第2話 白き闇
──僕は──なにがしたいんだ──
現に今も敵対地域の銀海の兵に、どこからともなく取った剣を向けている。
立ち向かうべきか、いや立ち向かってどうする。降参?そもそも敵対意識が僕にはないのだから降参とは言わないか、しかし今剣を向けてしまっている。
思考がまとまらない中、その剣の向けた先から声がする。
「敵か?いや、学生服を来ているな……どうしてここにいる?」
「あの……」
とりあえず剣を下ろした
「帰り道、衝撃で地面が壊れて……地下に……来てしまって……」
「そうか、おい二等兵。罠の可能性は」
「いえ、こちらの情報は漏れていないはずですのでないかと……」
お付きの部下が答える。
「ならば、そこの学生。」
「はい……」
「私達の捕虜にならないか」
「え?」
急な提案に僕は驚く。
「捕虜になったら、どうなりますか……」
「そうだな、何も無ければこちらのそういう高校で過ごすことになる。そこで何もなければ、銀海の民として受け入れられるだろう」
特にこの
それに、こんな訳のわからない研究をしてる街にはいたくなかった。
「わかりました。捕虜になりましょう」
「わかった、お前たちはそこらへんの物品の押収や破壊をしていてくれ。私はこの学生を持って帰る」
「了解です、少将!」
その少将が近づいてくる。
「大丈夫だったか、今銀海に連れてやる」
よく見ると可愛い顔だった。背も自分より少し小さかった。
この人に連れて行かれるならと、どこか少し安心できた。
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目が覚めた。休憩室らしい場所で。
「お、目が覚めたかい」
「……はい」
「君は
「はい」
「僕はカウンセラーをしている
よくいる病院の医師みたいだ。
「あの……僕は……」
今の状況を不安そうに聞く
「ああ、災難だったね。東黄の事は大丈夫?」
「はい、特に心残りはありませんし、それにあんな……」
「そうだね、あそこにはいたくないよね……」
心配そうにしてくれているのが分かる。
「早速で悪いんだけどね、銀海で過ごせるかの軽いテストをしてもらうんだ。大丈夫、簡単な心理テストだと思って。」
何分か、そのテストを受けた。結果は普通に問題なしだった。
しばらく休憩していると、部屋の扉が開かれ、誰かが出てきた。
「黒陽
あのときの少将だ。
「はい」
「少し来てほしい」
そう言って連れて行かれた先は。模擬室と書かれた部屋。休憩室から少し遠かった。
「入って」
中は真っ白にマス目みたいなのがされていた。少し広めの何もない部屋だ。
目の前には、
「持って、構えてみてくれ」
「はい……」
言われるままに構えてみると。
シュゥーーーー
「適性確認、使用者、黒陽
さっきと同じく、白い刃が生えて、白煙が立ち昇る
「おぉ……」
「これは……」
周りがざわめく。
「黒陽君、そこに立ててある棒を切ってみて」
「え、僕がですか?」
「うん、切り方はなんでもいいから」
少将が言うので仕方なく剣を横に振ってみた。
ズゴォオオオオオオ
白い霧が棒通り越して壁に勢い良くぶつかる。
衝撃で自分も倒れる。
霧が消えた。
「この威力は……」
「恐ろしいですね……」
「やはり……こうなってしまったのか」
棒は木っ端微塵に切り刻まれ、その後ろの壁には、小さい切り傷をいくつも重ねたような一本の大きな傷がついていた。
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