幕間 ここまでのあらすじ

 4月、私立恋之丘高校に桐原きりはら海斗かいとが転入して来た。中学校時代のいさかいをきっかけに、周囲の人間を寄せ付けない空気を纏っていた海斗だったが、クラスメートの清水しみず晴夏はるかやクラス委員長の槇村まきむらまことの存在によって、徐々にクラスに馴染み始める。


 6月に行われた学祭では、クラスの企画として「ロミオとジュリエット」を演じた海斗たち。主人公のロミオを海斗が、ヒロインのジュリエットを晴夏が演じる事となり、初めは乗り気ではなった海斗も、クラスメート達の熱心な姿を見て、自分の中に大切な仲間たちの存在が生まれたのを感じる。以降は海斗自身も積極的に参加し、学祭は見事大成功に終わった。


 その後、夏休みには海斗、晴夏、誠、晴夏の親友である立花たちばな結以ゆいの4人で、旅行に出かけることになった。海水浴を楽しんだ後、夕暮れの海辺で、海斗は晴夏が自分のことを気に掛けてくれる本当の理由を知る。


 海斗はすっかり忘れていたが、彼は12年前にこの街で、偶然出会った晴夏が落とした大切なペンダントを共に探してあげた過去を持っていた。それ以来、彼女は海斗のことを大切な思い出として、胸に焼き付けていたのだ。


 晴夏の思いを聞き、自分の中で彼女が大きな存在となりつつあることを感じる海斗。10月の修学旅行では、2日目の夜、星空の下で微笑む晴夏を目にした瞬間、海斗はこれまで感じたことのない衝動を抱く。しかしその正体が何なのか、中学以降、周囲の人々を避けてきた海斗には知る由もなかった。


 そして、時は流れ12月。2週間後にはクリスマスを控えていた。海斗は自分の中に渦巻く晴夏への思いと格闘しつつも、これまで通りの学校生活を送ることしかできない。



 木村きむら譲次じょうじは、早々に止めてしまった目覚まし時計の音を忘れた頃、母親の怒鳴り声で目を覚ました。

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