第17話 気持ちの伝え方

お勉強は、里美に教えてもらっている。

なかなか、勉強の成績はいいようで、逆について行けない。


でも、勉強自体よりも、大切なことを学んでいる。

それは、里美のとの意思の疎通。

意思の疎通が出来ないと苦労する。


その事を、教えてくれるようだ。

里美は、よく答えを求めてくる。


僕は、発達障害なので、上手く言葉に出来ない。

里美は、それを知っているのか?

少しずつ、手を差し伸べて、助け起こしてくれる。


もちろんこれは、例えだが、おかげでだんだんと、意志の疎通ができるようになった。

「少しづつだよ」

里美は言うが、やはり不安が残る。


しかし、勉強でひとつだけ、里美と衝突する教科がある。

それは、歴史。


僕が習っている歴史と里美の世界の歴史では、かなりの隔たりがある。

僕の時代では当たり前とされてきたことが、里美の時代では修正されている。


特に肖像画だが、これは後になって、別人となることがあったが、

里美の時代では、その繰り返しが激しくなった。


しかし、こればかりは譲れないので、むきになる事もあった。


「また前進したね」

「えっ?」

「自分の思っている事を言葉にするのは、大事だよ」

「どういうこと?」

「周りは、エスパーじゃないんだから」

少しカチンと来た。


「でも、それで何かにつけて悪く入れたので、何も言えなくなった」

「憶測で他人を悪者にする人なんて、たいした人じゃないんだから、

憐れんであげていいんだよ。そこが、君のいいところでもあるんだけど、

弱点でも、あるからね」

里美の言葉に、目頭が熱くなった。


「じゃあ」

「明日から、次のステップね、少し大変になるから、覚悟しておいてね」

里美は笑う。


でも、里美を信じよう。

自分の変化が、自分でもわかってきた。

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