第3話 闇を使いし者

 僕は壁を切った後、少将に別室に連れて行かれた。


「黒陽君」

「はい」

「大事な話があるんだ」

「はい……」


 僕は唾を飲み込む。


闇使ダークナーについては知ってる?」

「はい……闇の力を使って戦う兵士ですよね」

「そう。それで君が使った武器が」

闇器ダークギア……」

「そうなんだけどね、君の使ったのが普通のと違うんだよね」

「そうなんですか?」


 僕がきょとんとしていると、説明を始める。


「威力が凄まじいんだ。それに……」

「それに?」


「君じゃないと扱えないらしいんだ」

「はあ……」

「それで……こちらとしては君をそのままにしておくわけにはいかないんだよね」

「……」


 僕は何かを察した。


「ということで君は軍に入ってもらう事になる」

「そうですか……」


「一つ質問良いですか?」

「なんでも聞いてくれ」


 僕は悲しながら聞く


「僕は軍に入って死ぬのでしょうか……」


 クスッ

「フッフ、ハハッハハハッハハッ……」

 突然少将が笑いだした。

「いやごめん。君みたいな闇を持つ人が死ぬのでしょうかっていうのが面白くて」


 僕は不覚にも少将を可愛いと思えてしまった。


「僕の闇ってそんなにすごいんですか?」

「すごいも何も、ちょっと振ってあの威力だし、それに色も白いし」

「白いのって珍しいんですか?」

「珍しいというか、初めてじゃない?白い闇なんて」

「はぁ……」

「それで、残念だけど、君に軍に入る拒否権はないんだ。入ってくれるね?」



「──はい」


 少し快く返事をした。

 正直のところ、こんな人といるなら軍にでも行きたいと思ってしまっていた。


「私は少将の閃霧せんぎり 流輝るか、これからよろしく」

「……よろしくお願いします」


 ──そんなこんなで、僕は銀海軍に入ることになったのだった──


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 軍基地に到着。見た感じ怖そうな雰囲気だ。


「ここが東部銀海軍基地。まぁそんなに怖がるものでもないから。中は……」


 少将が扉を開ける


「まぁまぁきれい」


 鉄格子などはなく、壁も多少の汚れはあるがまぁまぁきれいだった。


「部屋の窓とかもガラスだから」

「おー」


 よく考えれば外から見たときも窓はガラスだった。


「他の地域の軍基地は闇増量の為、多分もっと汚いと思うけど。銀海はそういう闇の増やし方は推奨してないんだ」

「へぇー」

「荒くできた闇より、精錬された闇の方が強いという考えだからね。はい、ここが今日から君の寮です」


 ─503─


「よろしくお願いします」

 僕は部屋に挨拶をした。


「フフッ、ではここの支部長に呼ばれてるから行きましょうか」


 少将がはにかみながら言う


「支部長?」


「うん、まぁそんなに怖がらなくてもいいよ。少暗王しょうあんのうだけど優しい人だから」


 少将は怖がっていた僕をなだめる。


「しょ、少暗王しょうあんのう?」


「あー、そうだね、まず軍での階級について説明するね」


 少将が歩きながら説明を始める。


「階級は全部で16段階あって、下から訓練兵、三等兵、二等兵、一等兵。次が少尉、中尉、大尉。んで少佐、中佐、大佐。からの少将、中将、大将。そして最後に、少暗王しょうあんのう中暗王ちゅうあんのう大暗王たいあんのうがあるんだ」


「まぁ黒陽君は、訓練兵からかな」

「訓練兵……」

「あ、ついたよ。ここが支部長室」


 ──支部長室の扉が開かれる。

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