ゾラム領異変ー5

「トキ君、久しぶりだね!」


「おお、ゲルム補佐官だよな?久しぶりだな!


声も普通になってるな!


あれ?前と服装違うよな?マントして?」


現在トキ達が集合してべラムの入口にいる。


その中の顔見知りのゲルムを見つけたトキは


挨拶して服装が変化してる事に気づく。




「今はギルドマスターしてるよ!


前のギルド長制度が無くなってね!


冒険者ギルドと重なるからと


各ギルドの長の言い方変えたんだ!


冒険者ギルドはギルド長、


テイマーギルドはギルドマスター、


商会ギルドはギルドチーフにね!


前のギルドマスターは・・・ギルド員に降格したよ…


流石に功績持ってても普段の態度がね…


本部に呼ばれてそっちで監視されてるよ…


『酒飲まないと震えが…』とか言ってるらしい…」


「長の言い方ねえ…俺には関係ないな!


前のギルドマスターはさ?


完全にアルコール中毒じゃないか!


錬金術師に薬もらいに行け!」


「あ、錬金術ギルドも新たに設立して増えてね!


錬金術リーダーだから!」


「そんな余裕あんの?王国は今反乱中だよな?


ん?関係ないのか?各国にあるし…」


「反乱は関係ないよ?前から計画してたからね?


ギルド設立は各国の半数以上の可決あれば出来るからね!


ラジュマ王国はギルド出来てないけどね…


反乱中だから仕方ないんだけどね…


知り合いの錬金術師が登録出来ないと嘆いてるよ…」


「何気にゲルムって不思議な交友関係あるよな?」


「他にもハリーとかも持ってる筈だよ?」


「興味無いな…冒険者ギルドだからかね?


まあ、ゲルムなら任せれるな!


ありがとな?リケラ達の登録してくれてな!」




トキがリケラ達を見ると全員が


飾り付き首輪を着けていた。


ケルは真ん中だけ着けている。


リケラは特殊な首輪を着けてるらしく


着ける前は普通のサイズだが


首に当てると伸びて首輪となったらしい。


動きに阻害は無いとの事で全員同じのに


マスター権限で融通してくれたらしい。


今後進化する可能性を考えての行動だそうだ。




トキは感謝して礼を言うとフィルから


ドコーン! お腹の音を鳴らした。


周囲に響いて反響している。


トキはびくっと体を震えさせて


ストレージから懐中時計を出して呟く。


「・・・改造したな?


時刻は…12時か飯の時間に成ったか・・・


ゲルムは予定あるか?


なければ俺達と外で食べないか?」


「今の音は私も無視しようか…


冒険者の食事は気になるね!頂こうかな?」


「よし、それじゃ準備するから待っててくれ!


先に言っておくがこれが俺達だけと知っててくれよ?


普通の冒険者はまだ質素だからな?」




トキはそれぞれに仕事を告げて準備を始める。


トキはストレージから机と椅子と敷物、


皿、調理器具、食材を用意。


先にリケラ用に準備する。


500mの皿にストレージから肉や野菜の山を作る。


もちろん事前に焼いている。


食材の山から湯気が昇る。


待ちきれなかったのか食事を始めた。




ケル、ルティ、ブラッド、ガデルで竈を作る。


ケル、ルティが岩を作り出して


ブラッド、ガデルが竈を形作る。


3口の長さ5mの竈を作り上げて各所に鍋を置く。




ヴァイスとフィルで火起こしを行う。


木材はシルとルミスが集めてくれた。


ルミスには鍋に氷を出して貰った。


火、風魔法で加減しながら無事に着火する。




トキとアーニアで食材の加工して焼いていく。


今回は残ってある野菜ゴースト達のスープ。


蓮根、大根、人参。すりおろしニンニクが隠し味。


出汁はヒュドラの骨と肩ロース。


骨と肩ロースは焼いてから出汁を作った。


香ばしさを加えるために。


肩ロースはスープの食材にも使う。


ヒュドラは部位によって異なる味を持つ。


牛、豚、鳥、羊など不思議な生き物だった。


肩ロースは豚と同じ味がする。




ここで豚の肩ロースの豆知識!


赤身の中に脂質が網目状に広がり、


普通のロースより脂身が多い。


コクがある濃厚な味わいが楽しめる


下ごしらえで筋切りすると、


焼き縮みを防ぐことができる。


以上、食事担当リッキー調理師でした。




肩ロースは半分は一口大に切り分けスープに入れる。


半分はミンチにして骨に巻き付けて


よく見る漫画肉を作る。


ケルとルミス、シル用にするためだ。




本当ならパンとか用意するんだが


スーサイドから戻ってから買ってないので仕方無い。


なので今回は野菜スープとサラダ、


漫画肉の残りのミンチで甘辛タレの肉団子。


野菜と肉しかないのは俺らのみだろうな?


タレはアマゾネスのアニア族に伝わるタレ。


ウスターソースに近い味をしている。


これで昼飯は準備を終えた。


リケラは俺達に合わせたのか半分で残してる。




全員が机の前に並んだのを確認して


俺が挨拶して食事を始める。


ケル達は敷物の上に料理を置いてある。


椅子に座ってるのは俺とアーニア、ガデル、ヴァイス、


ブラッド、ゲルム。地面にはリケラ。


敷物の上にはケル、ルミス、フィル、ルティ、シル。


不思議なのはケルの食事だ。


本来口は1つだがケルは3つある。


以前は1つの口で食べていた。


どうするのか見てたら右が肉団子、


真ん中が野菜スープ、左がサラダを食べていた。


食欲旺盛なのか?


食べながら戦える様に進化したのか分からないが


誰も疑問に思ってないので無視した。


しかしちらほらゲルムが見ている。


こそっ「ケルの食べ方か?」


こそっ「ケルベロスの食事は見た事無いので…」


こそっ「俺もあんな食べ方するとは知らなかった…」


こそっ「なら…何故皆さん気にしないのでしょう?」


こそっ「当たり前と思ってんだろうな?多分…」


こそっ「なるほど…なら心に留めときましょう…」


こそっ「そうだな…疑問に思う人がいて助かった…」


ゲルムとの意識の共有できて内心でほっとした。


誰も気にせずに食事に夢中だから・・・




食べ終えて片付けをヴァイス達に任して


ゲルムと気になってる事を交互に話す。


「ケルのあれはどう思った?


単に見たことないで終らす気なのか?


以前は首が2つでも片方だけしか


食べてなかったからな?」


「そうなんですか?考えてるのはありますよ?


多分…食事しながら戦えるように


進化したのかと思いましたね?」


「ゲルムもか…それしか無いよな…


他にも気になってる事あるんだろ?」


「テイマーギルドだから気になってるんでしょうけど


ケルベロスとフェンリルに子どもが


出来るという話聞いたこと無いんですよね…」


「互いが狼型魔物って説と愛の力で説が考えられるぞ?」


「・・・互いが狼型魔物説で検討します。


流石に不確定要素の説は報告出来ませんよ!」


「やっぱり?だと思ってるよ…ほかには?」


「リケラの進化についてですかね?


どの個体からあの大きさに成ったのか?」


「元は地竜だった…大きさも今の1/10だった。


俺達と仲良くなってから進化したな…


岩竜になって一回り小さかった。


スーサイドの依頼を受けてヒュドラと戦って


その経験値的なやつが上限に達して


今の溶岩竜に成ったと考えてる。


つまり鍵はスーサイドの可能性がある…」


「なるほど危険な森ですからね!


自己防衛機能が働き進化した…その説で報告ですね…


トキさんからはありますか?」




「あの首輪はどういう仕組みなんだ?


あんな大きくなるものなのか?」


「私も驚いてますよ!


本部の研究によって出来た物らしいですよ?


何でも伸縮性のある魔物を媒体に出来たらしくて


媒体の魔物の種類は不明で登録してますね…


本部も機密事項なのか教えてくれませんでした…


何度か私たちでも検証して


着けるときに危険は見れなかったですね」


「首輪は外せるのか?」


「外す機会なかったので今試してみますか?


『解放かいほう』って言葉で外れるそうです!


特殊な言葉ですよね?普通はリリースですから!」


「『解放かいほう』ねぇ…


どんな奴が作ったか聞いてるか?」


「本部と賢国の研究部門の者で


トキさんと同じ髪色ですね…女性が開発して確か・・・


カグラと名乗ってるそうですね…


他にも同じ髪色の人がいて10人以上いるそうですよ?


何故か白衣の下が変わった服装らしくて・・・」


「学ランとセーラー服じゃないのか?


黒い服と膝までのスカートの服装か?」


「そうですよ!よく知ってますね?


何でも2年前に出来た部門らしいですよ?」




「・・・そうか・・・


反乱が終われば行ってみるかな?


首輪は『解放かいほう』だったな?


戻す時はどうするんだ?」


「装着そうちゃくで戻るそうですね?」


「そうか・・・ルティ!こっち来てくれ!」


「キュイ?」


トキに呼ばれて駆けてきてジャンプする。


トキの頭に衝撃与えずに着地して両手を上げる。


ゲルムがそれを見て拍手する。


「あぁ、ルティ?今は良いから降りて


俺の前に来てくれないか?」


「キュゥ…」


とぼとぼと降りていくルティ。


誉められると思っていたらしい。


「後で誉めてやるから!今から首輪外すから


異変が起きたら連絡してくれ!」


「キュイ!」


ルティは敬礼して身構えた。


「解放かいほう!」


「キュゥ?キュゥ…コオォォン!」




首輪は言葉と共に黒く光出して


ルティ苦しみ出してマーブルテイルから


オクタマーブルテイルへと変貌して雄叫びを上げた。


目が座り目の前に獲物がいるとトキへ睨みは始める。


「コオォォ!」


戦闘態勢に入り8のつの尻尾から


各々違う属性の玉を作り上げていく


「あ~あ、予想通りになっちゃった!」


「何落ち着いてるんです!?


攻撃しようとしてるんですよ!!


ほら、各属性の槍が出来てきてますよ!!」


ルティの雄叫びとゲルムの大声に片付け中の


ヴァイス達が向いて驚く。


ルティが元の姿になってトキへと


攻撃しようとしている。


何故?疑問が浮かぶが…


「ヴァイス達はそのまま片付けしてろ!!


決して近づくなよ‼攻撃されるぞ!!


リケラ達魔物は特に動くな!!


同じようになってべラムに被害が出る!!」


トキの大声にその場で止まり傍観するヴァイス達。




「良いんですか!?危険度ランクSの


マーブルテイルてすよ!?仲間と手伝って…」


「いや、良い・・・下手に動かれたら危ない…


俺に目標されてるのに態々目標作らすな!!


この分だと戻す言葉も危ないかもな…


ゲルム?すまないが首輪の予備あるなら俺にくれ!!


鑑定するからよ?後、一瞬で終わらせる・・・」


トキが言葉を告げると共にルティへ駆け抜けた。




・・・狙うは首輪…革だがら気を付けないと…


トキは右手に手刀を作り上げて白炎を纏わせる。


ルティは首輪に抵抗してるのか苦痛な表情していた。


作り上げた属性の槍を放たずに空中を漂う。


「ルティ!直ぐに解放してやるよ!!」


「コオォォン!」


言葉になんとか返事をしたルティだが


抵抗するのに体力を奪われて1本の風の槍が放たれた。


トキは速い風の槍を見て同じように槍を作り出して


相対させる。槍の形は円錐形の槍。


接触した時に回転速度を上げて貫通力を増加させて


突風を後ろから押し出す様に出して推進力を出した。


貫通して消したルティの槍を見て


円錐の風槍を操りルティが作り出した


各属性の魔法槍を霧散させる。


まだまともな形じゃなかったから出来た。


霧散し尽くすと空へと投げて雲を突き抜けていった。


トキは首輪に向けて手刀を振るい


ゲルムが瞬きした瞬間には地面に


ポトン…と落下した。


首輪が外れたルティはその場で座り込み


縦に揺れて息を整えていた。


「ルティ!頑張ったな!


済まなかったよ…実験に使ってな?


しかしこれで判明したよその首輪は危険だとな…


苛つかせるねぇ…俺の仲間にこんな首輪をな?」


トキは呟き終えると目に見えない速度で


白炎の手刀を振るい全員の首輪を切り裂いた。


熱気を感じたが傷はついてない。




「・・・ゲルム?予備の首輪あるか?」


「・・・あぁ…これだ!」


トキがリケラの位置から歩いてゲルムに聞き、


ゲルムが首輪を懐から出すと一瞬で近付き貰う。


「これの名前は?」


トキは若干怒気を放っていた。


「M.I.Eの銘からミエの首輪と呼んでるよ…」


「M.I.Eねぇ?エクサクロスだからEかな?


ゲルム?これさべラムの魔物にどんだけ着けさせた?


これエクサクロスの文字じゃない文字で


呪刻印が刻まれてるぞ?」


「なんだと!!本当か?直ぐに調べるよ!!


まだべラムにいたら同じように外してくれるかな?」


「当たり前だろ?外すさ!こんな苛つかせる首輪をな?


多分再び着ける『装着』も危険な機能だぞ?


装着は首を締め上げて・・・殺すだろうな?


死の装着だろうよ!全く…苛つかせるねぇ!!


ゲルム急いで行け!そして着けてる奴ら連れてこい!」


ゲルムを急がしてべラムに戻させた。


「先生!ルティは大丈夫何ですか?


あんなに疲れてますよ?元に戻りません!」


「首輪のせいでだろうな?光魔法で回復させる!


呪いが掛けられてるからな!浄化しないと…」


トキは疲れきって動けないルティに光魔法で回復させる。


息が上がっていたルティは整い出す。


そして元の姿に戻りトキがヴァイスの頭に乗せた。


「定位置で休んでな!また後で鑑定してやるからよ!」


「キュゥ…」


なんとか声を出して震えながらも


右手を上げて直ぐに下げる。


「ヴァイスもルティのお守りしてやってくれ!


べラムに戻ってからこれはな・・・


ゾラムの3人に八つ当たりするからな?


テイマーギルドにも報復してやるさ!


何のために作ったのか聞き出してやる!!


奴隷の様に扱う為なら・・・ぶち壊してやる…」


トキは殺気混じりの怒気放つ。


「先生!落ち着いてください!


その怒気にルティが耐えられません!!」


「そうか・・・落ち着くか…ふぅ・・・」


トキは怒気を沈めて考える。


これからやる事の優先順位着けないとな。


1、首輪の鑑定にべラムの魔物の首輪外し


2、ゾラム領内の異変を沈める。


3、反乱軍との全面戦争。


4、賢国とテイマーギルド本部の訪問。


5、クラスメイトの回収だな。




・・・軍事利用か・・・


エクサクロスに無い文字だから分からない。


呪刻印の付いた首輪なんてな。


ギルド本部の上層部もグルだろうな。


一気にやる事増やしやがった。


トキが考えてるとゲルムがゾラム侯爵達と現れて


街中にいるテイムされてる魔物を連れてきた。


テイマー達は憤慨しているがゲルムとは関係無いと


告げて全てを切り裂いた。


暫くは元の首輪に戻してべラムで研究するそうだ。


スーサとゾラム侯爵も資金を提供する。


こんなふざけた首輪を無くしたいと思ってくれてた。


そりゃそうだ!下手したら侵略されるからな。


「ゲルムは頑張って研究してくれ!


そしてこの事は報告するな!


きっと上層部は知っててやってるぞ?


だから内密にするんだ!分かったな?」


「あぁ…普及もこちらで制限するよ!


クリプス辺境伯と協力して街に入れないように


制限を掛けてテイマーは記録しておくよ!」


「これは反乱軍より達悪いぞ?魔物による侵略だからな?


テイマーギルドの本部はどこの国にあるんだ?」


「ワイズ賢国だ!だから国全体の行動だろうな?


気を付けろよ!賢いから賢国なんだよ!」


「気を付けるさ!その前に終わらせる物は終らす!


ゾラム侯爵も準備出来たんだろ?」


「あぁ、完了している。


しかしテイマーギルドがな…我が領内でも制限掛けるよ!」


「そうしてくれ!反乱軍と同時に侵略されたら


相手が出来ないからな!


それではゾラム領内に行こうか!


馬車は・・・俺の使ってくれ!安全は保証する。


馬車はストレージに保管しとくからな?


馬は・・・厩舎作るから待っててくれ!」


トキは今後の話を終えてゾラム侯爵の馬車を


ストレージに入れてトキの馬車左右に


厩舎を付けて2匹の馬を各々入れた。


何かあったときに馬に乗って逃げれるように


通路も作成してある。


俺達は出発準備を終えてスーサとゲルムと


別れの挨拶して出発した・・・

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