第25話 策士vs無謀

「僕は式、そう呼んでくれ」


「んー俺はどいつと戦おうかなー、あっ。 あそこにいるのは昨日アルナ君が守った娘じゃん。あの娘にしよ」

 業助が流輝さんの所へ向かう。


「流輝さんっ!」

「君の相手は僕だよ」


「式……」


 僕も向かおうとすると、式に阻まれた。


「その娘の所に行きたかったら僕を倒してみなよ」

「あぁ わかった」


 僕は先制を仕掛ける。


 が、式の鞭状の闇器から出る触手のような闇に防がれた。


 色んな方向から攻撃を仕掛けるが、そのうねうねした闇にいなされてしまう。


「業助のお気に入りにしてはそんなに強くない気がするな」


「そうか、じゃあこれはどうだ」


 僕は月光剣を横に持ち意識を集中した。


月光双刃げっこうそうじん!」


 月光剣サテライトの剣先から、もう一本剣が。僕はその闇の剣を構えた。

 咄嗟に浮かんだネーミングだが、結構いいかも。


「曲芸かな?」


 僕は2本の剣で斬りかかる。

 式が少し苦戦している感じだ。

 これはいけるか?


「だめだな」


 ズシュッ


 月光剣サテライトと手元の闇の剣を繋ぐ闇のリードが切られた。


「本体と闇の剣を繋げてる部分があるという事は、君は闇器から分断された闇を操る事はできないと言うことだ。」


「くそっ」


「──を見せてあげよう」


 ──まさか。


 僕は察して避けた、が。

 右太ももに傷を負った。


 後ろからどこからともなく闇が攻撃してきたのだ。


 僕は急いで廃墟ビルに逃げ込む。

 式が追ってくる。ビル内を走り回りながら逃げまくった。

 どこからともなく攻撃してくる闇を、どうにか避けながら。


 ──そして、長い廊下の先に窓が一つある空間。


「ここは一本道。倒させてもらうよ」

「それはどうだろう」


「今の君に何ができる──」


「忘れたのか? 僕は遠隔爆発することができる」

「それがなんだ」

「そしてここはビルだ。 僕は何故ビル内を走り回ってたと思う?」


「──まさか!」

 式が驚く。


「そうだ、僕は逃げ回る時に闇結晶をばらまいておいたっ」


 そう言い放ってすぐ、窓に向かって走り出す。


「くそっ!」


 窓から飛び降りる寸前に僕は。


「遠隔爆発!」


 そう言った。

 式の闇が上側の防御に集中する。


 ──そこだ!


 僕は足を止め、予め伸ばしておいた闇の剣で、式の後ろから左腹を貫いた。


「ぐはっ!」


 式は腹を抱えこむ。

 致命傷は与えられ無かった。


「お前……この状況でそんな嘘が浮かんだって言うのか」


「そう。それに僕はこのビルを破壊できる程の闇結晶を持っていない。そして、嘘をついていたのは式。君もだ」


「闇器から切り離した闇を操れるように見せてはいたが、つなぎ目を限界まで細くして、見えなくしていただけだ」

「良く見抜いたなっ」


 式が急いで逃げ出す。

 窓から飛び降りる。

 僕も飛び降りた。


 ドォ

 着地すると。


「式! 大丈夫か!」

「業助……」

「一旦退避するぞ」

「あぁ」


 業助は、式を担いで逃げて行った。


 ──流輝さんは?


 僕は流輝さんを探す。

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