マッチ売りの少女

扉を開けるとさっきと同じくらいの雪が降っていた。さっきは入らずに閉めた扉、扉は1歩入った途端消えた。真っ白な雪にいくつもの足跡。街並みを見ていると、家々は、暖かそうな雰囲気だった。歩いてる人は幸せそうな顔をしている。ふと、どこからか、声が聞こえた。

《年の瀬も押し迫った大晦日の夜、小さな少女が一人、寒空の下でマッチを売っていた。マッチが売れなければ父親に叱られるので、すべてを売り切るまでは家には帰れない。しかし、街ゆく人々は、年の瀬の慌ただしさから少女には目もくれず、目の前を通り過ぎていくばかりだった━━》

待てよ!!テンプレ通りの、語り手がきこえてきたんだけど!!と思いながらまた、出て入ったら初めから語り手が聞こえてくるのか気になってしまった。そんなことを思い少し歩いていると近くの路地からなにか光っているのが見えた。気になりそこに近寄り歩いていくと、わーお、なんということでしょう扉発見!!ありがとう、声出して突っ込まなかったからかな!

扉を開けてみると思った通り、さっきまでいた。扉の部屋だった。俺は部屋に入り扉を閉め、5分した頃にまた、マッチ売りの少女と書かれている。部屋に足を進めた。すると

《年の瀬も押し迫った大晦日の夜、小さな少女が一人、寒空の下でマッチを売っていた。マッチが売れなければ父親に叱られるので、すべてを売り切るまでは家には帰れいー》

バタン

「うむ、テンプレ通りだねー、」

俺は少し楽しくなっていた。同じことを3回ほど、繰り返していると、上から紙が降ってきた。また、神とかいう人からのだろうと思いみると。

【遊んでないでさっさと行けよ!】

と可愛い顔文字付きで書いてあった。そろそろ、遊ぶのにも飽きていたので行くことにした。

マッチ売りの少女の扉の中に入るとまた、同じ語りが聞こえてきた。俺は、それを無視するように歩いた。にしても、少女いなくね?なんで?語りは聞こえても肝心の主人公がが見当たらなかった。

「あの…」

後ろから引っ張られる感覚がしたと思ったら、弱々しい声で震えて立つ女の子がいた。その女の子はぱっと見て直ぐにわかった。薄着でツギハギの服、左腕にはカゴ、かごの中にはたくさんのマッチ…つまり、マッチ売りの少女だ。


「えっと…あの…マッチを買って貰えませんか?」

寒いのだろう、震えていた。

話しかけようとしたが、マッチ売りの少女の話を思い出した。マッチ売りの少女は無視されるんだ。ダメだな、無視するしか、俺は少女を無視し歩いた。

「あの…」

なぜか、追いかけて来る少女……ん?追いかけて来る?…後ろから雪を踏む足音が聞こえる。振り返ると少女はまた、弱々しい声を出した。

「あの…マッチを…」

そんなに、俺は買ってくれる男に見えるのだろうか、まぁこんな少女にお願いされたら、買いたくなるなー。俺はまた、無視して歩き出した。

俺はふと思ってしまった。このご時世、お金が無いのになぜ、マッチを持っているのか、家がマッチ作りの家なのか?いや、なら。繁盛してるはず…なぜだ?なぜ、こんなかごいっぱいのマッチが?…まさか!俺はついてくる少女の方に向き直り

「君、万引きしたの?」

この答えしか出てこなかった。

「え?万引き?……」

あー、昔のヨーロッパだよな…通じないか…えっと、なんて言うかな…物取りか

「君、物取りしたの?」

「違います!なんで、そんなこと言われないとならないんですか!」

少女は顔を真っ赤にさせ少女は叫んでいた。さっきの弱々しい声とは多違いの声だった。物取り、盗んでないということはじゃぁ、どうやって?

それにしても、マッチ売りの少女てもっと気弱そうなイメージだったが……

少女はハッとしたようにまた、弱々しい声になっていた。

「あの…おじさん…マッチを…買ってくれませんか?…マッチを…全部売らないと家に帰れないんです…」

泣きそうな表情をしている少女を目の前に俺はなぜ、マッチを持っているのか考えていた。謎だ…。

「あの…」

少女は両手を温める素振りをしていた。

万引きしたものを買う趣味はない。どれだけ貧しくてもやっちゃいけない事だからだ。て言っても、前世は家で自宅警備員やっていた俺よりは子なりいい子なのではないかと思った。

「俺は盗んだものを買う趣味はないから、じゃ」

そう言うと少女はまた、顔を真っ赤にさせていた。

「だから!!盗んでなんかないってば!!!さっさと買ってよ!!この…間抜け野郎!」

「ま。まぬけ!?」

弱々しい少女から一変、くそ性格悪い少女になっていた。間抜けと言われるとは思わず、驚いていた。

少女はポッケから何かを取り出したと思ったらまさかのタバコだった。

「はぁ!?君いくつ!?タバコはダメでしょ!!タバコは!!」

少女が口に運ぼうとしたタバコを取りあげた。さっきの弱々しい少女の面影は全くなかった。目つきは鋭く口調は荒く、全く別人だった。

「ねぇ、タバコ返してくれない?…それとも、おじさんの新調したばっかりのそのコート燃やしてあげようか?」

わーお、とてつもなく毒吐く子だな…。

「大抵のおじさんはあれで買ってくれるのになー、おじさん、こーんな、いたいけでむくな少女に興味ないのー?」

少女は少しスカートを捲り上げ足を見せてきた。俺は驚き。着ていたコートを少女に掛けた。

「アホか、ねぇーよ、自分の体は大事にしろ、それやるから、じゃーな、」

俺はそういい、少女から、離れていった。

いたいけでむくな少女に興味無い訳では無いが、マッチ売りの少女て、こんな性格なのか…

「あー、ざみ…」

コートを渡してしまったため、自分が薄着になり、身震いをしながら歩いた。さて、ここからどうするか、宿くらいはあるだろ。実はコートの中にこちらで使えるお金が入っていた。それを抜き少女に渡してよかったー、さて、宿を探すかー


少女は初めて人に優しくされどうしたらいいかもわからず、立ち尽くしていた。

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