第23話 獄炎の支配者

「さぁ 害虫駆除を始めよう!」


 そいつはそう言うと、真っ向から僕の方に突っ込んで来た。


 ガキィン

「なあっ」

 僕はかろうじて防ぐが


「虫ごときが俺の攻撃を防ぐか? まぁ、防ぎ切れないだろうがな!」


 赤みを帯びた闇が、勢いよく燃え上がって僕を押す。

 そのは凄まじい威力だ。


 僕は倒れそうなほど押される、が。


「んぬぁぁああっ!」


 闇を振り絞って獄炎を押しのけた。


「ほぉぉー、虫は虫でもゴキブリだったか。 生命力だけはある糞みたいな奴らだ」


「だがっ」

 また僕に突っ込んで来る。


「そんなやつでも圧倒的な力の前では塵以下だ!」


 ──今回は防ぎ切れないか?


 ズドォァアア

 僕はどうにか体勢を直し、相手の攻撃を横にそらした。


「そうだな──珍しい新種の虫だって事は認めてやろう。なんて名前がいいかな」


「ゴキブラ……ゴキブル……んー」


「やってくれたなぁ!」

 僕は余裕ぶっこいてるところを斬りかかる。


「貴様……その闇の量は……」

「舐めるなよ」


 僕は膨大な闇で押して押して押す。


「そうだ!」

 そう言うと僕の攻撃を横にそらされた。


「お前の種名はゴキブロンだ!」

「たいそうな名前だな……」


 大きな衝撃が辺りに響きまくる。

 僕はこいつと闇をぶつけあいまくる。


「面白いじゃないか……ゴキブロン君」

「何が面白いかわからん!」


 しばらく闇をぶつけ合っていると。

 流輝さんの事を思い出した。

 流輝さんの方を向くと。唖然として僕の方を見ている。


 ──その近くに一人の兵が。



「へっ 功績貰った!」

「危ないっ!」


 僕は咄嗟に流輝さんを守る。


「ん? なんだ?」

「攻撃してくるなら殺させてもらうぞ」


 青当の兵がすきをみて流輝さんを襲ったのだ。


 グサッ

「ガッ なんで……」

「楽しい戦いに邪魔しないでくれるかなぁ」

 兵を獄炎使いが刺した。


「仲間じゃないのか?」

「俺こう見えても、強いやつと戦うの好きなんだよねぇ、それをこんな風に邪魔されるのが一番嫌いなんだ」

「そうか」

「じゃあ続きといこうかぁゴキブロン君!」


 ──そこでふと僕は思いついた。


 遠隔操作、爆発、僕の闇──


 あれ、これこうすれば勝てんじゃね?

「ふっ、ハハッ」

 そう思って僕はつい笑ってしまった。


「どうした? お前も楽しくなってきたか?」


「いや違うよ、あまりにも今まで戦ったのがバカらしく思えてきて……」

「どういう事だ?」


 僕はドヤ顔で言う。

「見せてあげるよ、僕の奥の手」


 獄炎使いがつばを飲みむのがわかった。



「───遠隔爆発!」


 僕は相手の闇器に意識を向けた。


 ドガァァ

 相手の闇器が勢いよく爆発した。


 煙が風に消えていく。


「お前……! 何をした!」

「教えてあげよう。僕はこの剣以外の闇器を使うと爆発するんだ。そして僕は闇器を遠隔操作することができる──」


「──つまりこうなる」

 僕は他の青当の兵の闇器に意識を向け、爆発させていった。


「そんなの勝ちようがないな……」

 獄炎使いは絶望しているように見えたが


「面白れぇじゃねぇかぁ!」

 とても喜んでいた。


「俺の名は炎道えんどう 業助ごうすけだ。お前は?」

「僕は黒陽 亜月光だ」


「──次に戦えるのが楽しみだ。じゃあな!」


 そう言うと炎道は戻って行った。


 ──というか、青当の兵は全員闇器をなくして引いた。


 ──僕は思った。







 ──あれ?






 ──僕最強じゃね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る