第327話 あの数の魔法少女相手に武器をどうすりゃいい?
「武器をどうすりゃいい!」
アルは激高する気持ちを必死で押さえつけながら、目の前の面々に訴えた。
この集まりにはデミリアンの武器や兵器、防具の『プレート・アーマー』を開発、製造するクルーに加えて、デミリアンパイロットの5人、そして警護の草薙大佐が参加していた。
主任の玄羽介都(くろう・けいち)がその怒りを満身に受けるかのように、アルの正面に進み出た。
アルに合わせてなのか、彼も名前の『ケイ』とだけみんなに呼ばせている。
「アル、苛立ってる暇があったら、問題をひとつひとつ潰していくしかないでしょうが」
「ケイ、おまえも見たはずだ。あの魔法少女の数を!。オレたちが必死でこさえた『対・魔法使い兵器』もあの数に一気に襲われたら、とてもじゃないが間に合わない」
「ウィッチ・ソードとウィッチ・ブレードのことでしたら、『GW素子』が圧倒的に足りないから難しいと報告したはずですよ……」
「ウィッチ・ソードとウィッチ・ブレード?」
その呼称を聞いて、ユウキが尋ねるように復唱した。
「あぁ、聞いていないのですか?。あの魔法使い用の刀と剣の名前をそう呼んでいるんです」
「名前なんぞ、どうでもいい」
アルは自分の焦る気持ちが、自分ひとりで上滑りしているのを感じながらも、苛立ちをつのらさずにいられなかった。
「ですが、いくら剣を作って、プルートゥの体液の培養が追いついても、それを誘導する誘引剤である『GW素子』がまだこないんですから」
「まだこない?。どこからか送られてくるのですか?」
クララがパイロットたちが疑問に思っただろうことを、すぐさま質問した。
「ええ。火星基地とその近くのスペースコロニー『サイド2』から」
「火星?。なんでそんなとこから来ンの!」
アスカがケイに食ってかかるように質問したが、アルは統括責任者として自分の口で答えることにした。
「アスカ、『GW素子』は木星で見つかった特殊な液体を材料にしてるんだが、これがおそろしく経年劣化しやすいシロモンでな。精製するのに火星がギリギリ、いやそれでも厳しいんで、木星に一番近い『サイド2』で製造してるんだよ」
レイが訊いた。
「で、それで、どれくらいできるの?」
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