第22話 たわむれ

翌日というか、翌朝には、さつまいもを植えるために、土を耕した。

「どうして、さつまいもなの?」

「初心者にも比較的簡単だから、それに・・・」

「それに?」

「植えつけは、6月ごろ、丁度いいでしょ?」

「なら、鉢植えでいいのでは?」

「だめ。言う事聞きなさい」

「はい。」

「うん、素直でよろしい。いい子いい子」

頭を撫でられる。

里美の癖なのか?


収穫は9月から10月になると思うが、愛情込めて育てよう。


「で、苗は?」

「近所から、もらってるよ」

「やること早いね」

里美は、お世辞抜きで凄い。


「でも、さつまいもは荒れ地でも育つから・・・」

「だめ。これは君のためでもあるんだから・・・」

素直に従おう。


僕は、一生懸命に耕そうとしたが・・・

「鍬は?」

「ないよ」

「スコップは?」

「ないよ」

「なら、どうやって?」

「手で耕しなさい」

里美の眼は、真剣だった。


「いい性格してるね」

「自分でも、思う」

仕方ないので、手で耕すことにした。


面倒な事は、早めに終わらせよう。


どうにか、さまになるまでに、昼過ぎまでかかった。

結局、朝食は食べられなかった。


時々、里美が水分補給をしてくれた。


そういや、里美も手伝ってくれなかったが、朝食は食べていない。

荒れた手も、手当をしてくれた。


完全に、保護者だな。


(基くん、自覚はないと思うけど、かなり変わってるよ)

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