第30話 三人共闘

 残党が迫ってくる。


「戦うしかないみたいだね」


 残党が大きく拳を振りかざす。


 イィィイン

「私が防ぐから、二人で攻撃を!」


「はい!」

「言われなくても!」


 僕らは横から飛びつく。

 残党は僕の攻撃を左手で跳ね返し、業助を蹴り上げる。


「そこ!」


 少しの隙を見て流輝さんが攻撃するが、闇の鎧が硬い。


 すかさず僕も続けて攻撃を入れる。

 業助も体勢を立て直し、横に斬る。


「小賢しい!」


 残党はそれらを全てはねのける。


 そして、業助に攻撃を向けるが──


 ──流輝さんが防ぐ。


 そして僕と業助は後ろに周り


「「おらぁ!」」


 同時に同じ所に攻撃を加えた。


 ──すると。


 パキッと残党の闇が少し割れる。


「この程度!」


 残党が振り返り、僕らを薙ぎ払う。

 そして割れた闇は再生する。


「今のは……」

「あぁ、少し効いたな」


「それに、闇の鎧を纏う以外の攻撃手段はないみたいだね」


 ──少し光明が見えてきたか?


「業助、もう一回だ」

「あぁ、わかってる」


 僕らは同時にもう一度同じ場所に攻撃を仕掛け、飛びかかる。


「させん!」


 残党が体勢を低く取り、下から殴ろうとしてきた。


「こっちもさせないよ」


 そこを流輝さんが守る。


 僕らは一旦残党の肩を踏み台にし、横に避け、即座に後ろに回り込む。


 そして背中に向けて大きく振りかざす。



 パキッ パキ


 残党の闇が少しずつ割れていく。


 ──やったか、と思ったが。


「この程度!」


 闇の鎧の割れた上から、さらにもう一枚闇が重なる。


 僕らは一旦引く。


「やっぱりだ」

「あぁ、あの硬い闇でも急激な温度差には耐えられないみたいだな」


「──でもまだ威力が足りないみたいだね」


 ──どうしたものか。


 少しの間時間を稼げれば──


 ──そうだ。

「流輝さん!」

「何?」



 ────────────────────


 残党が接近してくる。


「時間を稼ぐよ!」


 流輝さんが、闇の盾で残党の攻撃を防ぐ。

 そして闇が広がっていく。


 ──残党が闇の球に囚われた。


「くそっ! このっ! んっ!」


 残党が中で暴れている。


「このっ」


 さらに激しく球に攻撃を加える残党。

 闇の球が緩み始める。


「このやろぉぉ!」


 球が大きく緩み、今にも切れそうだ。


「できました!」

「うん!」


 僕の合図で流輝さんは闇を解き、下がる。


 ──そして。


 業助の持つ剣には今までよりも熱を帯びている闇が纏っている。

 それは壁を溶かしきっている。


 僕の月光剣サテライトは、凄まじい冷気を帯びている。

 それは周りの水蒸気を固め、その壁は氷結している。


 そしてそれを勢いよく残党に──


「「月陽氷炎斬げつようひょうえんざん!!」」


 ──叩き込む。


 残党は防ぐ暇も無く胸に攻撃を受けるが。

 闇の鎧を固める。


「「であぁぁあああああ!!」」


 ──そして。



 バキィィイイ


 闇の鎧がついに割れた。


「流輝さんっ!」

「うん!」


 ──そして、流輝さんがその槍を突き刺す。


「ガハッ」



 ──残党は倒れた。

 そしてこう言う。


「私が、破れようと……金剛は破れぬぞ……」


 そして、息が止まった。


「倒した……か……」



 残党の兵を倒したのだ。


「っていうか俺まで技名叫ぶ必要あったか?」


「当たり前じゃないか、合体技なんだから」


 業助がくだらん質問をしてきたので、当たり前だと僕は返した。


「──一旦、退避しようか」


「そうですね」


 流輝さんの提案に僕らも乗る。


「んじゃ、またなぁアルナ君っ」


 業助はすぐさま去っていった。


 ──僕らは堤防の内側まで向かう。

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