第33話 キャンプ03

辺りは暗くなりはじめている。

そろそろ、食事の時間だ。


子供たちは、まだ遊んでいる。

エネルギーの塊だ。


僕は里美と、料理の準備をしている。

定番のバーベキューだ。


カレーは、辛口が苦手なので、却下したt。


さすがに今日は、手伝わないといけない。

下準備は出来ているので、後は役だけ。


でも、これだけでは足りないので、川で取った魚を焼く。


「基くん、手伝ってくれてありがとう」

「いいって」

里美との共同作業・・・


もしかしたら、初めてかもしれない・・・


「基くん、花火持ってきてる?」

「もちろん」

僕は花火を差し出した。


線香花火とねずみ花火と、ロケット花火しかないが・・・


「なんでわかったの?」

里美が疑問に思っているようだが、キャンプとくればピンとくる。

「でも、火が無い」

「さすがと思ったけど、肝心なところは、らしいね」

(悪かったな)


「大丈夫、火は持ってきてるから」

里美はマッチを差し出した。


料理が出来上がり、子供たちを呼び寄せる。

みんな美味しく食べてくれている。

あっという間になくなるので、おっつかない。


「基くん、私たちは、後でね」

ウインクする里美。

「ああ」

汗だくになりながら返事をする。


そして、辺りはすっかりと暗闇になる。

田舎だけあって、星が奇麗だ。


みんなで、花火をする。

子供だけでは危険なので、火をつけるのは僕の役目。


子供たちは、はしゃいでいる。


石ころだらけなので、キャンプファイヤーはできないが、小さなたき火を作る。

そして、肩を組んで唄う。

「♪、いつまでも、たえることなく、友達でいよう~」

定番の歌。


でも、本当にいつまでも、友達でいられる可能性は、低い。

そう、思うと切なくなるが、今は楽しもう。


そして、子供たちはテントの中で、夢の中・・・


「基くん、ちょっと」

里美に呼ばれる。


「はい、お疲れ様」

里美から料理を渡される。

「カレー?いつの間に・・・」

「レトルトだよ。ごめんね。」

「いいって、ありがと」

「甘口だから、安心して」

「うん」

里美は・・・


「私は辛口」

だよね・・・


里美は、いつも僕の口にあわせてくれている。

未来で、僕の母に教わったと言っていたが、さすがに、そればかりはいかないだろう。


ふたりで食事をする。

夜空の下での、他愛のない会話をしながらの食事。


レトルトなんだが、いつもよりも美味しく感じた。

「里美」

「何?」

「ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう。基くん」


明日から、また日常へと戻る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る