ゾラム領異変ー7

トキ達がログハウスに泊まる1日前。


研究所の一部屋で5人の人影が朝日に照らされていた。


「また徹夜でしたね…」


「俺が以前受けてたブラックバイトよりブラックだ…」


「仕方無いでしょ?神楽坂のせいなんだから!」


「あの野郎!本来の目的忘れやがって!」


「持て囃されて持ち上げられてるからな…


最近あいつだけ優遇されてるからな!」


「ライバル意識持たして周りを高めようとしてるし…


影響受けた奴らは切磋琢磨してるよ?」


「召喚された理由はぐらされてこのまま白衣よ?


グループに別れられて情報共有無し。


テストと一緒よ!順位つけられてね!」


「上を目指してないのにね?


勝手に国の思想を強要するなって話だよ!


洗脳と一緒だしね?日本人のゆとり舐めるな!」


「そういえば神楽坂は何して優遇されてるの?」


「さあ?動物のグループだしね?


魔物とかいるらしいから従順にするやつを


作ったんじゃないかな?」


「それってさ?魔物だけに使われるのかな?


嫌な予感しかしないんだけど?」


「私も同じ意見ね…ここ異世界でしょ?


日本の常識と違うからね?奴隷いる世界よ?」


「そうだよな…街の中歩くと虐げられてる人いるし…


全部が枷嵌められてるぞ?」


「驚いたよね!小説や漫画の世界だと思ってさ!


もしかして勇者?とか思ってたよ…


そしたら旅にも出ないし、部屋に籠りっきり…


ステータスも恩恵も無し!


かごはあるけどね?人の籠かごがね?


査定あるし、抜き打ち検査がある…


会社と一緒でしょ?先輩が嘆いてたよ?」


「会社より酷いだろ?飴と鞭が極端だしな!


俺達鞭の最中だろ?徹夜とか?


成果出てなくて酷い時は飯無しだろ?


基準が高すぎるんだよ!一つ一つがよ!」




ガチャ!


「お前達!朝から騒いでなにやってるんだ!


また飯抜きにされたいのか!」


「すいません!成功して騒いでました!」


「それなら良い!お前らは召喚者だ!


こちらの技術よりも高い技術があるんだ!


その技術を提供して研鑽して貢献するんだ!


動物グループは既に成果を果たしてるぞ!


カグラの技術はテイマーギルドに貢献してる!


植物グループも成果を出して新たな植物を作り上げた!


後はお前ら、生活グループだ!


どんな成果を出したのか教えて貰おうか?」


青い外套を深々と顔を隠すほどに纏った兵士が


5人の部屋に現れた。


外套の中に剣を携えている。


外套の背中にはワイズ賢国の紋章が刻まれてる。




「生活を良くするために睡眠についてです!


どんなに辛くても寝ないと心身が弱まり


病を発症して周囲へ伝染させます!


そしてその成果を徹夜をした事で判明しました!


どんな場所!戦争、学舎でも睡眠が無いと


実力が発揮でしません!


どうですか?これが私達が判明した成果です!


すごいでしょ?すべての生き物はそうなんですよ?


ハハハ!奴隷も寝ないとね?生けないんですよ!」


5人の内の1人の男が兵士に勢いよく詰め寄る。


笑いながら詰め寄る姿に狂乱したと


関わってはいけないと判断した兵士。


「そ、そうか!い、良いと思う!


ならその成果を試すために寝ないといけないな?


休みを3日与える!次の成果を期待する!」


バタン!


兵士は急いで部屋から出て行った。




「此でいいだろ?じゃんけんに負けて


こんな狂人演じないといけないなんてきつい…」


「演技だったのね?本当に狂ったと思ったわ!」


「俳優に成れるんじゃないのか?」


「止めろ!気持ち悪い事言うなよ!


休みを貰ったんだ!早く寝ようぜ!」


「そうだね…ふわぁあぁ・・・眠たいよ…」


「それじゃ各自の部屋で寝てから明日に


街中見てリフレッシュしようぜ!」


「賛成!他のグループに会えるかもしれないし!


噂があるかもしれないしね!」


「それじゃあ!解散で!おやすみ~!」


1人ずつ欠伸をしながら部屋から出て行った。




元生徒達は明日、街中である噂を聞く。


魔物をテイムしている冒険者がいて


辺境の地で数多くの功績を挙げてると。


二つ名は有名なのは『先生』


仲間は二つ名『白影』を持つ10歳の子供。


トキとヴァイスという名前。


「斗鬼とき君かしら?」


「同じ名前だろ?子供連れてる訳がない!」


他にも植物は浮いて護衛に使えると。


「植物なのかな?」


「魔物じゃないのか?」


色々な噂を聞いて回り


リフレッシュする生徒達だった・・・




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「「へっくしゅん!」」




「どうした?トキとヴァイス?


トキは風邪ひいたんじゃないのか?


リビングで寝てたしな?」


「ガデルさんすいません!鼻がむずむずして…」


「これは…誰かが噂してるな…」


トキとヴァイスは同時刻にくしゃみしていた。


ログハウスを片付けて馬車に乗る前である。


ルティはトキの頭の上に、シルは足元を彷徨いていた。




「先生?噂してくしゃみするなら、ずっとしてますよ?」


「そういえばそうだな?俺ら有名だしな?


風邪はひいてないと信じたい!」


「ワン!」「キュイ!」


「お前らも元気だな!さてガデルとヴァイス?


ちょっと手伝ってくれないか?」


「なにするんですか?」


「ガデルの着けてた腕輪を解体する!」


「毒針大丈夫なのかよ?」


「呪刻印見てたらな?毒針の名前無かったんだよ?


だからヴァイスは後学に、


ガデルは当事者として手伝って欲しい!」


トキはストレージからガデルの奴隷の腕輪を出した。




「それなら良いがな?呪刻印って鑑定して


内容わかるものなのか?」


「さあ?読めたからな!


続けて書かれてるから分かりにくいんだよな…」


「先生!読めるなんて凄いです!」


「キュイ!」「ワン!」


「誉めても腕輪が解明出来るだけだぞ?」


「そのままじゃないか!いつものボケどうした?」


「いやさ、たまには真面目にやりたいやん?」


「普段から真面目にしてくれよ!」


「それじゃ面白くないしな?


フィルのボケが続いて飽きるぞ?」


「呼びましたー?主殿ー?」


「呼んでないから!フィルは準備しておけ!」


フィルのボケを回避したいトキは遠ざけた。




「な?始まりの合図待ってるだろ?」


「合図がわかるのが仲間の証拠ですね?先生!」


「そうだよな…フィルの合図が分かってしまった…


よし、始めてくれ!何すれば良い?」


「・・・」


「考えてないのかよ!」


「いや、見てて貰えばなと思ってな?


何?どう手伝うの?教えてよ!」


「・・・すまん…見てるわ…」


「僕も見てますね!」


「キュイ!」「ワン!」


「・・・手伝いあったな!


シルとルティを預かっててくれ!危険だから!」


「ルティ!おいで!」「キュイ!」


トキの頭からヴァイスの頭に移ったルティ。


「シル、俺の所に来な!」「ワン!」


ガデルがしゃがんでシルを抱き上げた。




「そこはボケないのかよ!期待してたのに・・・」


「いや、危険だから遠ざけたんだろ!」


「・・・まあそうだよな…んじゃ始めるか…」


「テンション下げるな!」


ボケを期待したのに起きなかったので


声が徐々に小さくなっていったトキ。




「さてと切り替えますかね!」


トキは気持ちを切り替えて右手を白炎で纏う。


綺麗に刀を形作り、腕輪を横に切断していく。


呪文らしい刻印に針穴が4ヵ所。


腕輪の幅は2cm程。針穴は直径約5mm。


が幅1cmになる。


しかし毒針が見えてこない。


「・・・無いんじゃないか?毒針?」


「嘘の腕輪を付けられてたのか?」


「嘘…半分はだろうな?高熱流れただろ?


だから昨日気になったんだよな…


毒ってさ蒸発しないのか?針は溶けないのか?


色々な疑問が浮かんだから解体してんだよ!」


「なるほどな…俺も浴び続けて考えてなかったな…」


「と、言うわけでもう一度切断にしてみよう!」


トキは疑問をガデルに話して解体を続けた。


白炎の刃を更に薄くして割いていく。


現在腕輪の幅は5mm。針は無い。


もう半分の腕輪を穴から縦に割いていく。


だが横に繋がる穴もなく


全部をバラバラにしても一切毒針は無かった。




「・・・どう?今の感じは?」


「どうでしょうか?ガデルさん?」


「・・・どうなんでしょう…」


ガデルは毒針無くて良かった喜びと騙されていたが


高熱を浴び続けてた苦しみを思い出して


感情が停止していた。


「・・・まあ、死ななかったからお前らと


会えたと思ってこの事実は受け止めるよ!


もしかしたら本当にあるかもしれないしな?」


「大人だな…ガデルは…俺なら・・・


愚問だな!付けられる前に殺してる!」


「発想が先生らしいですね?」


「トキらしいよ!」


「ただな?もう一つ気になってるのがあってな?


バラバラにした腕輪の呪刻印の内容がな?


『死ねない体で高熱を放たれる…僕は生きている…


助けの心に耳を傾けて』だったんだよ?


どう意味だと思う?」


「詩的な内容だな…助けて欲しいって感じがするな?」


「僕も同じですね?誰に当てた言葉なんでしょうか?」


「さあな?ただ分かってる事はこの腕輪と


ルティ達の首輪は同じ人間が関係してる!


どちらもワイズ賢国のカグラって奴が作ってんだ!


多分俺の関係者だぞ?神楽坂かぐらざかって奴!


腕輪と首輪に共通点があってな?


M.I.E.って刻まれてたんだ!メイドインエクサクロス!


俺の世界で商品に書かれる物に在るんだよ!


本当はM.I.W.ってな?


メイドインワイズって刻みたかったが止められた。


それでエクサクロスのEを最後に入れた。


と俺は考えてる…捕まってるのかもしれない…


本人見ないと分かんないけどな?


この世界で変貌してるかもしれないからな!」


トキは自分の考えをヴァイスとガデルに告げた。


そして暗に会いに行かないと告げた。




「先生の考えが分かりました…先生に従いますよ!」


「今はゾラム領内の異変を止めるのが一番だからな!」


「分かってくれたなら良いがな?


さて待たしてるし、早く終わらせようか!


ゾラム領内の異変をな?


反乱軍も動き出すし早くな!」


トキ達は馬車に乗って動き出した。


先ずはバルのいる村へと歩みを進めた・・・

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