第2話 外の世界は広大で

 テトは広大で何も無い草原に感動していると、道の行く先に何かがこちらにやって来てるのが見えた。

 それも猛スピードだ。


「ねぇネズさん、あれ何?」


『僕達はネズさんじゃなくて、導きの精霊サルタヒコだよ!』

「………サルさん!あれ何?」


 テトは聞いてるうちにも身の危険を感じ……ることはなく、サルタヒコの方が身の危険を感じてテトを持ち上げて逃げる。


『あれは 馬車 って言って、馬を扱って人が長距離を高速移動するためのものなんだ。』


「えー?馬が可哀想だよ………そうだ!逃がそうよ!」


『いやいや!あの馬車の装飾的に……先の街の地主みたいだし……やめといたほ』

「よーし、いくよ!」


 テトは横笛を吹くと、サルタヒコの姿が変わって鳳凰の姿に変わった。そして、テトはその上に乗って馬車の方へ飛ぶ。


「おい、あれなんだ?!」

「馬が可哀想だよ!!解放してあげて!」


 テトはそう叫びながら馬の上に乗ると、馬は暴れだした。


『テト!馬達が怒ってる!この人たちはいい人達だからやめろって!』


「えー?でも………?これなに?」


 テトは馬を助けるはずが、馬車の積荷の中にあるボトルを手に取る。

 そこには ウイスキー と書いてあった。


「ういすきー?」

「おいガキ!それは地主様の所持物だ!少しでも口にしてみろ、死ぬぞ!」


「………?」


 時すでに遅し。

 テトは忠告されてたにも関わらず飲んでしまったのだ。ウイスキーを。


 あれ、お兄さんが二人に見える…??サルさんも数十匹に増えた…?


「おいガキがどの高い酒飲んだら危険だぞ!今すぐ水持ってくるから大人しくしていろ!」

『テトが危ない!人間に化けよう!』


 サルタヒコはそう言うと、体が光だして男は思わず目をつぶる。

 目を再び開けると、そこには白髪で白銀の鎧を着た美しい男の人がいた。


「テト!大丈夫か!」

「…んー?あれー、デス?」


「違うよ!サルタヒコだよ!」


「ほ、保護者か!今すぐこれを飲ませろ!アルコールを完全に治めるアロエで作った水だ!」


 サルタヒコは即座に男から水が入ったボトルを受け取るとテトに慎重に飲ませた。


「………あれ?サルさんお兄さんになれたんだね」

「おいガキ大丈夫か?」


「あ!迷惑かけてごめんなさい!私はテト、こっちは私の友達のサルタヒコ、サルさんだよ!」


 唐突だなぁ………

 男は呆れて思わず額に手を当てた。


「俺はアーサー。地主様の元で金稼いでるんだけど……完全に飲みやがったな」


 アーサーはテトの口にしたボトルを手に取ると、呆れた眼差しをテトに向けた。


「んー……こんなに沢山あるのにまだいるの?」


「あのなぁテト、地主様は物凄い大食いでな無限の胃を持つらしいんだ」


 無限の胃

 サルタヒコはその単語に妙に引っかかるようだ。ちなみに姿は鼠に戻っている。


『無限の胃………おかしくない?』

「んーそうなんだけど………美味しいものを沢山食べると幸せになるよね!」


「おいおい、脳内花畑か。沢山食べるやつがお偉いさんになってみろ」


『部下達は全員貧困になってまでも食料確保を優先するよね』


 テトは頭がこんがらがっていた。サルタヒコもアーサーも色々と話すので分からなくなってきたのだ。


「ひんこんって何?困ることなの?」


「ああ。幸せなことが一切出来なくなってしまうことだよ」

「え!?そんなの嫌だよ!………なら私が地主さんに会ってみんなを幸福にするよ!」


 テトは胸を張ってそう言った。

 アーサーはそんなテトを見て、一瞬呆気に取られた。

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