第21話 遠隔操作使い

「これにて、銀海軍階級任命式を閉式する。」


 隣の時訪ときずれ 志暮しぐれが去っていく。


 ──僕は前に倒れこんだ。


 冷汗が止まらない、死ぬかと思った。


「大丈夫!? アルナ君!」


 すぐに流輝さんが駆け寄ってきた。みんなも来る。


「大丈夫……です…… かろうじて……」

「何かあったの?」

「あの人…… 人間じゃない……」


 僕は思ったまま口にした。

「金剛の首領を倒したって人?」

「はい……」

「何かされたの?」


 みんなが心配してくれている。


「目があいました…… 恐怖で、動けなくなって……」

「とりあえず、休憩室に行こう」


 僕は休憩室に連れて行かれた。


 落ち着いてきたので、有り様を話した。

 と言うよりただ目があったことを言っただけだけど。

 

「そう……。 まぁ金剛の首領を倒したんだから、そうなってもおかしくないのかな……」


 ──そこに。


「君が白使いの黒陽 亜月光か?」

 強面の人が来た。

 だが、さっきの恐怖に比べたら、全然怖くない。

「そっ、空無中暗王! どうましたか?」


 流輝さんが慌てて返事をする。


「そこの白使いが、遠隔操作をしていたという事を耳にした。本当か?」


 もう少暗王とか中暗王がいっぱいいてわけがわからなくなってきた。


「はい、僕は遠隔操作を使って、人故を倒しました」


「本当なのだな。では、君の遠隔操作がどういうものかを見させて貰おうではないか」


 と、言われて、見せる事になった。


 訓練場に来た。


「その剣を使って私に攻撃してみろ」

「ですが」

「安心しろ、君程度の攻撃で私は傷を負うことはない」


「──わかりました」

「では、来るがいい!」


 僕は月光剣サテライトを操り、空無さんに連続で斬りかかる。


 だが、空無さんの周りを浮遊している闇器に防がれる──のではなく。


 その闇器から出る少量の闇に防がれている。


「ほう、遠隔操作としてはだいぶできるようだな。だが、闇の攻撃がまだ甘いか?」


「今度は私の攻撃を防いでみるがいい。安心しろ、かすり傷程度で済ませる」

 空無さんはそう言うと、浮遊している数個の闇器をこっちに向けてくる。


 そしてその闇器は僕の周りを素早く移動し、そこから多くの闇が僕めがけて飛んでくる。

 僕は必死に月光剣サテライトを周りを囲うように回して守るが。


 シュッ

 サッ


 闇の攻撃を防ぎきれず、言われた通りかすり傷を負う。


「これで終わりか? もうやめにするか」

「いいえ、まだ行けます!」


 僕は月光剣サテライトから闇を僕の周囲に勢いよく噴射させる。

 空無さんの闇器はひるむ。


 僕は霧の中から勢いよく飛び出し、真っ向から闇を突っ込む。


「ふっ、そんな真っ向から来ても避け……! 剣が真っ白い!? まさか!?」


 ──シュッ

 空無さんの真後ろから僕は月光剣サテライトを突っ込んだ。


 空無さんは間一髪避けるが、頬に切り傷を負う。


「お前…… 闇で剣を形作り、真っ向から突っ込むと見せかけて、本命の月光剣サテライトで後ろからの攻撃を狙ったって言うのか……」

 空無さんが頬の血を拭いながら聞いてくる。


「はい」



「──俺が甘く見すぎていたようだ。 黒陽 亜月光、君は強いな。 期待しているぞ」

「はい!」


 空無さんは去っていった。


「アルナ君! 中暗王に傷を負わせるなんて……」

「あっ! ごっごめんなさい! 謝ってきます!」

 流輝さんがそう言ってきたので、慌てて謝りに行こうとするが。


「そっ、そうじゃないよ! 中暗王相手に傷を負わせることができたのが凄いって事!」

「そうですか?」

「そうだよ! 私だって難しいよ。それに闇をで剣を形作るなんて高等技術、簡単にできるものじゃないよ」


 みんなもそうだと言う。


「いつからそんなことできるようになったの?」

「わかりません……いまさっき咄嗟に思いついて、やってみたら出来ました」


 ──僕の答えにみんな驚いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る