スーサイド再びー3

「トキ?これで入口なのか?


普通、森ってのはな?静かな感じなんだよ!!


暫くしたら鳥の囀りが聞こえてな?


木の香りに気持ちが落ち着くんだかな…


それが何で入って1分ぐらいの場所で


大量の魔物に囲まれるんだ!?」


ガデルはスーサイドに入って直ぐの場所に


大量の魔物に囲まれて問い質す。




「え?スーサイドだからだろ?違うのか?」


「何の違うのか?か、分からん!


スーサイドだからで片付けるな!!」


「え~?まぁガデルは初見だもんな?


ブラッド?ガデルをここで守っててくれ!


久しぶりに制限解除して5%から50%へと出すからな?


ヴァイス達は観覧してろ!1人でやる!


ガデルは吹き飛ばされない様に気を付けろよ?」


トキの姿が一瞬で消え去る。




「ヴァイス君良いのか?


あの千超える集団にしかも人間大の体を持つ


魔物に対して1人って無謀だろ!!


見ろ!左から兎、狼の魔物、木の上には猿の魔物!


ブラッドみたいなガタイを持つ猿の魔物が


地面の上で集団で威嚇して胸を叩いてるぞ!」


「大丈夫ですよ!制限しない先生ならね!


逆に心配しないといけないのはあの集団ですよ?


ほら?左の兎から飛ばされてますから!


久しぶりに制限解除してますからね?


素手で殴り飛ばしてますよ!」


トキの心配するガデルだがヴァイスは大丈夫と告げて


集団の魔物に対して憐れみトキの活躍を見せる。


ガデルがヴァイスに言われて集団を見ると


真横に人間大の大きさの兎達が空へと飛んでいる。




兎は20cmぐらいの鋭い角を持つ。


後ろ足の太腿は50cmぐらいあり


その脚力で突進されたら確実に貫通して死ぬだろう。


後ろから攻撃したとしても蹴り殺される。


その姿を遠くから見て逃げても一瞬で遠い場所から


目の前に現れて意識を失うだろう。


そんな兎が目の前でピギャっと声をあげて


飛ばされてく。白と茶色の線が見える。


その光景にガデルは呆然としてしまう。


非常識が夢ではなく現実に目の前にある。




ガデルが呆然としてる間に兎が消えて


狼がいた場所から赤い線が現れる。


ヴァイスの説明によると手刀で切り裂いてるらしい。




狼は牛ぐらいの大きさしている。


そんな大きさしてても俊敏さは失われない。


噛み付く顎も強く食らい付いたら離さない。


人間の腕や足は確実に噛み砕く力を持つ。


黒い体毛は鋭く針の様になっている。


触れたら刺さり狼が動くと抉られるだろう。


狼を見ると地面にある石が刺さっているのもいる。


それほど固く普通の武器なら手に衝撃受ける程の


皮膚を持っているのだろう。


そんな狼を手刀で切り裂いていく。


正面から裂かれ半分に横に倒れる個体や


横から半分に裂かれる狼、貫かれてる狼、


色々なやられ方する狼が倒れていく。


地面の色は緑から赤へと変わっていた。




次に猿達がキキっと悲鳴をあげていく。


猿達には種類がある。


手長、足長、首長、巨体などいる。


手長は体の2倍の長さで手の形がそれぞれ異なる。


刀や斧、槍、槌に片手がなっており


普通の手で捕まれた相手は多様なやられ方する。


切られ、裂かれ、貫かれ、潰される。


腕を鞭の様に振るい巻き付かせ逃がさない。


木上から地面の相手を静かに持ち上げ


自分の餌としていく。




足長も同様の長さだが足が


槌、円錐形の槍となっている。


遠心力を用いて足を使い狩りをする。


体はスーサイドの森の木と同じ色しており


上を見ない限り細い木としか見られない。


そんな木を通り過ぎると更に木が細くなり


上から衝撃を与えられるか


後ろから貫かれるか、または打ち抜かれるか


されて一瞬で命を失なう。




首長は文字通り首が長い。2mはあるだろう。


ろくろっ首を想像したら分かりやすい。


もしくは動物園のキリンが分かりやすいか。


木上から地面スレスレに振り子の様に頭を振るい


相手を吹き飛ばす。


または首を相手の体に巻き付けて絞め殺す。


普段は草食だが危険を感じれば武器として扱う。


顎の力も強く体が襲われそうなら


木に噛みついて振り子の様に遠くに飛んで逃げる。


逃げる前に相手に気付き反撃を与えるので


飛んで逃げる事が滅多に無い。




巨体は人間の2回りの大きさを持つ。


手を地面に付けて歩き、2足歩行も行う。


体毛は黒く地面に横になると伸びた影と間違う。


しかしその影は立体であり気づくともう遅い。


太い腕に抱き締められて潰される。


胸板が厚く心臓まで剣を刺そうにも折れてしまう。


握力も高く掴まれたら握り潰される未来しかない。


手で胸を叩いて威嚇していたのはこの猿である。




ここでウィッキー先生の説明に入る。


地球のゴリラはドラミングするが


実際の所は自分の存在をアピールし、


縄張りがあるからこれ以上近づくなという


どちらかというと平和交渉の意味を持っているということ


が最近の研究でわかってきている。


このドラミングの音は2㎞先まで響くと言われていて、


仲間との連絡にも使われている。


エサの場所を発見したときや自分が危険にさらされた時に


その状況を仲間に伝えているのだそうだ。


ゴリラが興奮した時に自分自身の心を


落ち着かせるために叩くこともあると。


ドラミングの時の手は人間が知っている様な


拳ではなく、開いたまま行う。


以上、ウィッキー先生の説明。




そんな猿達はトキの手によって武器に扱われてる。


長い手を持つ手長の猿をトキに掴まれて


左右違う武器で猛威を奮っていた。


笑顔で振り回すトキの顔は輝いていた。


日頃のストレス発散にちょうど良い相手を


見つけて喜んでいた。


仲間の手長の斧によって切断する首長の首、


槍の手長に貫かれる巨体の体、


巨体が貫かれたまま振り抜き足長の足を叩き潰す。


手長の足を持ち刀の様に扱い


赤い花を咲かしては散らしていく。




「主殿は嬉しそうですね!あんなに輝く笑顔で


倒していきますよ!さっきまでとは違いますね!」


「キュイキュイ!」


「グルァ!」


「主様の喜ぶ姿が見れて某は嬉しく思います!」


「日頃のストレスをここで発散してるね!


常に身体能力を制限して5%で生活して、


安穏と暮らしたいのに有名になってて、


弱いもの虐めにしかならない相手をしていて、


怒りが起こる程の出来事が沢山あって、


そんなあれこれが有ったからストレス溜まり、


発散するために先生があんな動きしてるんだろうね!


久しぶりにあんなに輝く姿を見たよ!


僕達も早く狩りをしたくなるね!」


「・・・嘘だろ?こんなに強いのか?トキは…


そして・・・まだ居るんだな…」




ガデル以外が絶賛している。


さっきまでとは全然違う笑顔で輝く姿をしているトキ。


トキの怒りが収まってもお茶を飲んでいた死神も


今では骸骨が笑顔になり頷いている。


鎌は背中に帯びているようだ。


死神がガデルの言葉に気付き互いに目を合わせる。


暫くの間、見つめ合う死神とガデル。


死神が瞬きして周囲を見渡して私ですか?と自分に


右の骨の人差し指で差す。


ガデルが頷くとまた周囲を見渡した。


見た結果、自分は要らないなと納得したのか


骨の手で開いた左手の上に握った右手をポンっと


叩いて、笑顔で右手で手を振りながら消えていった。


「・・・常識が消えるな…トキといると…」


ガデルは死神の行動に呟き呆然とする。




「あ~スッキリしたわ!


やっぱりスーサイドは最高だな!


向こうから相手してくれるし手加減しなくて良い!


人居ないから楽しめるわ!」


死神との別れの挨拶が暫くして


笑顔で後光が差しながら現れるトキ。


眩しすぎて目が開けられないほどに輝いている。


ガデルにしか見えてないのか


ヴァイス達は普通に立っている。




「先生!お疲れ様です!楽しかったですか?」


「ああ!ヴァイス!最高だったよ!


まさか入って直ぐに烈々な歓迎をしてくれるとは!


しかもちゃんと相手してくれるし


手加減って言葉を忘れて楽しめたよ!


嬉し過ぎてはしゃいでしまったよ!


次はヴァイス達にも楽しませてあげるからな!」


「はい!先生!見ていて戦闘に入りたくなりましたよ!」


「私もですよ!あんなに楽しそうにして…


混ざりたかったですよ?」


「キュイキュイ!」


「グルァァ!」


「某も同行したかったです!」


「そうか!なら次は任せるよ!存分に楽しめよ!」


「・・・危険度ランクSS確定っと…」


トキ達の楽しそうな姿の横に


現実逃避に逃げているガデルがいた。




トキが暮らしていた拠点を目的地として向かう。


そんな最中にも歓迎会が行われて楽しむトキ達。


ガデルは危険度ランク調査だけに専念した。


あの中には入れないし、入りたくない。


そう感じるほどに楽しそうなトキ達。


人間程の大きさを持つ魔物達が蹂躙されていく。




ガデルにはなんとか見えているが


一般人は絶対に見えない動きをしている。


かくれんぼの鬼をしている様に魔物を探して


見つけては狩りをしての繰り返し。


たまにルティがヴァイスの頭から一瞬で消えて


魔物の悲鳴を聞いた瞬間にヴァイスの頭に戻ってる。


ヴァイスはリケラの岩を貰って魔物に投げたり


岩をブラッドに高速で投げてブラッドが


魔物に打ち当てる。変化球を混ぜて投げて


打ち漏らして落ち込むブラッドの姿の後ろで


サッカーの様に岩を蹴り魔物に当てるフィル。


トキもブラッドから金属バットを借りて


リケラが丸まり高速で打ち抜かれる。


高速で回転するリケラの上で玉乗りするルティ。


魔物に当たると一瞬でヴァイスに戻ってる。




ガデルには危険度ランクSSの森スーサイドよりも


トキ達の方が危険度高いと判断していた。


非常識が集団で歩いてる。


人ではない存在。魔物もいるが魔物とは言えない。


もはや人外の存在達が森を赤く染め上げていた。


魔物が絶滅するんでは?と想うほどに


人外達が蹂躙していく。


嬉々としながら行進していく。


まるでピクニックにでも向かう子供の様に。




そんな楽しい時間も終わりは来る。


トキが暮らしていた拠点に着いた。


鍛冶仕事を合同作業でしたり


畑で仕事する熊型魔物達や狼型魔物。


畑から逃げ出す手足の生えた野菜。


柵を飛んでクロールで堀を泳ぎ食われる光景に


ガデルは意識を失ないそうになった。


いや失った方が楽に思えた。


夢や幻以外に考えられない現実に直面していた。




そんな魔物達がトキに気づくと一斉に駆け寄る。


「おお!新種の野菜が生えてるな!


皆久しぶりだな!元気だったか?


ラグは所用で居ないから大変だと思うが


楽しそうにして仕事していて良かったよ!


ケルも進化してオルトロスからケルベロスに


なってるじゃないか!凄いぞ!偉いな!!」


「「「ウォン!」」」


トキの称賛に三つ首が同時に嬉しそうに鳴く。




トキは畑の横にストレージからログハウスを出して


設置した。久しぶりに見る光景に笑顔のトキ。




「今日は再会を祝して宴会するか!


肉一杯あるからな!満腹になるまで食べろよ!!」


トキは道中で狩った魔物を回収していた。


その肉を使い、夜までには会場が出来上がり


会話に花が咲いて盛り上がった。


ガデルもこの時には観念したのか


畑で働いていた熊型魔物2体、狼型魔物3体と


仲良くなり一緒に酒と肉を味わっていた。




「リケラ経由で聞いてたがケルは奥さん出来て


子供も沢山産まれたんだな!


良かったな!おめでとうケル!」


「「「ウォォン!!」」」


「お前が奥さんかな?忙しいと思うが


夫婦円満に暮らせよ!


名前がいるかな?ケルが黒いのにお前は銀色で


美しいからな・・・ルミスだ!よろしくな!」


「ウォン!!」


「子供達も6匹か!仲良くしろよ!


お前は奥さんに似てるんだな?


色違うからって虐められたら反撃しろよ?


もしくは俺に言えば何とかするからな!」


「ウォォン!!」


「「「「「ウォン!!」」」」」


宴会でケルの家族と話をして奥さんに


ルミスと名付けた。


子供達は銀色1匹に黒5匹。


黒の中に特徴ある各自色違いのメッシュがあった。


なのでシル、レド、ブル、イエロ、パープ、


グリンの名前を名付けた。


それぞれが嬉しそうに鳴いて寄り添ってきた。


ケルは奥さんと子供が名付けられた事に


嬉しそうにしている。




こうして宴会が夜遅くまで続いていった。


トキ達は完全に幻獣について忘れていたが


朝目覚めてリケラから再度言われて思い出す。


朝から準備をしていくトキ達。


メンバーはトキ、ヴァイス、ガデル、フィル、ルティ、


ブラッド、リケラ、ケルの8名。


ルミスは子供の世話と拠点のリーダーとして


残ってもらった。


メンバーが増えたが知ってるもの同士だ。


連携は確実にとれると判断して行動する。


さて最初に会うのは何かな?と期待しながら


森の中へと向かった。

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