第26話 自分の力で

朝6時に起きる。


耕した畑に、さつまいもの苗は植え終わった。

後は、世話をする。

毎日かかさず。


慣れてきたのか?てきぱきと出来るようになった。


それが終われば、朝食。


そのあとで、またガーデニングをする。

(こう表記したほうが、楽しそうだ)


「基くん、わかった?農業の大変さ」

「身にしみて」

僕は、殆どリハビリ感覚だが、仕事となると大変だ。


これからは、食べ物は大切にしよう。

あっ、これまでも、大切にしてきたが・・・


里美は、よく水分補給をしてくれる。

「脱水症状になったら、大変だから」


里美は、食事はひとりでしてくれるので、これを手伝ってくれは酷だろう。


午前10時を過ぎた頃、

「じゃあ、昼ごはんの支度してくるね」

そういって、家の厨房へと向かう。


父さんは、「自分で生活費を何とかしろ」と言っていたが、

まだ頼っていると思う。


相変わらず、週に一度宅配されているが、食の細い僕には十分だった。

そのはずだった。


しかし、こちらに来てから、かなり太くなったと思う。


里美の料理の腕がいいのか?

会話が楽しいのか?


いずれにしても、心にいいように傾いていると思う。


「里美」

「どうしたの?」

「何だか、まだ父さんに生活の面倒を見てもらっている気がする」

里美は、不思議そうな顔をしている。


「基くん、もうとっくに自分で稼いでいるよ。私の分もね」

「えっ、いつから?」

「サツマイモを栽培する少し前から」

「僕は何も・・・」

里美は、不思議そうな顔をする。さっきよりも・・・


「まあ、おいおいわかるよ」

「おいおいって・・・」

「気にしないで、食べよう。」

里美に言われて、食べる。


とても美味しい・・・


「それでね・・・」

いつもだが、食卓でも、笑いが絶えなくなった。


里美は、帰りたいとは思わないのかが、不思議だった。


(基くん、君がいるから平気だよ)

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