第49話 最後のデート
「基くん、私も、そろそろ帰るね」
「うん」
お互い、このまま頼っても前進しないだろう・・・
「で、いつ?」
「今度の日曜日」
「明後日か・・・急だな」
「うん。でも、名残が惜しくなるから・・・」
明後日か・・・何か贈ろうか・・・
嫌、しないほうがいいだろう・・・
「基くん、日曜日は、デートだからね」
「えっ?」
「しっかり、エスコートしてね。旦那様」
そして、日曜日に里美とデートすることになった。
デートと言っても、映画でも遊園地でもない。
ただ、ふたりで街を歩く。
村にいた時と同じだ。
ただ違うのは、逆に新鮮だということだ。
まさか、女の子とふたりで、この街を歩く。
夢にも思わなかった。
公園に行ったり、ウインドウショッピングをしたり、
買い物をしたり・・・
とても、楽しい時間だった。
「基くん、あれ取って」
「えっ」
ゲーセンの中にクレーンゲームを見つけて、その中のぬいぐるみを気に入ったようだ。
「お願い」
「やってみるけど、取れるかどうかわからないよ」
「取れないと永眠させるよ」
久しぶりに聞くその言葉・・・
でも、最後と思うと、懐かしく感じた。
僕は100円を入れて、チャレンジしてみた。
すると・・・
「あっ、取れた」
1回で取れた。
取り出し口から、ぬいぐるみを取りだす。
「はい、里美」
「ありがとう、基くん、ずっと大事にするからね」
里美は、とても喜んでくれた。
何だか嬉しくなった。
そして、その日の夜、いよいよ里美が未来へ帰る時間となった。
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