第13話 新技はまだ遠く

「アルナ君、動かせそう……?」

 流輝さんが期待に満ちた声で聞いてくる。

 爽也さんに木賊さん。篠崎隊の三人。他の兵たちも僕の方に期待の目を向けている。


「……やってみます。」

 どうしたらいいかよく分からない。

 しかしとりあえず意識を高めた。


 すると、月光剣サテライトが剣先を真上に向け、立った。


「「おぉ」」

 観衆の驚きが聞こえて来る。



 ──そして。


 ──月光剣サテライトが暴れだした。


 月光剣サテライトは、霧を噴出しながら狂ったかのように宙を暴れ、周りの人たちは逃げ回り、周りは大パニック。

 僕も大パニック。


 やばいやばいやばい。

 止めようと意識しても、余計暴れ回る。


「アルナ君……! 意識をそらして!」

 流輝さんが呼びかけて来て、僕ははっと冷静になり、意識をそらした。



 シュウウゥゥ

 月光剣サテライトは動きを止め、白い霧は止んだ。


 周りの兵たちも落ち着きを取り戻す。


「お騒がせして、すみませんでした!」

 流輝さんが全員に謝罪したので、僕も続いて謝罪した。


 周りの兵たちは呆れ口を叩きながら、離れていった。


「遠隔操作は……まだ早かったね……」

「そうですね……」


 僕らは落ち込んだ。



「アルナ君、そういえばさっき月光剣サテライトが遠隔操作システム構築とか言っていませんでしたか?」

 木賊さんが思い出したように聞いてきた。


「そういえば、言ってたよな? あれは何だ?」

 爽也さんも不思議がる。


「確かに、私が初めてアルナ君を見たときも、『闇適正有、黒陽 亜月光を月光剣サテライトの使用者に設定します』って言ってた気がする」

 流輝さんも記憶をたどって言った。


「何かおかしいんですか?」

 何がおかしいのだろう。


「そもそも、闇器ギアに喋る機能がついているのも興味深いですよ。一度研究部で確認してもらうのはどうでしょう」

 木賊さんが勧めて来たので。


「そうなんですか、じゃあそうしますか」

 僕は返す。



 研究部に移動──



 ──研究部に到着。


 研究施設には、白衣を来たエンジニアたちがたくさんいるようだ。


「この人は、私達閃霧隊の担当エンジニアの、高橋さんだよ」

 流輝さんが紹介してくれたのは、特に言うことはない普通の成人男性。ただ白衣を来ているのが少しシュールだ。


「初めてまして、君がアルナ君だね、よろしく」

「よろしくお願いします」


「それで高橋さん。月光剣サテライトの事で、みてもらいたいんですけど」

「何かあったのかい?」

「あったというか、前から気になってたんですけど、喋るのはどうしてなんですか?」


 流輝さんが慣れた言い回しで、高橋さんに聞いた。


「それの事か。私も一回月光剣サテライトは機能調査だけしたけど、細かいところは見てなかったんだ。いい機会だし、見てみるか。明日の朝には終わるだろう」


 明日の朝まで、待つことになった。


 

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