第46話 変身!

 僕らは移送車に乗り込む。


「アルナ君、変わったね」

 ふいに流輝さんがそんな事を言ってくる。


「僕、変わりましたか?」

「うん、なんか威厳ある感じっていうか」

「威厳ですかっ」

 僕は笑った。


「この軍服になったから……ですかね」


 僕は中暗王になって、オリジナルの軍服を貰った。全体の約半分が白だ。白使いの呼び名にふさわしい感じになっている。


「ううん、軍服もそうかもだけど、アルナ君自身からの気迫が出てきたっていうか」

「そうですかね?」

「あと、表情豊かになった」

「んー、確かにそうかも」


 そんな事を話していると。


「私、アルナ君が自分を出して来てくれてるみたいで、嬉しいよ」


 彼女は、そう言った。

 そこは笑うかと思ったけど。少し真剣な顔で言ってる。


(……綺麗だな、流輝さん)


「僕も、だんだんと自分を知ってくれてる感じで、嬉しいですっ」

 僕は素直に、満面の笑みでそう返した。


 ──すると、なんか流輝さんが変な顔をしている。


 何か驚いてるか──いや、恥ずかしがってるようにも見える。


「どうしました?」

 そう聞くと。


「ううん、──なんでもない」

 そう言って流輝さんは顔を逸らした。


「車内暇だし、なんか軽いお話でもしないか?」

 爽也さんが話を始めだす。


「業助君と式君って、青当でいつから一緒にいるんだ?」

 爽也さんがそんな事を聞くが。


「──君……じゃない……」

 式が小声で言う。


「え?」

「──だから、『君』じゃないって」

「『君』じゃないって、どういうこと?」

「僕、女だから」


「「────え?」」

 みんなが声を合わせて驚く。


「そっ、そうなのか? 業助君」

「あぁ、式は女だぜ。俺は実際に一瞬だが見たことがある!」

「ちょっ、業助! それは!」

「あれは、訓練時代。俺はふと間違えて女子更衣室に──」

「おっおい! 業助!」

「ハハッ、言わねぇよ」

「もー」


 式はふてくされる。


「確かに、その格好ではどう見ても男に見えますね」

 木賊さんが言う。


 軍服の上にローブを羽織って、帽子を被り、マスクもしている。それに、ズボンだ。どう見ても男。


「服装変えてみたらどうですか?」

 そう紫織さんが提案すると。


「そうだな……考える」

 式はそう答えた。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 僕らは銀青軍南部支部に到着した。

 部屋の用意もして、翌日。任務で集合する。


 堤防前にみんなが集まった。


 ──だがそこに、見知らぬ綺麗な女兵がいる。

 そして、式が見当たらない。


「あれ? 式さんはどこ?」

「いませんね」

「探しに行くか?」


 みんなが心配するが。


「──あのなぁ、僕が式だよ!」


 女兵がそう、ありえない事を言い出す。


「──よし、戻って式を探しに行くか」

 僕はありえないと思って、無視してそう言うと。


「だから! 僕が式だって! そんなに見えないか?」

 女兵は再びそう言う。


(そんな……馬鹿な……)


「──え、君が……式?」

「だから、そう言ってるだろ!」


 ──そういう彼女は、白髪ロングで、帽子もマスクも被ってなく、軍の中で一番かわいいって言われてるスカート型の軍服を着ていた。


「なんだ、何かおかしいか?」

 彼女は恥じながらそう聞いてくる。


 ──いや、おかしいも何も。





 ──超絶美少女じゃねぇか。


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白光の闇使い 竜風 真 @shinmayumako

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