第20話 会話という名のご馳走

「雑草抜き終わったよ」

「どれどれ」

里美は、畑(と表記しておく)を見に来る。


「うん、まあ、合格かな」

「まあ?」

「うん、後は耕す時でいいや」

「それはいつ」

「明日」

早いな・・・


「疲れたでしょ?お風呂沸かしておいたから、汗ながして」

「はーい・・・って、してくれたの?」

「うん。その代わり、洗っておいてね」

優しいのか、人使いが荒いのか・・・


30分ほど湯につかり、湯船を洗って居間に行った。

里美が朝食を、用意してくれていた。


「さっ、基くん、食べよう」

「待っててくれたの?」

「うん。ふたりのほうが美味しいもん」

会話しながらの食事は楽しい。

学校でも、経験がない。


僕は、このような、ささいな幸せも、経験していなかったのか・・・


「それでね・・・」

里美が、いろいろな話をしてくる。

日に日に、僕からも話をするようになった。


他に楽しみがないと言えば、悪い例えになるが。

人との交流が、大切だと気付かされた。


「今日は、国語ね」

「国語?」

「うん、会話の乱れは、文化の乱れ、私も君も、乱れているから、お互い直しましょ」

「うん」

里美との会話が、一番のごちそう。

そのごちそうが、日に日に豪華になっていくように感じた。


そして、国語を教わることになる。

といっても、一緒に勉強するのだが・・・


今の日本語は、間違った使い方が多いのに、気がついた。

当たり前と思って使っていたのが、実は間違っている事が、多かった。


言葉はその国の文化、大事にしないと・・・


(基くん、会話は大切だからね)

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