第2話
「よう来たの」
祖母が出迎えてくれました。
祖母と孫との関係だというのに、会うのは四年ぶりでした。
そのうちに漁に出ていた祖父が顔を出しました。
頭の上には古くあちこちが破けている麦藁帽子。
白いタンクトップの上に、こげ茶色の長袖のシャツを羽織っているのですが、前は全部開けていました。
よれよれのタンクトップのため、胸の一部がけっこう見えました。
浅黒い肌の上に、肋骨が何本かはっきりと浮き出ています。
私がこの村に来なくても祖父が父の家を訪ねてくることは何度かありましたが、その時はいつも上着をきちんと着ていましたので、理科室にある人骨標本を連想させるような祖父の胸は、初めて見ました。
やせているとは思っていましたが、まさかこれほどとは想像もしていませんでした。
私はくいいるように祖父の胸を凝視していましたが、祖父は何故かそれには気がついていない風で、私に話しかけてきました。
「しばらくいるんじゃろ」
「うん」
「そうか、そうか」
そう言うとやせ細った右手で私の頭をなでると、家の奥へ行きました。
その日は親戚中が集まり、私の歓迎会のようなものが行なわれました。
歓迎会のようなものと言うのは、私の歓迎会と言うのはあくまで名目で、要は飲んで騒げればいいというのが一番の目的のように思えたからです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます