第350話 女性三人の飲み会
アイダ
李子に彼氏がいた頃は、リンとお互いの彼氏のことを
今回もあまり乗り気ではなかったが、
呼びだされたのは将校専用のラウンジだった。こんなところ
ラウンジはおもったより広くはなかったが、アンティーク調の調度品やシックなデザインの
ロボット・ソムリエに奥の個室に案内されると、すでにリンとショートが待っていた。
李子はショートと久しぶりの再会を喜びあうと、すぐさま乾杯の杯を重ねた。最初はショートがこの基地をでていってから、何をしていたかの話で盛りあがった。リンはすぐに聞かされているであろう話を退屈な様子もみせず、李子とおなじように楽しそうに聞いていた。
「——というわけで、せっかく歌手としていファンがつきはじめたっていうのに一時休業っていうことになったんですよ」
ショートはリンのほうに恨み節をぶつけるように言った。だが李子にはその目は嬉々として輝いて見えた。
「わたしにはショートさんが人前で歌を歌ってるのがまったく想像できないわ」
李子が感想を口にすると、リンがすぐさまそれを
「でしょ。ショートはやっぱり、おしゃれなんかに構わず、研究に没頭している姿が似合うわよね」
「リンさん。私は研究に没頭しているときでも、身だしなみには気を使っていましたよ」
「それは彼がいたときでしょう。カミナ・アヤトや、そうその前に付き合っていたパイロット、
李子はぎくりとした。オブラートに包むこともなく、その名前を口にするデリカシーの欠如に腹がたつ。恋人をうしなった傷が癒えていないかもしれないのに、不用意がすぎるとしか思えない。
だが、当のショートはその心配が
「まぁね。そのときは、まぁ、ずいぶん頑張ったつもり。それはパイロットである彼に、すこしでも有利に戦ってもらいたいっていう思いとおなじかな。おんなを磨くのも、研究に没頭するのもね」
「そうね。それはわたしも同じかも。ブライトの役に立ちたいと真剣に思ってたわ。彼がわたしに任せて正解だったと思われたかったから……。これでもけっこう身を捧げたのよ。なのにブライトったら……」
そう苦笑気味に愚痴をこぼしたが、その文脈がとぎれる寸前に、リンは会話のスイッチを切り替えてきた。
「で、李子。ブライトはどうだった?」
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