第12話 新しい生活

朝が来た。

今日から、新しい1日が始まる。


昨晩、隣には一応は同年代の女の子が、寝ていた。

普通なら、緊張するところだが、旅の疲れか、すぐに眠れた。


里美は、すでに起きて、朝食の支度をしている。


「あっ、基くん、お早う」

「お早う・・・」

すぐには、自体が飲み込めなかったが、すぐに思い出して行く。


「料理だけは、私が作るからね」

「・・・ありがと・・・」

とりあえず、顔を洗ってくる。


完全ではないが、目が覚めた。

まあ、普通は起きてから、数時間はかかるが・・・


食卓に座る。

「はい、基くん、ごはん」

「ありがと」

里美はニコニコしている。


「でも、女の子は料理人じゃないって、文句は言わなんだね」

「料理は、私の趣味で好きでやってるから、そこは気にしないで。

むしろ、毎食作らせてもらって感謝してるよ」

出来たての温かい料理を食べる。


これも、忘れていた。


「基くん、朝ごはん食べたら、わかってるね」

「お勉強」

「違うよ。ご近所へのご挨拶」

「えっ」

「これから、お世話になるんだから。親しくなっておかないと・・・」

「もう少し、経ってからの方が・・・」

里美は、怒る。


「だーめ。まずは他人と会話をすること、それが君の殻を破る最初のハードル」

「でも・・・」

「君も知っていると思うけど、この村はお年寄りが多いわ。

お年寄りの方のほうが、話しやすいはずよ」

否定はしない。否定はしないが・・・


「この村の人たちは、きさくだから、すぐに打ち解けるよ」

「わかった・・・でも、持っていく物が・・・」

「用意している。はい」

石鹸とタオル。

これでいいのか?


「まずは、近所づきあいから。さあ、行こう」


こうして、ご近所に挨拶することとなった。

この村は、人口はそんなに多くないのが、家と家との距離がかなりある。


小学生の頃、祖父母が生きていたころは、毎年来ていたので、

僕の事を覚えてくれている人も、たくさんいた。


「元気だったかい?」

「大きくなったね」

「彼女も出来て、青春してるね」


気さくに話しかけてくれる。

最初はとまどっていた僕だが、だんだんと打ち解けて言った。


ハードルは高いが、会話してみるのも重要かもしれない。

「人にはそうてみよ」

話してみないと、わからないこともあると、学んだ。

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