第296話 囮になるのはわたし
「レイさん。
十回連続ほどムチをふるってからクララが訊いてきた。
レイはぐっと柄をひっぱってみた。今度は簡単にひき戻すことができた。
レイはそのの
「クララ、あなたの剣で、イオージャ本体を狙える?」
「もちろん。
「いえ、囮になるのはわたし。クララ、あなたがやって!」
「わたしが?」
「初陣であなたを囮なんかにさせられない。タケルやリンに叱られる」
「では、どうすれば……」
「クララ、わたしがイオージャの胴を狙うふりをして、残りの魔法少女をそこへ集める。あなたは背後からとびだして、あいつの無防備の首をかっ
「了解です。なんとなくイメージは掴めましたわ」
「じゃあ、うしろに続いて!」
そう言うなり、レイは
イオージャのからだの周りにまとわりついていた魔法少女たちが、わらわらと正面に展開しはじめ、手をひろげてイオージャの正面に空中で立ちはだかった。
胴体周りを二重に取り囲んで帯状に広がっている。
まさに狙い通りだった。
レイは
その瞬間本部の誰かが叫んだ——。
「レイ。上!」
ナギナタを遠心力にまかせてぶん回した体勢のまま、上のカメラに目を這わせる。
中空にあらたな空間の裂け目があった。
そこからあっという間に、数百人もの新たな魔法少女たちが飛び出してきた。
なに——?。
振り抜いた
が、その瞬間、イオージャの背後の空間に閃光がまたたいた。
しまった——、と思った時には間に合わなかった。セラ・サターンのからだは前のめりに突っ込んでいて、その動きをとめることができなかった。
あたらしく現れた魔法少女全員がステッキを前に突き出していた。
「まじかるぅぅぅぅぅ……」
セラ・サターンは魔法少女がかざすステッキからはなたれた電撃の真正面にいた。
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