第4話 環境
「里美、ひとつ訊いていい?」
「何?」
「この時代の君は、まだ赤ちゃんなんだよね?」
「そうだよ」
「ということは、僕と15歳以上離れてる」
「うん」
「で、どうして、タメ口で、2人称が君で、くん付けなの?」
普通、年上には、しないだろう。
子供はともかく、大人は・・・
「未来の君が頼んだんだよ」
「未来の?」
「うん」
「最初は、敬語で、あなたで、さん付だったんだけどね」
「うん」
「そう、呼んでくれって」
変わっていないのか・・・僕・・・
(むしろ、君の方が、私に対して・・・)
里美の言葉は、耳に届かなかった。
「呼び方かえようか?」
「いえ、今のままでいいです」
この方が落ち着く。
「で、僕を変えてくれるのはいいんだけど」
「うん」
「里美はどこで、生活するの?」
「大丈夫」
「まさか、作りあげるとか?洗脳するとか?」
「だから、漫画や映画の観すぎだって」
だーかーらー、あなたが、言うな。
「ハガキに書いてたよ」
「破り捨てた」
「そうだったね。なら教えてあげる」
「あのう・・・」
「どうしたの?」
「寝たいので、続きは明日に・・・」
「だめ」
聞くしかないようだ。
「いい、今のままでは、君は変われない」
「ごもっとも」
「それは、環境が悪いから」
責任転嫁です・・・とも言えないのが、現状・・・
「そこで、環境を変えてもらいます」
「どうするの?」
「引っ越しをしてもらいます。」
「いきなり無理」
「もう、手は打ってあるから」
やはり、ある意味の洗脳なのだが、口にはしなかった。
「で、どこへ引っ越すの?」
里美は地図を指差した。
そこは、自然に囲まれた、緑豊かな場所だった。
悪く言えば、ド田舎。
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