ゾラム領異変ー8

トキ達がガデルの腕輪を壊した日の午後。


「なあ?」


「どうしたの?急に?」


「さっきからさ?空に飛んでるのってさ…」


「空?」


「あれは・・・グリフォンですね!


この世界にいるなんて思わなかった!」


「あれこっち見てないか?」


「気のせいでしょ?ほらどっか行っちゃったわよ!」


「ニバルに生息地あるなんて聞いたことないから…


多分見間違いしたんでしょうね!」


「そ…そうだな!このまま真っ直ぐ行こうか!」


「そうね!きっと見間違いしたのよ!


この道行けば反乱軍に潰された村があるらしいから


そこで暫く過ごしましょうよ!」


「よく調べてんな?」


「見なければ変身しないもの!


だから目を瞑って聞いたら知れたわ!」


「そうなのか!知らなかった!


これからは・・・って難しいよな?」


「だから聞くときだけよ!


目を瞑って歩いたら転けるわよ!」


「そうですよ?ほら街道に近づきましたので


もう少しで着きますよ!」


「良かったー!昼過ぎてるから野宿はね?」


「そうね…流石に水浴びしたいわね!覗かないでよ?」


「覗かないよ!流石に見たりはしないよ!」


「そうだぜ!そのために各村ではそれぞれの


家を見繕ったんだからな!


目標達成する前に死ねるかよ!」


「今私達ってどんな体になってんだろうね?


枷してると死なないのか、呪い中は死なないのか?」


「さあ?確かめたくないからな!」


3人の男女が道を歩いていた。




「でもさ?方角選ぶの安直じゃないかな?


僕達の名前からとるなんて…」


「良いんじゃない?木の棒倒れた方角向かって


ニバルに着くよりは時間稼げるでしょ?」


「そうだな!稼がないといつ呪いが来るか…


東あずま、美波みなみ、西尾にしおで


東、南、西選んだからな?


よく揃ったよな…


異世界で偶然見つかったのがこの3人なんてな?」


「私達はまだ負けず嫌いだから助かってるのよ!


その3に・・・あれ?あそこ、山あった?」


「急にどうした?山?ん?森に岩山がある…」


「なんか振動がするんだけど地震?」


「地震じゃないわ!あれ動いてるのよ!」


「マジだ!?嫌だぞ!魔物に襲われて死ぬなんて!


どうする?さっきの村に戻るか?」


「いや、よく見たら僕達の向かう先と


違うから早く村に入れば大丈夫!


早く向かえば村で隠れる事出来るはずだよ?」


「分かった!なら早く行こう!!」




3人は急いで村に移動する事にした。


3人が見た山はトキ達馴染みの魔物。


飛んでたグリフォンは・・・




「主殿~!いましたよ~!誘導成功しましたよ~!」


「そうか!よくやった!廃村に動いてくれて良かった!


3人って情報があるお陰で絞れたし…


バラバラに動いてると思ってたが・・・


バラバラでも動物に変身するなら直ぐに分かる!


フィル?奴らはどんな姿なんだ?」




「黒髪の男女ですね!男2、女1です!


首と腕に黒い枷がありましたね?奴隷でしょうか?


後、身長と合わない服着てましたね!


緩い感じがしました!全員が肩まで髪伸びてました!」


「そうか・・・枷を3箇所と長髪ねぇ…奴隷か?


どう思う?ゾラム侯爵は?」




「ラベルで良いと前に言ったんだがな…


もし奴隷でも異変の原因なら取り除かないと!


先ずはどういう経緯で動物?に成るかの確認からだろ?


昨日の話の包囲網で攻めていくんなら問題無い!


最初の項目の魔物は見ても大丈夫みたいだな?」


トキはゾラム侯爵の話を聞いて頷き


自作の確認用紙にレ点を記載した。




トキは寝る前にゾラム侯爵と作戦を練っていた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ラジュマ王国のゾラム領内の地図を机に置いて


全員で囲んで見てる。被害箇所は丸を書いてる。




「ゾラム侯爵の領地は広いが外周だけなら


フィルは1時間で回れるだろ?」


「空飛んで制限しなければですね!」




「なら明日起きたら馬車はリケラに任せるから


空飛んで被害箇所増えてないか見てくれ!


そこから進行方向見極める。


村にいるなら俺達がそこに向かえば良いからな!」




「変身についてはどうする?」


「きっかけが分かれば対処出来る筈だ!


どんな物も起点があるからな!


それを見極めてから攻撃を始める!」


「分かった!今回は戦闘は楽しむのか?」


「強さによるかな?アーニアとガデルの成長みたいしな?


だからそれも見極めてから行動する!」




「トキ君!私はどうしたら良い?」


「作戦開始まではシルとラグと護衛5人と行動する!


今回は包囲網を張るからな?


リケラは動かして近くの廃村に誘導させる!


フィルは暫く俺の指示で空から監視な!


ガデルとケル、アーニアとルミス、ヴァイスとルティの


1組ずつ動いて貰う!


ブラッドは行動する時はフィルと一緒だ!


ガデル組は北、アーニア組は東、ヴァイス組は南、


ブラッドは西に配置する!


着いてなくても10分後には開始するからな?」


「分かった!」「ウォン!」


「分かったよ!」「ワォン!」


「分かりました!」「キュイ!」


「了解です!」「承りました!」




「良しでは確認用紙作るからな?


先ずは魔物見ても変身しないか?特徴がなんなのか?


声で変身するのか?見てから変身するのか?


これだけだな!俺が担当するからな?出てくるなよ?


捕縛を始める合図はフィルが空を2周させるから


ちゃんと見ろよ?それまでは俺との連絡だからな?


後は1人~3人で動いてるはずだ!


それでもこの包囲網は変化させない!


もし見つかったら空に何かを上げてくれ!


以上を作戦とするが何かあるか?」


「私のゾラム侯爵からベラルに言い方変えてくれないか?


クリプス辺境伯はファーストネームなのに


ファミリーネームはちょっとな…」


「作戦内容とちがうが…そうだな、善処しよう!


後はいないか?」


「・・・」


全員が沈黙する。




「俺が動き出すときは配置場所に散らせるからな?


沈黙は肯定と判断するからな!


では解散!ちゃんと寝ろよ!」


トキ達はログハウス内の各部屋に戻っていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




フィルの監視により3人が廃村に着いた事を知る。


廃村はバルの村から西にある焼かれた村。


トキ達は東側に離れた場所に陣取りしている。




「さて、対象は檻に入った!


配置場所に各組動き出してくれ!


着いてなくても10分後には本当に開始するからな?」


「分かった!」「ウォン!」


「分かったよ!」「ワォン!」


「分かりました!」「キュイ!」


「了解です!」「承りました!」




各組が指示された場所に向かって走り出した。


トキはストレージから懐中時計を取り出して


時間を見る。午後2時45分。


「これで異変が収まるのか?トキ君?」


「だと思いたいがな?違ってたらその時に考えれば良い!」


ベラルの言葉に時計を見ながら答える。




一方、3人組は・・・


「見事に燃やされてるね?」


「いくつかまともな家あるな!


反乱軍が拠点にでも使ってたか?」


「かもしれないけど…好都合だわ!


山の魔物も消えてるし暫くは大丈夫そうね!」




3人組は村を見てそれぞれの感想を告げる。


20件あった家は5件のみ残っていた。


村を見て回ると倉庫に食料の備蓄が残っている。


井戸も使える様だ。屋根は穴空いてるが・・・




「腐った匂いはしないな?」


「水に濁りも無いわね?


最近まで反乱軍いたのかしら?」


「どうだろうね?反乱軍は確か撤退したんだよね?


なら生き残った村人が細々と暮らしていたが


暮らすには足りなくて集団で移動したか


僕達の噂を聞いて逃げたしたか?


それぐらいだろうね…」




3人組は黙ってしまう。


もし自分達が原因なら悔やんでしまった。


自分達がいなければ食料を置いて逃げなくても良かった。




「悩んでも悔やんでも仕方無いわよ?


責任を押し付ける訳ではないけどあいつだからね?


・・・高温起きないわね?」


「個人情報話さなければ良いんじゃないじゃないか?」


「未だに基準が分からないわよね?


反抗の定義が広すぎてね?」


「考えるのは後にして外に出ようよ!


暗い場所は暗い考えに行き着くからね!」




3人組は倉庫から出ると・・・


「おい、またグリフォンがいるぞ?


なんか回ってるし?なんなんだ?」


「もしかしてグリフォンが現れたから逃げた?」


「可能性高いけど・・・あれ?また行っちゃった…」


3人組は首を傾げて悩んでいる。




悩むのを止めて村の中央まで歩くと・・・


「おい、そこで何している!」




3人組の後ろから声を掛けられて驚き振り向きかける。


半分まで振り向くと体に違和感が出てきたので抑えて


前に向き直した。




「ごめんなさいね?私達貴方を見れないの!


噂を聞いたことあるでしょ?


人が変身して襲い掛かるってね?


人の姿を見ちゃうと貴方を殺すかもしれないから!


早く離れて!もう殺したく・・・ああああ!!」




女性が事情を説明して本音を話そうとすると


体から高熱が流れて周囲に伝わる。


女性はその場に倒れてしまうが


男性2人は見ることしか出来なかった。


女性の体の回りには陽炎が出来ており揺らめいている。




「事情は理解した!そのままで良いから聞け!


首輪と腕輪は奴隷の証しか?」


「そうだよ!反抗すると美波みなみ、


倒れてる女性と同じになり、悔やみながら


意思を表すと電気が流れる!」


「・・・なるほどな…」




声をかけた男性、トキは考えてしまった。


・・・クラスメイトかよ・・・


ガデルより達悪い枷になってるな…


どうするかな…変身姿を見たいんだよな…




「変身は枷の能力なのか?」


「そうだ!これのせいでな!…「喋るな!!」すまない…」


男が反抗の意思を示しかけたので黙らした。




・・・投降は難しいだろうな…


あの熱は厄介だな。周りにも影響与えてる。


電気が流れたら影響与える…外すしか無いよな…




トキは決心した。変身させよう!


「3人の考えは分かった!


人を巻き込みたくない考えは素晴らしい!


だがな?罪は償わないといけないよな?


電気は危険だし熱も危険だしな!


危険人物は容疑者として捕まえるのが


日本の警察だもんな?なあ東あずま?西尾にしお?」


「何故知ってる?空の関係者か?」


「東あずま振り向いたら・・・ガアアア!」




西尾は東が振り向きかけたので止めようとしたら


目の前にトキが現れる。


それを見て雄叫びをあげながら変身し始めた西尾。


雄叫びを聞いて…


「トキなの・・・グルルルル!」


「東、西・・・ガルルルル!」


美波もトキを見て変身してしまった。




「なるほどな?動物じゃなくて魔物だな!」

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