第18話 ふれあい

朝、まだ太陽は登っていない。


「基くん、起きなさい」

スヤスヤ

「基くん、起きなさい」

スヤスヤ

「基くん、起きなさい」

スヤスヤ

誰だ?僕の安らかな眠りを妨げるのは?


該当者は1人しかいない。

でも、無視しよう。

どうせ、夢だ・・・


「起きろ!基」

その大声に目が覚めた。


「あっ、起きた?」

「今?何時・・・?」

「午前5時よ」

「5時?」

その声に、一気に目が覚めた。


「で、こんなに早く何?」

「今日から、農作業をしてもらいます」

「農作業?経験がない」

「子供の頃、さつまいもとか、作った経験があるでしょ?」

「あれは、受業で・・・」

「はむかうと、嫌いになるよ」

僕はしぶしぶ、返事をした・・・


「起きます」

「よろしい」

里美は笑う。


でも、僕はこの時間に起こされたと言う事は、里美はもっと早くから起きている事になる。

(睡眠時間は、短いのか・・・)


「で、僕は素人だからわからない」

「大丈夫、私が教えてあげるから」

「何でも出来るね」

「全部、ある方に教わった事だけどね」

「ある方?」

「何でもない、さあ始めるわよ。準備して・・・」

里美は、この事になると口を閉ざすが、訊かない方が吉だろう。


かすみに用意された服をきた。

動きやすいように、トレパンになっている。


「で、何をすれば?」

「家の前に、土地があるよね」

「うん」

「この土地は、君の先祖代々の土地です」

初めて聞いた。


「しばらくは、作物が育つように、土地を耕してもらいます。」

「はい」

「その作物が出来たら、売ってもらいます。それで、お金を作ります」

「全部売るの?」

「いえ、少しは食糧として、残すよ」

父さんが言っていたのは、この事か・・・


「でも、作物なんて、すぐには出来ない」

「それが、真の目的ではないからね」

里美は、続ける。


「土と触れあう。これも君の心のケアには大切です」

「でも・・・」

「もちろん、いきなりは大変だから、まずは朝食までね」

「その後は?」

「昨日までと同じ」


里美は、自分の時代とごっちゃになっているようだが、突っ込みは止めた。

もう、免疫ができた・・・

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