クランー4

「他にお金は通貨で金銀銅の3種類、


分かりやく例えると銅貨=10円、銀貨=千円、


金貨=10万円で100枚毎に変化する。


俺の知ってる宿なら素泊まりで銀貨2枚な?


間に大銅貨や大銀貨があるらしいが…見た事無い!


辺境だからと認識してるがな?


生活はこのぐらいか?聞きたいことあるか?」


「トキは魔法の詠唱しないのか?


俺達は詠唱が常識だと教えられて覚えたぞ?」




東が魔法について聞いてきた。




「詠唱しないと言うか知らないな。


イメージと科学を用いて発動してるからな?


お前らはどう使うんだ?


ついでに聞いておくが…東達は何が出来るんだ?」


「俺は水と風のダブル、美波は火、西尾は風だな。


魔法使いは少ないから兵士の訓練も受けてた。


俺の魔法なら『水球ウォーターボール』!」




東が詠唱するとソフトボール大の水球が現れた。


真円ではなくラグビーボールの形に変化したりして


形状が固定されてない。




「こんな風に水球を出すことが出来る。


最大でバレーボール大になる。


この水球は自在に操れる。こんな風にな?」




東が左手を上下左右に動かすと同じように


水球が動いた。


動くと同時に丸い尾びれが出来ている。




「へぇ…凄いな…


なあ?これどうやって消すんだ?」


「ここ濡らしても良い?」


「部屋を濡らすな!消せないのか?」


「冗談だよ!ほら消えた!」


トキが見ると水球が小さくなり消失した。




「驚かすなよ…水だから許すけど


火だったら火事だからな?」


「分かってるよ。これが基本的な水魔法で


出すのは簡単だが消えるのが難しいらしくてな?


俺達が召喚された国では出してその場に消せれば


初心者マークが剥がせる。


そこから初級コースとして入っていく。


最高が上級コースだったな?」


「なんかの講習受けてるみたいだな?


つまり魔法の危険性は把握してると?」


「危険なのか?便利だろ?飲み水確保出来るし


焚き火が簡単に出来る。


光で目眩まし出来るから楽だぞ?」




「そうか…魔力切れとか考えてないのか?」


「あるのか?使いすぎて体が重くなる時あるけど?」


「それが魔力切れだよ!使いすぎると倒れるぞ!


お前らの国はどんな教育してんだよ…


良い面しか見せてないのかよ…」


「え?危険な物なの?」


「・・・当たり前だろ?自分が使えるものが


相手が使えると考えないと殺られるぞ?


俺も普通に召喚されたらこんな風に考えなかった…


よし!ついでだからな?俺の不幸自慢してやるよ!」




「いや、要らないよ?誰が好きで人の不幸を楽しむの?」


「西尾は真面目だなあ…これ聞いといた方が良いぞ?


お前らの今後にも繋がるからな?」


「え?どう言う意味?」


「西尾達が召喚された理由ってなんなんだ?」


「え?世界に異変が起きてるから静めてくれと


王様から言われたよ?


魔物の討伐とか異変の一部だからって言われた」




「ふーん…なるほどねぇ…悪党討伐とか無かったのか?」


「有ったよ…最初は死罪の人間の首から始まってね…


暗く蝋燭が灯る火しかない部屋で


口に布を付けられて唸りながら暴れるんだ。


それを兵士が抑えて斧や剣で切らされる…


最初は嫌々してたよ…吐く人もいたぐらいだから…


震える腕で切るとね?


首の骨に当たって切れないんだ。


何回も失敗して叱られたよ。


なんで苦しませるんだってね?


それからは何回も何回も何回も切らされた。


上手く切断すると誉められるんだ。良くできたと。


これでこの国は救われると感謝された。


こいつらが悪いんだと切った罪人を非難する。


僕達は正しいことしてると思い、切る。


ある日から兵士の抑えが無くなり


自分達で抑えるように言われてさせられた。


その頃には切る事に抵抗感じなかった。


皆も罪人が苦しませないように抑えて切る。


悪人だから悪い。慈悲の心で浄化するために切る。


被害を出したから悪い。国を救う為にと。


その数日後に盗賊の討伐を宰相か命じられたよ。


その時は正しいことしてると思って討伐した。


人を切る恐怖なんて一切考えなかった。


中には国のためと喜んで切る人もいたよ?」


「・・・」




西尾は表情変えず真顔で話した。


途中ニヤケていたが顔を元に戻して坦々と語る。


まるで他人事の様に話していて


トキは気持ち悪く感じた。




・・・洗脳されてるな・・・


何度も同じ作業させられてる。


暗い部屋で恐怖との戦いで精神が弱くなってる所に


感謝や褒め言葉、悪人の非難で


正しいことしてると根付かせる。


根付いた所に飴と鞭を繰り返されたら・・・


やがて花が咲く。


人を切る抵抗を無くさせる。仕上げが盗賊の討伐。


国のために正しいことしてる。


他人の為に切っている。


自分は悪くない。悪いのは悪党だけ。


その話をしている西尾達は怯えを見せない。


なんで怯えてたんだろ?みたいな顔して話してた。


東は途中からニヤケていたが今は真顔に戻っている。




「胸くそ悪い…」


俺はボソッと呟いた。


これなら空が牢屋に入れてても不思議はない。


薬にはなるが毒になる人間が現れた。




・・・正解だったのかもな・・・


空の行動は悪意に感じるが荒療治の為だと思えば


理解できた。


今は精神支配が収まり、昔に戻ったのだろう。


そして悪人いや標的を空に向けさせた?


真実が分からないから考えるしかなかった。




「お前らは今もその考えは同じ事を考えてるのか?」


「ん?どう言うこと?」


「悪党は悪い。理由があっても悪いことしてたら


切られても仕方ないと思ってるかと聞いてんだよ?」


「何怒ってるのよ?当たり前でしょ?


まあ、理由を知らないと


切れないとは思ってるわよ?


空に捕まってからそう考え出したわね…」


「空に捕まってる奴等の中には


罪を犯してなくて殺された奴も居たのか?」


「ええそうよ?それを見て考え直したよ?」




「そうか・・・分かった。


全員同じ考えで良いのか?」


「当たり前だろ?たまに昔の癖が出るが自重してる!」


「僕も同じだよ?流石に無抵抗の悪人は切らない。」


「・・・シル?仕事だから早く行けよ?」


「ワン!」


俺はシルをルティ達の所に向かわせた。


俺は腕を組んで悩む。


良いことなのか悪いことなのか。


人それぞれ価値観あるが異世界だからな。


その国が軍事利用でそうさせたのか。




・・・難しいな・・・


俺もスーサイドで暮らしたから価値観変わったし。


暫く目を閉じて悩んだが止めた。


優先順位が違うと判断した。


東達よりも子供達を優先させようと考えて


目を開けて声を出す。




「分かった!なら・・・問題ないが


倫理的に異常と判断したら止めるからな?


俺の不幸自慢は後で話す!分かったな?


そしてシルド!いつまで呆けてる!」


「は!すまない・・・意識が飛んでた…」


「・・・自己紹介始めるぞ?


俺からシルド達回りでな?


まずは俺からだが・・・」




ドコーン・・・


トキは懐中時計を取り出して時間を見る。


午後1時。昼過ぎてた。


「な!なんだ?敵襲か?」


「違う…敵襲なら悲鳴が聞こえてる。


これはフィルの昼飯の合図だ!


昼飯食べに行くから終わったら自己紹介な?」




トキが告げると部屋から出た。


何事もなかったように振る舞うトキに


驚く全員だがシルド達の子供が


昼飯の用意して呼びに来たので


全員が食堂へと向かった。


食堂にはトキの仲間が全員揃っていたので


昼飯を食べ終えたトキ達はそのまま食堂で


自己紹介を始めるとした・・・

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