなってしまうのだな。」
ホルティスはその悲しさを隠すかのように、自身の身体を輝かさせた。
「エルフは...憎いですか?」
"ふと思った。全ての神様がエルフによって封印されていたなら、封印された神様はきっと憎んでいるはずだ。でも、エルフのシスビィによって延命しているのであれば、憎しみはどうなのだろうか?"
「そうだな。憎くないといえば嘘になろう。だが、仮に憎くても滅ぼす訳には行かぬ。そもそもこの封印からは逃れられぬし、あと十日もすれば我は消える。」
「消える?死ぬんじゃなくてですか?」
「この世界の常識を教えてやろう。人や生物が死んだ場合、その親族や眷属、同胞以外の全ての生物はその死んだ者との記憶を絶たれ、居なかったものとして扱われてしまう。だから我が死んでも記憶に残ることは無いのだ。」
"家族以外の記憶には残らずに生涯を終える。
だからこそ、戦争で人が死のうとも、その殺したことを覚えておらず、罪悪感すらないが故に神は盟約で他の種族同士が絶滅しないようにしたのだろう。"
「なっ...それ悲しすぎませんか?」
「ふっ、悲しいか。そうだな、だが悲壮感に見舞われることがない。それ故に何を殺しても罪悪感が生まれないのだがな。」
「そうなんですか。というかひとつ疑問なんですけど何故俺を...私をここに呼び出したんですか?」
(一人称定まらない...どっちにしようかな。よし。私で行こう。いや、男の人だって私って言うじゃん?そういう意味でだからな?って...誰にいってんだ...)
「お前は転生者であり、神格の目を備え付けている。さらにお前の行動は、流されているものが多いが、その順応能力には驚かされているのだ。そこでお主に提案だ。」
「え?あっはい。」
「我の名を継ぐ気はあるか?我の名を継げば、神格化し、我の絶大なる加護を受けることが出来る。さらに神格化すれば神と同等の力を備えることができ、親族の固有能力も行使することができるようになる。」
「そんないい話をなぜ俺に?あっ、私に?」
"やはりさっき決めたことだ、そう簡単には慣れることは無かった。"
突然ではあるが覚えておいて欲しいことがある。
祖神と言われる神は全てで4種類。
原初神/元素神とも言われる。
恒星神/太陽神も恒星神の1人である。
惑星神/地球神や衛星神なども含まれている。
無神/何も属性を持たぬ神。姿や形はない。
その後神々が増え、大地神や海神、生物神や全能神などが現れ始めた。
祖神と言われるもの達は凡そ40億年生きると言われ、その他の神は長くても30億年しか生きることが出来ない。
「我は寿命がもう無いと言ったであろう。誰かに名を継がせれば、我は消えずにお前の中で生き続ける。更に神格の目を持たぬ者に名を与えても寿命が来てしまえば、我も死ぬ故な。」
「他の神格の目を持った方に頼むとかそういうのは...」
「ふっ、我はこの世界に慣れてしまったものは好かぬ。だからこそのお前だ。いやであれば断って良い。」
「やっぱり消えるのは怖いですか...?」
"素朴な質問だが、5000年間封印され、50億年も生きている生涯が、誰にも覚えられずに消えていく。そんな恐怖と悲しみ私は耐えられない"
「あぁ怖いとも。神ですらこの恐怖からは逃れられまい。」
「そうですよね。分かりました。名を継ぎます。でもどうすれば?」
「簡単な話よ。我がお前に我の名前を渡す。それだけでお前は神の力を得ることが出来よぅ。」
「なるほど!ってそれ簡単すぎやしません?」
「お前はな。我のみが苦痛を一身に引き受け、お前に名を渡すのだ。お前への影響は髪の色が今は緑であろうが、橙色と黄色のような色に変わるのと、神格化し、両目の色が黄色になり、神のオーラが自然と出てしまうところか。」
"初対面だが、ホルティスは信用ができる。だって、初対面の俺にここまでしようとしてくれているのだから。"
「そんな、何から何までありがとうございます。私は全然問題ないです!」
「気にするな、礼を言うのは我の方だ。よし、お前の名前は今日からマリィ=ホルティスだ。太陽神ホルティスの加護を受けしものよ。この戦い我と共に歩もうぞ。言い忘れていたがこの世界にいる限りは向こうの100分の1のスピードであるが、一瞬とは消えている。早く行くが良い」
(ホルティスと会話をするのはとても楽しかった。気は使うけどなんでも教えてくれた。)
(我はここにいる。お前の精神世界に留まり続けるだから安心しろ)
(そうなのか、なら怖いもの無しですね!)
一瞬ではあるがマリィが消えたのは事実。
アトロ、人狼族そしてシスビィはマリィを探していた。
「私はここだぞ」
声の聞こえる方へと目を向けるとそこには確かに見た目はマリィそっくりだが、神のオーラをまとい、オレンジ色で毛先が黄色いそして両目とも黄色いエルフがいた。
"階段の一段目に座っているが、片足を一段目に付けている。なんか偉そうである。"
「本当にマリィ殿なのか?」
「あぁ、私はマリィ。でもマリィ=ホルティスだけどな」
「神の...名前を...?」
「そうだよシスビィ。ホルティスの件色々とありがとうってホルティス言ってたから私から言おう。ありがとう」
人狼族は少しざわついてはいたが、アトロとミーナは冷静に見極めていた。
"マリィがシスビィに礼を言うとシスビィは感謝されたことがないのか少し戸惑っていた。"
「い、いえ!こちらこそ...?」
「さて、あんまり話す時間はないな。後で事情は説明するよ。その前にエルフのお客さんがこっちに向かってきてる。影に潜んでるのが20はいるな。他は普通のエルフみたいな感じだけど」
人狼族は慌て始め、そのざわつきは砦を響かせていた。
「まあ落ち着いて、とりあえずみんな隠れてくれ?きっと奴らはこの砦に足を踏み入れる。そしたら奇襲作戦だ!その為にもまず...」
太陽の加護を一身に受けたマリィは太陽神ホルティスの力の一端を行使することが出来るが太陽が出ている時のみにしか、能力を行使することが出来ない。
太陽神の
分身体がダメージを受けた場合、術者が解除した場合、術者がダメージを受けた場合、その分身体は消えてしまう。
「《太陽分身》これでカモフラージュにはなるだろう。あぁそれには触らない方がいいぞ?燃えちゃうからな」
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