第24話 策士現る

 ──僕と流輝さんは、銀海軍南東部支部長に呼ばれた。


「入れ」

「失礼します!」


「君が黒陽 亜月光か?」

「はい」

「私は銀海軍南東部の支部長、上田うえだ 義人よしひとだ、君たちには色々と聞きたい事があって呼んだ」

「はい」


 其先支部長とは違った厳しい感じがする。


「君は青当の兵の闇器をなにもせず破壊したと聞いだが、どういう事だ?」

「はい、僕はこの月光剣サテライトを遠隔操作することができます。そして、僕はこの月光剣サテライト以外の闇器を使うと爆発してしまいます」

「──つまり、敵の闇器を操ろうとすれば、爆発させられる、と言うことだな? 閃霧中将、君も確かに見たのだよな?」

「はい、黒陽大尉は青当の闇器に手を向け、爆発させていました」

「……」


 上田支部長が黙りこむ。


「ぐっ、ぐぅぅ」

 支部長が唸り声を上げている。



 しばらくの謎の間が通り過ぎると。



 さっと支部長が近づいて来て

 僕の両手を握る。


「黒陽君っ! 君の闇はとてつもなく興味深い!?」

 支部長が急にはしゃぎだした。


「なぜ君の扱う闇は白いんだい!? 遠隔操作はどうやって覚えたんだ!? 君が他の闇器を扱えないのはどうしてだい!? 君は闇で月光剣サテライトを形作る事ができるという噂も聞いたのだが!? フンスフンス」


 支部長が子供のようにはしゃいで僕に聞いてくる。


「あっあの、そっそれは……」

「おっとすまない、つい興奮してしまったよ」


「僕にも正直よくわからないんです……」

「そう……なのか」

「はい……」


 支部長があからさまにしんなりする。


「まぁわからないなら仕方がない…… しかし! また何か面白い事ができるようになったら、是非教えてくれたまえ。期待しているぞ!」


 僕らは支部長室を出る。

「上田支部長は、あんな感じで闇が大好きなんだ」

「そうなんですね」

 僕は苦笑いで返す。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ──翌日──


 今日も任務だ。

 戦闘区域に向かう。


 壁を抜けると、その向こう側にがいた。


「昨日ぶりだなぁ、アルナ君……」

「業助……」


「んじゃ爆破するね」

 僕は躊躇なく業助の闇器に意識を向ける。


「ちょちょっ、ちょっとまてって」

 気にせず意識を高める。



 ──だが爆発しない。


「やっぱりな、ちゃんと闇器に意識を向けていれば、爆発を抑えられる」

「なんだって」

「これで正々堂々勝負できるぜ」


 ──流石にそんな上手い話は無かったか。


「けど」


 僕は、業助の近くで突っ立っていた青当の兵の闇器に意識を向けた。


 爆発した。


「そこら辺の兵は無力化できるのか」


「そんなことどうでもいいから……戦おうぜぇ!」


 業助がまた突っ込んできた。


 ──またしばらく闇のぶつけあいをした。


 ──すると。


「業助! そいつが君のお気に入りかい?」

「おっ! しき! お前も戦ってみるか?」


 奥の方から式と名乗る子柄な男が出てきた。

 帽子を被りマスクをつけている。

 その隙間から鋭い眼光が見える。


「そうだね、君がお気に入りっていうほどだから、ちょっと戦ってみたいかな……」


「次はあんたか……」


「──僕はしき、そう呼んでくれ」


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