青当篇

第22話 悲しい新天地

 報告人から次の任務を聞いた。

 青当方面での戦闘だ。

 それと。

 流輝さんは中将に昇級して、みんなも一つ上の階級に上がった。

 僕だけ飛び級したんだ。


「みんな……青当との戦闘は、対人になる。人を殺める事になるだろうし、仲間を失う事もあるかもしれないよ」

 流輝さんが悲しく告げる。


「「はい」」

「少なくとも、仲間を失わないように戦っていこう」

「「はい」」


 ──対人か。


 普通はとても辛い事なのだろうが、僕は何故かさほど辛いと思わなかった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 青当方面に到着、僕らはそれぞれ自分の寮に向かう。


 ──というか、隣同士だった。

 まぁ流輝さんと佐部さんは女子寮だけども。


 僕は荷物を片付ける。

「神と僕」七巻を取り出し、見つめた。


「大事にするか」

 そして棚に置いた。




 ──そして、任務の日。


 僕らは堤防を超え、戦闘区域へ行く。


 しばらくすると、戦闘準備所が見えた。

 多くの怪我した兵が治療を受けている。

 中には亡くなっている兵もいた。


「閃霧隊、到着しました」

「了解、直ちに援護へ」

「はい」


 即席の防御壁を出る。


 青当の兵と銀海の兵が戦っていた。


「加勢するよ、私とアルナ君、木賊君と佐部さん、爽也君は単体で分かれて援護に向かって」

「「はい」」


 流輝さんと一緒に戦っている兵のもとへ向かう。


 カキィ

「加勢します!」


 相手の攻撃に押されていた兵を助けて、流輝さんが言う。


「助かります」


 相手の攻撃を防ぎながら、相手に攻撃していく。そんな戦いが続く。

 傷を負った兵は後ろへ下がり、治療する。

 泥戦闘だ。


 今日からこの任務かと思うと、少し気が引けたが、まぁやるしかないだろう。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 そんな戦いをしてニ日後。

 僕の退屈をしのぐ事態が起こる。


 青当の兵の奥の方から、膨大な闇を纏った人間が姿を現す。


「殲滅の時間が来たぞ! 全員引け!」


 青当の兵達が、引いて行く。


「来てしまったか、あいつらが…… 全員引け! 腕の効く奴だけ残ってやつらと戦え!」


 指揮者がそう言うと銀海の兵が引いて行く。数人を残して。


「これはどういう?」

 流輝さんが聞くと。

「殲滅の時間だ。この時間になると、青当が腕利きの兵をよこして、殲滅しに来るんだ。君たちは戦えそうだから、加勢してくれ」

「わかりました」


 前からその兵の一人が迫ってくる。

 赤みを帯びた膨大な闇を纏っていた。


「さぁ 害虫駆除を始めよう!」


 それはまるで獄炎の如く。







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