第45話 集結

 黒陽隊の任務は、孔紫こうし方面での戦闘だ。

 孔紫こうしは、青当と敵対していた地域だ。銀青になったから、僕らも戦う事になった。


 朝起床して、移動の支度をする。

 僕は「神と僕」七巻を、折れないように荷物の内側にしまう。


 そして、移送車に乗り込むのだが。

 ここで黒陽隊のメンバーが初めて全員ご対面するわけだ。


 移送車前にメンバーが集まる。

「では、黒陽隊の点呼アンド自己紹介しますか」

「じゃあ一応僕から、右回りで」


 僕はそう伝えて、自己紹介を始める。

 全員知ってるからいらんとは思うけど。


「僕は、黒陽 亜月光中暗王。これからこの隊の隊長になるから、まぁ、よろしく」


「俺は王突きみつき 爽也。大佐だ、よろしく!」

「爽也さんには、主に前衛を担当してもらう事になる」


 僕は一人一人の自己紹介の後に、立ち位置を説明していく。


 ──木賊さん。

「木賊さんには、中後衛で主に援護射撃をしてもらう」


 ──流輝さん。

「流輝さんは、前中衛で前衛の援護。あと大きな攻撃が来たときの防御もお願いしたいです」


 佐部さん──


 って思ったけど、全員下の名前で呼んでるから紫織さんでいいか。


 ──紫織さん。

「紫織さんには主に中衛を」

「しっ、──わっ分かりました」


 一瞬名前で呼んだのに驚いている様子だったが、飲み込んでくれた。


 ──業助。

「業助はもちろん、前衛。必要だったら僕と業助の連携技も使っていく」

「おう!」


 式──さん?

 式──ちゃん? ──は流石にないか。


 いや普通に式でいいや。


 ──式。

「式には中衛を担ってもらう」


 そして、新しい二人。

「ぼっ僕は、田耕たがやし 六斗りくとです! 少佐です! 力不足かもしれませんが、これからよろしくお願いします!」


 ──随分意気込んでるな。

 まぁ、だいたいみんな年近いし。こういう隊に入るのだからそうもなるか。


「六斗君は主に後衛。彼は優秀な治癒使いだから、誰かが怪我したら治療してもらう」


 ──そして志暮さんだ。

「私は、時訪 志暮少暗王です。よろしくお願いしますっ」

 彼女はそうみんなに微笑みかけた。


「時訪……って! あの金剛倒しの!?」

「本当!?」

「まじか!?」


 みんなが驚き出す。

 ──そりゃそうだ、僕も驚いたから。


「その通り、志暮さんは金剛倒しの志暮さんだ。彼女の闇について少し説明するね」


 僕は彼女の闇の説明を始める。


「志暮さんの闇は透明で、光の屈折を操って、あらゆるものを隠したりすることができるんだ。やってみて」


 僕が言うと、彼女は腰の短刀型の闇器ギアを取り出す。すると。


「消えた!」

 ──彼女の姿が消えた。

 けど完全に消えたわけじゃない。


「こんな感じに消える事ができる。けど、空間が歪んで見えるから、完全にバレないわけじゃない。志暮さん、あれもやってみて」


 僕は更に言うと。


「今度は横にずれたぞ!」

 彼女の姿が元の場所から横に見え出す。


「こういう事もできる」

「志暮さんにはこれを使って、基本後衛だけど、スキができたら攻撃をしてもらう。あと、特殊な任務だったら、それに対応してもらう」


「それじゃあ車に乗りますか」


 僕らは移送車に乗り込む。


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