第5話
Opening
まず自己紹介からしよう。俺の名前は旅道徹(たびみちとおる)。雷山高校の2年生。なんの特技もなく勉強はどちらかといえば残念ながらかなりの落ちこぼれに属する。身長は高くも低くもないが、太ったり痩せたりを繰り返している。体質のせいか運動するとすぐに痩せ、やめると太る。単純な仕組みだ。運動は部活動でやっている卓球のみ。ここまでがごく普通のステータス。
ただ、俺は普通の人では体験できないような体験をして、日々を過ごしている。
さて、本題に入ろう。
俺は多重人格だ。と言われてピンと来る人は少ないはずだ。でも世間一般で見ればこの表現が1番近い。あくまで近いだけだが。
俺にはいくつもの人格が取り付いている。そして一日置きにその人格は切り替わっている。0時を過ぎた瞬間次の人格にバトンタッチをする。そしてさらに記憶は共有できないようになっているらしい。不便な設定を押し付けられたものだ。例えば俺が出来事αを体験したとしよう。しかし次の日になると俺の中の他の人格Aが出来事αなんて知らないまま以前自分が過ごした日からのスタートになるわけである。お分りいただけただろうか。俺本人のオリジナルを含め人格は計4人。1週間で4人が1日ずつその別の人生を送るのだ。こんな事態になったのはとある事件に巻き込まれたかららしいのだがまたいつか話すとしよう。
そして1番大事なことが1つ。俺、徹が過ごす日の中で他3人と会話できる時がある。例外はあるが金土日月曜日は俺が主体の日。その4日間の中で会話できる日もあればできない日もある。
そしてそんな不便な生活をしていく上で俺を助けてくれるとあるスポンサーがついてる。ある事情で親を亡くした俺には生活できる程度の支援を受け毎日を送っている。そして、不自由ないように4つの学校に籍を置いている。記憶がついていけてないのに同じ学校に毎日行っていたら不自由極まりないだろう。なによりそんなことができるスポンサーには驚かされる。性格は最悪だが。そこまでできるなら携帯も4つくれればいいのだがなぜか2台しか渡してくれなかった。不便だ...。ちなみに1つは基本俺が所持、もう一台は3人用ということになっている。時々そのルールが適用されないこともあるが。
俺の中に住んでる3人を紹介しよう。
相模 陽介。皐月高校。こいつは探偵に憧れてる。本人はハードボイルドな小説を見て憧れてるみたいだがこいつは絶対向いてない。いろいろ心動かれやすいやつだが、熱い心を持っている。
海東 優。晴天高校。人からなにかを奪ったりすることが得意だが本人は好んでいない。
黒田 豪。雲ヶ丘高校。こいつは嘘を吐くことを生きがいとしていると言っても過言ではない。将来は詐欺師になりそうだ。とは言ってもそうなってもらっては困る。なにしろ身体は俺のものなのだから。魂だけさしだせるなら全然問題ないがそんなことができたら全世界の多重人格の方や悪霊に取り憑かれている方に反感を買うだろう。
説明はざっとこんな感じ。これから多くのことを語っていこうと思うよ。
これは俺と3人の魂が過ごす特殊な学生生活の物語?
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