第36話 破壊の使徒、降臨。
──僕は
みんなが僕をたたえて来るかと思った。
けど違う。
みんな放心している。
「倒しちゃった……」
流輝さんがありえないものを見るような目で僕を見ている。
「ほとんど一人で……」
横にいた木賊さんが、唖然としながらそう付けたした。
みんなを見てみると、みんな唖然として立ちすくんでいる。
そして業助が僕にある一言を。
「アルナ……。お前、チーターかよ」
「え?」
そんな事──あるかもしれない。
いやでも、僕は闇の仕組みを利用して倒しているだけであって決してチートとかではない。うん。
「なんで倒せた?」
業助がそのまま率直に聞いてきたので。
「
続けて僕は説明を続ける。
「そのすきに頭一本切り落としたけど、残りの二本が怒ってさらに強くなったんだ。ただ殺意を向けるだけじゃだめになった」
「そんで?」
「そこで思いついて、頭それぞれに別の感情をぶつければ、混乱すると思ったんだ。やってみたら、実際混乱したよ」
「──そうか」
「僕の意識に反応したのは、おそらく頭三つそれぞれに闇器が埋め込まれていたんだろう。
「はい。確かに、頭三つそれぞれに闇反応が確認できます」
「……」
黙り込む業助。
そしてこう言う。
「アルナ。さすがは俺が認めた男だぜ!」
その言葉で、みんなが少し笑う。
「やっぱり強いね。アルナ君は」
──これで、一段落ついたか。
あとは普通の兵を倒して行けば──
そう思ったんだが。
──あれ? 兵がいない?
倒した感じではない。
引いたのか?
しかし、落ち着いた空気だ。
そして、何やら羽ばたく音が聞こえてくる。
鳥か?
みんなが辺りを見渡す。
──しかし何もいない。
そして足元に。
大きな影が現れる。
上?
僕は上を向いた。
遠く、高い所で何かが羽ばたいている。
高くてよく見えない。
羽ばたく音が次第に大きくなり、それは近づいて来る。
「来るよ! みんな逃げよう!」
流輝さんがそう言って。みんな気を取り戻し、離れる。
走っているが、羽ばたく音はどんどん大きくなる。
衝撃も大きくなっていく。
──そして。
それは、降り立った。
その衝撃で僕らは勢いよく吹き飛ばされる。
僕は闇でどうにか着地した。
そしてその方向を向くと。
それは衝撃で周りの建物を破壊する。
そして、大きなコウモリのような翼をはためかせる。
頭から胴体、尻尾にかけては爬虫類のそれのようで、地面を踏みしめる四本の足は肉食獣のような力強さを兼ね備えていた。
体全体が数々の鱗で覆われいる。
──そう。
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