第8話 実戦

 流輝さんに続き、僕らは堤防を降りる。

「ここら辺の敵は他と違って戦い易いかな……」

 と、流輝さんが呟く。

「そうなんですか?」

「うん、まず相手は廃棄物ガーベッジ、人じゃないから。知能も低いし、実戦初心者が来るには一番いいかな」

「へぇー」

 僕が関心すると、流輝さんがこう付け足す。

「ただ、廃棄物ガーベッジは闇器を搭載されてて、闇も使ってくるから、油断はしないようにね」

「はい」


「じゃあみんな、加勢するよ」

「「了解!」」


「あっ、ちょうどいいのがこっちに来るね。アルナ君戦えそう?」

「やってみます」


 前から犬のような、というより元々犬だったであろうが近づいてきた。

 僕は月光剣サテライトを構える。


月光剣サテライト、起動します」

 シュー


 化物は僕めがけて飛びかかってきた。

 僕はそれに対し真っ向から剣を縦に振るう。


「おおー」

 流輝さんが感嘆の声を漏らす。

 僕の白い闇が、廃棄物ガーベッジをひっくり返した。


 廃棄物ガーベッジは立ち上がろうとするが、傷だらけになって立ち上がれないようだ。


「トドメを刺そうか」

「はい」


 近付こうと思った──が。


 じゅぅうう


 廃棄物ガーベッジの体が再生した。

「あー、こいつ再生持ちかー」

「えっ?再生なんてできるんですかっ!?」

 僕は驚きを隠せない。


「あれ、再生知らない?闇によっては再生できる個体もいるんだよね」

「そんなー」

「まぁでも再生する前に攻撃すれば倒せるよ」

「そんなもんですかね」

「やってみな?」

 流輝さんがそう言うので、仕方なく攻撃を仕掛けてみようと思ったが、先に相手が飛びついてきた。

 僕は後ろに下がる。


「この距離じゃ当たら……」


 しゅっと廃棄物ガーベッジから闇が伸び、追い打ちをかけてきた。


「おっと危ない」


 目の前に真っ黒な闇が広がると同時に、その周りを青いラインが一瞬光って消えた。


 流輝さんが闇を盾状に張って僕を守ったのだ。


「大丈夫?」

「はい、なんとか……」

「この廃棄物ガーベッジ思ったより強いよ。再生もできて闇の使い方もうまい」


 流輝さんが思い直す。


「ちょっと私がやるから見てて」

「了解です」


 流輝さんめがけて廃棄物ガーベッジが飛び付く


「ていっ」


 流輝さんが、剣のようだが両端に刃がついている槍を振るう。


 闇が残像を残しながらズバッと音を立てて敵を切り裂き、宙に浮かす。今度も闇に続いて青いラインが一瞬光っては消えた。


 だが、空中で敵の体が再生される。

 だめか、と一瞬思ったが。


 スバッ

 一回目の闇に続いて二回目の闇が広がった。

 敵が再生しようとするが、スバッっとさらに三回目の闇が敵を真っ二つに切り裂き、トドメを刺した。


「やりましたね!」

「すごいでしょー」


 流輝さんが自慢げに微笑む。


「さっきのは?」

 僕は率直に質問する。


「あれは私が得意な三連撃、一回振るごとに三回の連撃を与えられる。その前の防御も私の得意分野。」

「尊敬します!」

「いやいやー」


 そんな会話をしていると、後ろから別の廃棄物ガーベッジが──


 ズシュッ

「二人共、浮かれてる場合じゃなさそうですよ……」

 敵は木賊とくささんが倒してくれた。

「あれを見てください……」


 僕らは、木賊さんの向いてる方に顔を向けた。


「人型の廃棄物ガーベッジ?」

 ふとその言葉が出た。


「そう、たまに送られるんだ。私達はあれを人故ひとなしと呼んでる」

 流輝さんが悲しそうな目で言った。

「あれを人だと思っちゃ駄目だよ……」


 流輝さんがそう言う人故ひとなしは、


「あ゛、あ゛、あ゛あ゛あ゛」


 という、唸り声を上げていた。

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