第14話 月光剣─サテライト─


 ──翌日──


「結果はどうでしたか?」

 僕が聞く。


「んー、どうやら、月光剣サテライトにはAIが搭載されてるらしいんだ」


「らしい、ですか?」

 木賊さんが聞き返すと。


「そうなんだ、私には月光剣サテライトの分解方法も分からず、ただただ月光剣サテライト自身が教えてくれたんだ」


月光剣サテライトが?」

 どういう事だろう。

 そう思って聞いたら。


「はい、私は月光剣サテライト。AI搭載型闇器ダークギアです」


「「喋った!?」」

 みんな驚く。当たり前だ、剣が意思を持って喋ったんだ。


「そうなんだ。私が独り言をしてたら、急に月光剣サテライトが反応して、喋り出したんだ」

「私は、高性能AIです。今まで話し掛けられなかっただけで、人間並、いやそれ以上の会話は可能です」


 高橋さんの話に、当たり前のように合わせてくる月光剣サテライトに、驚きを隠せない。


「そもそもどうして闇器ギアにAIが?」

 流輝さんが驚きながら聞くと。


「私は最初、炭を人工ダイアモンドに変える剣として、『シン』に作られました。真にしばらく使われた後、真は私に『次に会った人の物になるんだ』と、言い残して去っていきました」

 淡々と話始める月光剣サテライトに、みんな耳を傾けた。


「そして、長い年月が経ち、私は新しい所有者に拾われ、闇器ダークギアとして生まれ変わったのです」


 よくわからない間がすこし経った。


「『真』とは何者なのですか?」

 少しの間の後に、木賊さんが、皆が一番気になってた事を聞いた。


「私にもよく分かりません。ただ真は、私を大事に扱ってくれました。」

 月光剣サテライトはそうとだけ答える。


「真って人は、まだ生きているのでしょうか?」

 さらに木賊さんが聞くと。


「おそらく、もういないでしょう。長い間眠っていたので、よくは分かりませんが、真はあなた方の言う『古代文明』の人だと思われます。」


「古代文明って、あの?」

 爽也さんが聞いた。

 古代文明と言ったら、僕ら今の人類がいる時から既に存在していた文明だ。その史跡がまだ片付けられていない地域なんてたくさんある。というか、発展していない地域の土地は古代文明のビルや建物がそのまんまになっている。


 今の人間が生活している技術は、古代文明の技術をそのまんま利用したものだと言うのは有名な話だ。



「そんな事が……」


 僕らは唖然としていた。


「遠隔操作システム構築っていうのも……」

 また続いて問う木賊さんに対して、月光剣サテライトが答える


「私は高性能AIです。亜月光が望むのであれば、いくらでも新しいシステムを構築できます」


「……要するに、って事か」

 爽也さんがそれっぽい事を言う。


「……!? でもそれでは、月光剣サテライトは東黄が所有していましたから、こちらの情報があちらに漏れているかもしれないという事に……」

 木賊さんが核心をついた質問をするが。


「確認しますか? 私は東黄に保有されいた間は、改良は加えられていませんでした」


 ガコッ

 そう言って月光剣サテライトは自己分解した。


「白く光っているパーツが、私の本体及び闇結晶ダークコアです。好きに確認しても構いませんよ」

 月光剣サテライトはそうとも付け足した。


「じゃ、じゃあ。私が確認しておこう。扱いは難しいと思うけどね……」

「それは問題ありません。私は自身の構造を完全に把握しているので、あなたに説明しながら確認してもらう事ができます」


 高橋さんは不安そうに言ったが、月光剣サテライトの言葉に安心と、それを通り越して呆れを覚えた感じで、わかったと言った。


 僕のこのあいぼうはどれだけ高性能なんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る