変わったマッチ売りの少女と共に

第1話マッチ売りの少女

カタカタカタ

いつもの昼過ぎ、部屋に響くのはパソコンのタイピング音と機会のモータ音。23歳、自宅警備員歴4年、自宅警備員というが自宅警備員に業務があるのかと突っ込みたくなる、簡単に言えばニートだ。就活に失敗をし断念をして部屋に引きこもっている。親のスネをかじり続け生きてきた。嫁もいなければ子供もいない。順風満帆な俺の自宅警備員生活。この先永遠に続く、この生活最高!

そんなことを思いながらパソコンで今期のアニメのチェックをしていた。いいのがいろいろありそうだ。あ、前期のアニメの見直ししよう、今期のアニメが始まるまでまだ日がある。転生系はハマるなーやっぱりヒロインが異世界人なのがまたハマる理由だよなー。

後ろから部屋の扉が開いた音、母さんが飯を置きに来たのかと思った。衣食住は全てここで過ごしているから母さんが飯をここまで持ってきてくれる。でも、いつもの様におぼんを置く音がする代わりに耐えきれない猛烈な痛みと血が出る感覚そして、父親の声が聞こえた。

「お前が…お前が悪い…なんで…なんで俺が…」

痛みに耐えきれず床に倒れる俺を横に父親はずっともごもごと喋っていた。

なんだ、これ、痛い。くそ痛い。刺された!?血が出てる。父親がニートの息子刺すてよくニュースであったけどまさか自分の身に起こるとは、てか、これ死ぬパーティン?てことは、てこては!?転生ワンチャンあり!?て、このご時世に漫画やアニメの、転生があるわけないじゃんwまぁ、自宅警備員4年もしてたんだ地獄かなーでも、高校生までは優秀でいい子にはしてたから天国かもwあ、今期のアニメ…なにが…あったっけ…なんか、凄くいいのがあった気がする…見たかったのに…

猛烈な痛みと遠くなる意識の中最後に聞こえたのは父親声と父親の涙か鼻水がカーペットに落ちるのを見た。


俺の人生短かったな…23年、まだまだ、やりたいことたくさんあったのになー、彼女作って結婚して子供作って、幸せな人生を送りたかったな、就活に失敗をしてニート生活を送った挙句、父親に刺殺されるとは、無念だなー1回でいいから女の子とエロエロな関係になりたかった!!それが心残りだな…童貞のまま死ぬとは、情けないな…次の人生があるなら、カッコイイ男になっていい人生を送ってみせる!!絶対にだ!!


あれ?ここどこだ?刺されて死んではず。

目を開けたらそこは、白い部屋にいくつもの扉がある部屋の中央にいた状況を把握しようと自分を少し観察をした。服は白い綺麗なワイシャツジーパンに綺麗な靴を身につけて立っていた。顔はどうなってるんだ?鏡がないからわからない…携帯とかないのか、ジーパンのポッケを触るが入っていなかった。

このご時世に携帯がないとは終わった。にしても、自宅警備員やっていた時は着るものはいつも決まっていて薄汚れていた服ばかり着ていた。死んだら綺麗な服にしてくれたのか!今までは神様なんていないと思ったが…いや、閻魔かもしれん…とりあえず、ありがたや…ありがたや…

それにしてもだ。どこなんだここは、扉しかないまさか、これが地獄!?俺にとってもっとも地獄かもしれない携帯なしパソコンなし、完全なる地獄。すみませんでした。ニートしてて、親のスネをかじって生きててすみませんでした。頼むから携帯!パソコンを、恵んでくれぇ!!!!内心の気持ちを叫びたいのを抑え状況を把握しようと頭を回した。仮にここが地獄なら扉からドーン的な感じで金棒持った鬼が出てくるのか!?やめてくれーおじちゃん泣いちゃう。

天国だったら、こんな天国ごめんです。神様携帯。パソコン恵んでくください。俺、倒れちゃう。

「……………」


来ない。鬼も何も来ないこれは、こちらから行かないといけないのか!?閻魔とかいないの!?仕方ない行くか…

目の前にあった。扉に向かって少し歩きドアノブを下に下げた。

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