第3話
酒が入るとみな仲の良いもの同士で集まり、やたらと盛り上がっています。
未成年の私など、およびでないという感じで。
祖父の父が建てたという家は充分に古いのですが、かなり大きな家で一階の二つ続きの日本間は、間の障子をとっぱらうと、軽くニ、三十人が宴会できそうでした。
とは言っても、集まったのは十ニ、三人でしたが。
集団の輪が三つほど出来ていて、全て自分たちの輪の中だけで盛り上がっているので、親族でもやはり仲の良い人とそうでもない人がいるのだということを、改めて認識しました。
父はそのうちの一つに混ざりこみ、母は一人集団から離れてお茶を飲んでいました。
母はお酒が一滴も飲めない体質なのです。
お酒が飲めない母と、法律上飲んではいけない私の二人を置き去りにして、夜の宴は大声と笑い声の中滞りなく進んでいましたが、やがて母が言いました。
「私たち、ここにいないほうがいいみたいね」
私がそれに同意して、二人して大虎の群れの中から洋間に引き上げました。
もともとは日本間だったものを洋間に改造した、八畳ほどの部屋です。
この家は建てた当初は、日本間しかなかったのですから。ソファに座ってスマホをいじっていると、母が言いました。
「ごめんね。うちのお父さんもそうだけど、みんな酒飲みばかりで。それにしてもお父さん、国立大学出の文科系のはずなのに、お酒入っちゃうと荒くれ猟師と気が合うんだからねえ」
私が軽く笑うと母は「ジュース取ってくる」と言って部屋を出ました。
私はそのままスマホを触っていましたが、ふとなにかを感じ取りました。
――……。
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