マッチ売りの少女
扉を開けるとその先は雪が降る昔のヨーロッパの街並みのような所だった。俺は呆然と立ち尽くしていた。落ち着けとりあえず扉を閉めよう。扉をゆっくり閉めてさっきいた中心あたりに戻り地面にあぐらをかいて座った。落ち着け、俺が間違ってなければここは、地獄か?それとも、ヨーロッパのどこかに飛ばされた?いや、俺英語できないよ!?日本語しか喋れん!!どーしろていうんだしばらく扉を観察していると。扉の上に小さく何かが、かけてあった。翌目を凝らしてみると【マッチ売りの少女】と書かれていた。
マッチ売りの少女?あの、小さい子が大好きな?クリスマスによく読まれるとかっていう。そう言えば、マッチ売りの少女てヨーロッパだったっけ、でも。クリスマスの話だったよな…つまり…あの扉のむこうはマッチ売りの少女のお話の世界?なのか?いや、現実的に考えてありえん…他の部屋にもなにか書いてあるのか近ずき扉の上の方を見つめた。白雪姫…ん?なんか、ちょー小さくなんか、書いてある…読めねぇ…まぁいいや、他には…ヘンゼルとグレーテル…人魚姫…グリム童話ばっか…てか、ヘンゼルとグレーテルとかなんの話しだったかすら俺覚えてねぇ…さて…どうするか…
いろんな部屋の上に書いてある文字を確認し中央に戻り。ここでずっと過ごすのも暇だ…試しに一部屋入ってみるか、俺が覚えてる話だと…マッチ売りの少女と白雪姫と人魚姫か…もし、ここが地獄なら、なにか試練でもあるのだろうか、気を抜かないようにして行かないとな、
俺は最初に開けたマッチ売りの少女の部屋の前に来た。この先に未知の世界なのかもしれない。死ぬ可能性もあるかもしれない…てか。さっき見た時雪だったよな、こんな薄着だと死ぬぜ?
後ろからドサッという音が聞こえすぐさま振り返ると厚手のコートと手袋とマフラーが綺麗に畳まれて置いてあった。
どこから、こんなものが…誰かいるのか……いや、誰かいる気配はしなかった。足音も、誰だ…少し怖くなった俺はマッチ売りの少女と書いてある扉の横に足を抱えてコートと手袋とマフラーが置いてる場所を見つめた。
「俺以外にここにいたってことか?…それとも……」
俺は上を見た。ここが地獄なら、こんなコートや手袋、マフラーなんてくれるわけが無い。
俺の憶測はここが地獄ではないという考えになっていった。そして。もしかしたら、天国なのかもという考えになった。だが、天国ならなぜ。俺の欲しいものをくれないのか、また、なぜ、グリム童話の話の題名ばかりなのか、そして、もしかしたら自分は死んでいないのではと言う考えにまでなってきた。
上を見ながら考えていると上からなにか小さいものが落ちてくるのが見えた。それは、どんどんどんと落ちてきてコートと手袋とマフラーが置いてある場所に落ちた。俺は気になり落ちた場所に歩いていく。紙を拾い何が書いてあるのか見てみると…
【いらないの?】
と、書いてあった。
「なんだよ…これ…」
俺は、恐怖に襲われた。どこからか監視されているのではと思ったからだ。その紙から文字が浮かび上がり始めそこには
【怖がらなくていい、私は神だ、お前にかけているものを探せ】
意味がわからなかった神って、俺は死んだはずでは?ここはどこなんだ?
聞きたいことがたくさんあるが、3つに絞り聞くことにした。
俺の心の中の声が伝わっていることに恐怖を感じつつ恐る恐る声を出した。
「じゃぁ、神様とやら、俺は生きているのか?死んでるのか?それと、ここはどこなんだ?」
また、紙に文字が浮かび上がってきた。
【お前は死んだ。ここはどこかは知らなくていい。お前の足りないものを探せ扉の向こうに答えはある】
俺の足りないものってなんだよ…
紙は俺の手元から離れ紙から急に炎が付き燃え尽きた。それを俺はぼーっと見ていた。自分の足りないものなんて山ほどある。協調性、自立心、積極性、山ほどある中のなんだって言うんだよ…
燃え尽きた紙が少し残り地面に落ちるのを見ながら自分の足りないものが山ほどあることを実感していた。引きこもりをしてきた自分に足りないものを探す。それはそれで、地獄か天国、どちらにしても、死後の世界ですることがないならそれはそれでいいのかもしれないと考え、コートを羽織りマフラーを首に巻き、手袋をはめ、また、マッチ売りの少女の扉を開けた。
自分の足りないもの、探してやるよ。探して
身につけてやる。
俺は薄笑いをしていたのに気が付いていなかった。
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