銀青篇
第42話 昇進の白使い
──そして数日後──
「居心地はどう?
僕は苦笑いで聞く。
「ここ、訓練場だしな」
ついでにそう呟く。
「ううん──とってもいいよ」
──
──心の中では喋ってたけど、まさか実際に喋るとは思ってなかった。
それに、竜らしからぬ女の子っぽい声だし。
やっぱりメスだったのね。
闇操作で振動を操れるから、直接口は動かしてないけど会話ができるんだと。
それで、今。
「私、ここ気に入った!」
屋外は、
まぁ、人間からしたら広い庭付きの家くらいには良いのだろうか。わからないが、少なくとも
僕としても、屋外でいつでも
それで流輝さんが
「
そう伝えた。
「えへへ」
──あんなに残虐の限りを尽くしていた竜がこんなに人懐っこくなるとはな。
──特に僕には。
「ねぇアルナ、抱きしめていい?」
「え?」
そう聞いては来るが、許可は取らずに僕を尻尾で巻き取り、体に寄せる。
「ふふ、あったかいな」
「そう?」
──救えて良かった。
けど。
「うん。もっと抱きしめたい」
「うがっ ちょっ締めすぎ……」
「ふふふ」
「うぐっ しっ死ぬ 死ぬぅ!」
──どさっ
僕はたっぷり生気を文字通り物理的に吸い取られた。
「だっ、大丈夫?」
流輝さんが駆け寄って、はにかみながら聞いてくる。
「はは……死ぬかと思った」
──確かに、「救ってやる」とは言ったけど、これはなつきすぎだな……
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そして、竜との戦闘が終わった事によりいくつか変わった点がある。
まず状勢だ。
今まで争ってきた青当と銀海は、青当の協定関係地域との剥離などにより、戦う理由が無くなり協定関係を結ぶ──
──のが普通だけど。
協定を結ぶどころか、二つの地域は合併して「銀青」になってしまった。
もう土地間の堤防などを無くし、土地自体を一体化する動きも始まっているそうだ。
そして、新しくなった銀青は軍服も一新して新しいのに変わった。
紋章は二つの紋章を合体させた感じで、楕円を斜めに切って右側が銀に塗られ、その真ん中に青い丸という感じだ。
それで、竜との戦いでの功績を認められたものは昇級する事となった。
閃霧隊のみんなは、前と同じく一個上がった。
業助と式も、業助は二つ上で式は一つ上の、大将に上がった。
──っていうか業助前は少将だったのか、僕より断然上だったんじゃないか。
そして僕の階級は──
「黒陽 亜月光──」
「はっ!」
「其方は、竜との戦闘で先陣を切って大いに貢献し、最終的には竜を我が物とし、我々銀青軍にとって大きな戦力となりうる可能性を提示してみせた」
「そして、其方の闇の操作術、戦闘能力、思考力全てと、これからの活躍を考え──」
めちゃくちゃ褒められるな……
まぁ。
それだけの事を僕はしたのか。
さて、どのくらいの階級になるか──
「──其方を、中暗王の階級に任命する」
え……
めっちゃ上がったな……
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