第47話 最後の仕上げ

「さてと、基くん、仕上げと行くわね」

「仕上げ?」

「うん、これからは数カ月は、もう実家に戻るからね」

「家に?」

「うん。そして、私と基くん、ご両親の4人で生活します」

「父さんと、母さんは?」

「ご了承済みだよ」

仕上げか・・・なら、遠からず未来へ帰るのか・・・


「大丈夫だよ。帰る時は言うから」

「えっ?」

「内緒で帰ったりしないから・・・」

悪戯っぽく笑う、里美・・・

何かあるな・・・


この村で、数か月の間お世話になった家を、きれいに掃除する。

そして、きちんと戸締りをして、一礼する。


村民の方に、挨拶をする。


駅までは、幼稚園の先生が、車で送ってくれる事となった。

園児たちからは、餞別をいただいた。


ちなみに数は少ないが、中高生もいる。

あまり、交流はなかったが、彼ら彼女らも、名残を惜しんでくれた。


来る時と同じ時間なのだが、帰りはひとりではない。

それだけで、心強かった。


「基くん、がんばったね」

「里美もね」

「うん」

自然と手が繋がれた。


恋人つなぎというのか・・・


駅に着くと、両親が迎えに来てくれていた。

相変わらず、母さんは寡黙だ。


「お義父さん、お義母さん、しばらくお世話になります」

丁寧に挨拶する里美。

両親も、歓迎している。


家に着くと、何もかもが前のままだった。

当たり前だけど・・・


「この家も、久しぶりだよ。基くん」

そっか、始めた会ったのは、僕の部屋だったか・・・


里美はもう、馴染んでいるので、その点は心配ない。

朝食、昼食、夕食・・・

全て、4人でとった・・・


父さんと母さんは、仕事が忙しいが、しばらく休むそうだ。

もっとも、そんなに休めないが・・・


里美の部屋は、里美の希望で僕と同部屋・・・

危ないとは思わないのか、父さん、母さん・・・


でも、以前では考えられなかった、家族の会話がそこにあった。

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