第7話 小隊

 ──約二週間後──


「これで訓練も終わりね、よく頑張ったわ」

「二週間、ありがとうございました」

「あなたには、階級決めがされるわ。本来こういうのは銀海軍事長のもとでされるんだけど、事態を急いでるから東部支部長のもとであなただけで行われるわ。早速、支部長室にいってらっしゃい」

「はい」


 ──支部長室──


「銀海軍所属、黒陽 亜月光。そなたは、少尉の階級に任命する」


 其先支部長に格式じみた感じで任命された。


「はい」


 僕はそれに応じて返事をした。


「早速だがアルナ君にはある小隊に入ってもらう。入ってこい」


 キィと扉が開く。


「閃霧少将!」


 扉から姿を見せたのは閃霧少将だった。

 僕は思わず声を上げた。


「アルナ君には閃霧隊に入ってもらう。色々な所で各隊の援護に回ってもらう」


「よろしく、アルナ君っ」


 少将は微笑んで僕に挨拶してくれた。

 僕もそれに返すように、よろしくお願いしますと微笑んだ。


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 早速任務だ。小隊員ともはじめましてである。


「私もはじめて会うな、まだ名前しか聞いてないんだ」

「どんな人達でしょうね」


 歩きながら少将と話す。


 戦闘待機所に隊員が集まった。


「閃霧隊各自、自己紹介お願いします」


 少将がそう言うと、まず名乗り出したのが、たくましさと爽やかさが相まった感じの青年。

「んじゃあ。俺は、王突きみつき 爽也そうや、十九歳。少佐だ、よろしく!」

 髪は黄色で、背中に大きな剣を抱えている。


「僕は、十八歳。常盤ときわ 木賊とくさ、大尉です。よろしく」

 次に名乗ったのは僕より少しだけ大きい青年。

 髪全体が濃い緑で、前髪の一部が薄い緑になっている。武器は……よくわからないものを腰につけている。


「わっ、私は、佐部さべ 紫織しおりって言います。16歳です。階級は、中尉です。よろしくお願いします……」

 よそよそしい感じの子だ。こんな子が軍にいて大丈夫かと少し心配してしまう。

 眼鏡をかけていて、両腰に短刀を構えている。まさかとは思うが二刀流らしい。


 ……全員が僕を見つめる。

 少将が小声で僕を呼んだので、気づいて話す。


「あっ、僕は黒陽 亜月光です。十七歳、少尉です。よろしくお願いします!」


「はい、んじゃあ最後に私ね。知らない人はいないと思うけど少将の閃霧 流輝です。今日から皆を仕切るから、よろしくっ」


 最初にあったときは黒髪のロングだったが、今は少し切られていて、右の結んでいる髪に青いラインが入っているのが、青く輝く瞳に合っている。やっぱりかわいい。


「了解です!隊長」


 王突 爽也が快い返事をした。


「あっ、私の事は『流輝さん』って呼びなさい。私堅苦しいの嫌だからさ」

「わかりました!流輝さん」


 そう願望を出す少……いや、流輝さんに王突……、いやこちらも爽也さんと呼ぶことにするか、も応える。


「さて、自己紹介も終わったし、そろそろ戦いに出ますか」


 流輝さんが堤防に登り景色を見渡しながら言う。

 僕らも登った。


 その先には、銀海軍の兵たちが、化物のような生物と戦っている風景だった。


「あの敵は、東黄が実験に使うのに失敗したモルモット。それをこちらに放って来てるの」


 流輝さんはそうつぶやくと。


「実に悲しいものだね──」


 と、想いを漏らした。


 僕も思った。


 ──悲しいな、

 ──実に。

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